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INTERVIEW

バズ・ラーマン監督インタビュー「一緒に笑い、一緒に泣いて」▷『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』日本初演、開幕!

東京・丸の内の帝国劇場で6月24日、パリのナイトクラブ「ムーラン・ルージュ」の花形スター、サティーンと作曲家志望の青年、クリスチャンの悲恋を描く『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』が開幕しました。開幕に合わせて来日し、日本版のミュージカルを観劇した映画『ムーラン・ルージュ』のバズ・ラーマン監督に、ミュージカルの感想や、より深く作品を味わうためのポイントを聞きました。

――『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』は米国を始め世界各地で上演されていますが、日本版をご覧になられていかがでしたか

特別な、しかもとてもポジティブな作品になっていたと思いました。日本のお客さんはあまり表現をしないというか、静かだと思っていたので、実はどうなるか最初は心配もしていたんです。ところが、幕が開いてまず驚いたのは、皆さんが手拍子をしていたこと。そして、作品の持つユーモアがちゃんと通じていたこと。客席から手拍子が起きるというのは、日本特有じゃないでしょうか。舞台はライブですから、舞台上にいるパフォーマーたちと、ちゃんと繋がっているよ、という観客の意思表示なのかなと思いました。

――観客も、手拍子をしてしまうくらい楽しかったのだと思います

そうですね。若い女性が大きな声で声援を送っていて、まるでロックコンサートみたいでした。ロックコンサートなら、ああいう声援や拍手もありますが、日本の演劇では見たことがありません。私はこれまで、こんなショーの体験をしたことがないし、日本のお客さんは、(手拍子によって)すごい力を引き出していると感じました。

――物語はいかがでしたか?

言葉が違うせいもあるんですが、日本版は「悲劇」という部分がより強調されているように感じました。『ムーラン・ルージュ』は華やかさや派手さで知られていますが、ストーリーは悲劇ですよね。キャストは、どちらの組み合わせも、そこを非常に強調していて、とても感動的でした。俳優の皆さんが、実際にそれを体験していると信じられる、偽りや嘘のない「真実」が感じられました。

――海外では、そんなに「悲劇」が強調されていないのでしょうか

もちろん、物語が悲劇ですから世界中のプロダクションで味わえるものだと思いますが、日本は特殊だと私は感じています。歌舞伎などの伝統芸能を見ていても、日本には悲劇を愛する文化があると思います。例えば映画でも、ポスターに「泣けます」「泣ける映画」とある。これは、良いこととして書いてあるんですよね。「感動できますよ」ということをうたい文句にしている。これは日本特有だと感じています。拍手をして、手拍子をして、一緒に笑って、一緒に歌って、ロマンスがあって、そして最後には泣けます、というのが、とても日本に合っているのではないかと思います。

――なるほど。ちなみに、望海風斗さんのサティーンと井上芳雄さんのクリスチャン、平原綾香さんのサティーンと甲斐翔真さんのクリスチャンの組み合わせを両方ご覧になったと思いますが、違いは感じましたか?

小さな違いはありましたが、ニュアンス的な違いです。純粋な男性に対して、経験豊富なサティーンという組も良かったし、もう1組は楽しく遊びがあって、そこから急に悲劇に入る、そのコントラストが良かった。芳雄(井上さん)がプレビュー公演で「今日見に来られたお客さんはもう1チームを見てください、必ず違うものが感じられるから」と言っていましたが、実際に私は違いを感じました。どちらがいいとか悪いとかではない。全員が役を自分のものにしているからこそ生まれる違いで、それはとてもいいことです。どちらの組み合わせでも、ストーリーははっきり伝わってきましたし。

――世界がパンデミックから明け、日本もコロナ禍から脱しつつあります。エンターテインメント不遇の数年を経て、今、この作品がミュージカルとして上演されることをどう思われますか?

物語の中で、サティーンは結核で亡くなりますが、あれは当時のパンデミックですよね。実際にあの時代は、結核などの感染症で劇場が中止になることが起きていたそうです。私たちも同じような体験をして、コロナ禍には配信を見ながら過ごしていましたが、ポストコロナとなり、皆が一緒になって楽しいことに参加したいという気持ちになっていると思うんです。「我々は今、ここにいる」という生(なま)の関係で、一緒に笑い、一緒に泣くという体験を皆が劇場の中でできるのは、すごく貴重なことじゃないかと思います。

取材・文/道丸摩耶(産経新聞社)
撮影/寺河内美奈(産経新聞社)


Baz Luhrmann(バズ・ラーマン)

1962年9月17日生まれ、オーストラリア出身。映画監督・映画プロデューサー・脚本家・俳優。古典的な作品を豪華絢爛な衣装やセット、スピード感あるカメラワークで鮮やかに蘇らせ、圧倒的な人気を博している。代表作は『ロミオ+ジュリエット』(1996年)、『ムーラン・ルージュ』(2001年)、『華麗なるギャツビー』(2013年)、『エルヴィス』(2022年)など。
『ムーラン・ルージュ』では第59回ゴールデングローブ賞(ミュージカル・コメディ部門)で監督賞にノミネートされ、作品賞を受賞、第74回アカデミー賞では作品賞にノミネートされた。

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Stage Information

『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』

脚本:ジョン・ローガン
演出:アレックス・ティンバース
振付:ソニア・タイエ
ミュージカル・スーパーバイザー/オーケストレーション/編曲/追加作詞:ジャスティン・レヴィーン

サティーン:望海風斗/平原綾香
クリスチャン:井上芳雄/甲斐翔真
ハロルド・ジドラー:橋本さとし/松村雄基
トゥールーズ=ロートレック:上野哲也/上川一哉
デューク(モンロス公爵):伊礼彼方/K
サンティアゴ:中井智彦/中河内雅貴
ニニ:加賀 楓/藤森蓮華   ほか
(各役50音順)

公演日程:2023年6月29日(木)~8月31日(木)
プレビュー公演:2023年6月24日(土)~6月28日(水)
会場:帝国劇場

公演公式サイトはこちら

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