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INTERVIEW

初の演出作品がシネマ歌舞伎に! 尾上松也さん 「僕の引き出しのすべてを込めた」

大人気ゲーム「刀剣乱舞ONLINE」が歌舞伎となり話題をさらった舞台『刀剣乱舞 月刀剣縁桐(つきのつるぎえにしきりのは)』が、シネマ歌舞伎として、4月5日から全国公開されます。演出・主演を勤めた尾上松也さんに、作品に込めた思いを聞きました。

3月25日、シネマ歌舞伎『刀剣乱舞 月刀剣縁桐』完成披露上映会が都内で行われた。(左から)左から上村吉太朗さん、中村莟玉さん、尾上右近さん、尾上松也さん、中村鷹之資さん、河合雪之丞さん

同作は昨年7月、新橋演舞場で上演され、原作の世界観を大切にしつつも、歌舞伎の伝統を大胆に取り入れた内容で高く評価されました。

原案は、刀剣の付喪神である刀剣男士が、歴史改変を企む時間遡行軍との戦いに挑むゲーム。今回の歌舞伎化では、三日月宗近とかつての主・足利義輝の切ない絆に焦点をあて、物語を構築しました。構想には約2年間かかったといいます。「アニメや演劇、映画にも展開されているとても人気のコンテンツですが、歌舞伎ともキャラクターの造形など、非常に親和性が高いのではと思っていました。どのキャラクターを出すのがよいのかなど、何度も会議を重ねてきました。実は別に進行していたストーリーもあったのですが、やはりどうしても僕がこの三日月宗近と足利義輝の物語にしたいとこだわり、最終的には去年の春ごろに今の案になったのです」

三日月宗近を演じるのは松也さん。本来暗殺されるはずのかつての主、義輝を生き永らえさせようとする時間遡行軍に対し、史実の通り暗殺されるように行動せねばならないという使命に苦しみます。「誰もが知っている、ゲームの顔ともいえるキャラクター。その役どころに忠実に、なおかつ歌舞伎でしかできない表現もできればと。普段はクールな三日月宗近が、義輝と相対するときには普段と違う感情をあらわす。また、未来世より来たりし者というミステリアスも雰囲気も崩さないようにと心がけました」

本作で、初めて演出に挑みました。「幸い、歌舞伎とはまた別のジャンルにも出演させていただいてきましたので、引き出しがあふれてきたタイミングでの今回の企画・演出だったと思います。そういった僕の見てきたこと、学んだことのすべてをこの作品に込めました」

そんな渾身の作品が、シネマ歌舞伎として公開されることに。「初めて企画、演出させていただいた作品が、シネマ歌舞伎のラインナップに加わることは、本当に光栄です」

松也さんの繊細な表情の演技を美しい映像で堪能することができるのは、シネマ歌舞伎ならでは。

「衣裳などのディティールや、舞台装置などのスケール感も大スクリーンで観るととても分かりやすくなっています。客席からとは違うアングルでの映像もありますので、舞台とは別の魅力があると思います。歌舞伎ファン、刀剣乱舞ファン、歌舞伎をまだご覧になっていない方。どなたが観ても楽しんでいただける作品です。ぜひ、何度でも映画館に足を運んでいただけたら」と全国公開に向けた意気込みを語ります。

シネマ歌舞伎『刀剣乱舞-月刀剣縁桐』完成披露上映会で和気あいあいと共演者の皆さんと本作の見どころについて語る松也さん。

シネマ歌舞伎として新たなスタートを切る『刀剣乱舞 月刀剣縁桐』。松也さんは、『刀剣乱舞』続編や演出という仕事についても、「やめるということは簡単ですけれど、そういうわけにはいかない。先輩方から、ずっと『諦めたらそこで終わり』と教えられてきました。一回で終わらせるくらいなら、最初から足を踏み入れてはいけない。演出という仕事についても、突き詰めていきたいと思っています」と、改めて決意をにじませました。〝演出家・尾上松也〟のこれからにも目が離せません。

取材・文/塩塚 夢(産経新聞社)
撮影/吉原朱美



尾上松也(ONOE MATUSYA)

1985年1月30日生まれ。歌舞伎俳優。
1990年5月『伽羅先代萩』の鶴千代役にて二代目尾上松也を名のり初舞台。近年は立役として注目され『菅原伝授手習鑑~寺子屋』松王丸、『源平布引滝~義賢最期』木曽義賢 、『曽我綉侠御所染』御所五郎蔵などの大役を勤める。また、2015年から若手の歌舞伎俳優が中心となる『新春浅草歌舞伎』で最年長のリーダー的な立場を勤め、評価された。歌舞伎以外では、蜷川幸雄演出の騒音歌舞伎(ロックミュージカル)『ボクの四谷怪談』(2012年)お岩役、東宝ミュージカル『エリザベート』(2015年)ルイジ・ルキーニ役などで活躍。2020年、日曜劇場「半沢直樹」(TBS)でIT企業社長・瀬名洋介役、2022年には大河ドラマ「鎌倉殿の13人」では後鳥羽上皇役を演じるなど、映像でもさらなる活躍をかさね、注目を集めている。2023年、新作歌舞伎『刀剣乱舞 月刀剣縁桐』では主演の三日月宗近を勤めたほか、初の演出も手掛けた。


Information①

シネマ歌舞伎『刀剣乱舞 月刀剣縁桐』

2024 年4 月5 日(金) 東劇・新宿ピカデリーほかにて全国公開!

原案 「刀剣乱舞 ONLINE」より(DMM GAMES/NITRO PLUS)
脚本 松岡亮
演出 尾上菊之丞、尾上松也

出演: 尾上松也、尾上右近、中村鷹之資、中村莟玉、上村吉太朗、河合雪之丞、澤村國矢、市川蔦之助、大谷龍生、
中村歌女之丞、大谷桂三、中村梅玉 ほか

撮影公演:2023(令和5年)年7月 新橋演舞場公演
舞台著作: ©︎NITRO PLUS・EXNOA LLC/新作歌舞伎『刀剣乱舞』製作委員会
製作・配給:松竹

詳細は公式サイトへ

Information②

新作歌舞伎『刀剣乱舞 月刀剣縁桐』京都南座 衣裳展

会場:京都・南座(京都市東山区四条大橋東詰)

日程:2024年4月13日(土)~5月6日(月・休)
※休館日:4月15日(月)・16日(火)・17日(水)・22日(月)・23日(火)・24日(水)

時間:木・金/12:00~18:00(最終入場17:30)
土・日・祝/11:00~18:00(最終入場17:30)
※4月30日、5月1日、2日は祝日扱い
※天候・災害等の諸事情により、開演時間・イベント内容の変更、延期、または中止させていただく場合がございます。

料金:前売 2,500 円(税込)/当日 2,700 円(税込)
※館内入場時ミニ色紙(全7種)をチケット1枚につきランダムで1枚お渡し。絵柄は選べません。
※鳥海浩輔氏の録り下ろし音声企画のご利用は、入場チケットの料金に含まれています

購入はイープラスへ

衣装展開催プレオープン記念トークショーに
尾上松也さん&尾上右近さんが出演!

  • 「新作歌舞伎『刀剣乱舞 月刀剣縁桐』京都南座 衣裳展」の「プレオープン記念トークショー」が開催されます。松也さんと右近さんが、新橋演舞場公演のお稽古や本番の裏話など“ここでしか聴けない”トークを披露される予定。

会場:京都・南座(京都市東山区四条大橋東詰)

日時:2024年4月12日(金)17時開演 ※所要時間:1時間程度

出 演:尾上松也 尾上右近 松岡亮(松竹株式会社歌舞伎製作部芸文室所属/新作歌舞伎『刀剣乱舞 月刀剣縁桐』脚本)

料 金:全席指定 5,000円(税込)
※重要※プレオープン記念トークショーのチケットをご購入いただいた方には、イベント開演前と終演後に衣裳展も併せてお楽しみいただけます。(19時まで営業予定)

詳細・購入はイープラスへ

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