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INTERVIEW

浦井健治さん 新作アルバム「VARIOUS」引っ提げ、5月21日(日)LINE CUBE SHIBUYAでコンサート開催!

ミュージカル俳優の浦井健治さんが歌手として3枚目となるアルバム「VARIOUS」を引っ提げ、5月21日(日)に東京、6月2日(金)・3日(土)大阪でコンサートを開催されます。乗りに乗っている浦井さんにアルバム制作秘話やミュージカル『アルジャーノンに花束を』について等、お話をたっぷり聞きました。

あこがれのSOPHIA

――3月15日に3枚目のアルバム「VARIOUS」がリリースされました。

ありがたいことです。前作から、2年という短期間で出す機会をいただけて。
タイトルは「いろいろな」とか「さまざまな」という意味で、バラエティーに富んだ内容になっています。ジャケットには色とりどりの風船をあしらい、「聴いた人が元気になるような作品を」と願って作りました。

浦井健司 新作アルバム「VARIOUS」

――書き下ろし曲、J-POPのカバー、ミュージカル曲と歌も多様ですね。

あこがれのロックバンド、SOPHIAの松岡充さんがオリジナル曲を書いてくださいました。また、亡くなった父に向けて、シンガー・ソングライター、植村花菜さんが僕と共作してくださった。いろいろな方のお力添えがあり、皆で作った作品です。

――SOPHIAにあこがれていた?

学生時代にコピーバンドで歌っていたんですよ

――そういえば、高校時代は軽音楽部とサッカー部と…

なんで知っているんですか!? あとテニス部にもいました。

――3つも掛け持ち。もてたでしょう?

間違いなく、もてたくてやっていました(笑)。

――軽音楽部で、SOPHIAをコピーしていた?

そうです。SOPHIAの「街」という曲から活力を得ていました。まさか、松岡さんにオリジナル曲を書いていただき、ミュージックビデオにまで出演していただく未来が待っているとは。夢がかないました!

――松岡さんとは、どのようなやりとりが?

最初に面接みたいなことをしたんですよ。「曲を作るには、今の浦井くんを全部知らなきゃいけない」と。数時間、松岡さんとお話をする時間があって、それもうれしかった。ひたすら2人で話しました。

何を思っているか? 何が疑問なのか? 今、大切にしていることは何か? 何に興味があるのか? なんか合コンみたいでしたよ(笑)。好きな食べ物は? みたいなことを質問されて。 

それから、「今の浦井くんと浦井くんを応援するミュージカルが大好きな人たちが、ロックして元気になれるように、この曲を選んだ」って、松岡さんの声で吹き込まれたデモ音源が届いたんです。それが「バナナココナッツセット」です。

聴いたらSOPHIA色というか松岡節というか。自分に歌えるのか不安になるぐらい松岡さんの曲でした。この曲はマンツーマンでディレクションもしていただいてレコーディングしました。

♪浦井健治 – バナナココナッツセット[Official Video]

――明るく元気な歌ですね。

K-POPのダンスビートやヒップホップがはやっている中で、あえてロック、ポップで攻めている。懐かしさも感じるけど、斬新で最新さも感じる。そこにSOPHIAの色もあって、絶妙な味付けで来たなって感じています。一緒に歌いたいです。松岡さんと、いつか。

父への思い

――「キャッチボール」という歌も重要な歌ですね。

そうなんです。

父が亡くなって、漠然とですが、父に向けた曲があったらいいなと思っていたんですが、今回アルバムを出す事になったときに、ミュージカル『Color』でご一緒した植村花菜さんにお願いしたら、快く受けてくださったんです。

植村さんからは「何でもいいから作文を書いてよ。お父さんについての。お父さんへの手紙でもいいから」って。元々父が残した手帳があったんですね。そこには、人生の教訓めいた言葉とかたくさん書いてあって、それを見ながら父との思い出を振り返って書いているうちに降ってきた言葉が歌詞になって、そこに素敵なメロディを植村さんがのせてくれて「キャッチボール」が出来上がました。

父が亡くなる前に『ビッグ・フィッシュ』も観てくれたんですけど、今回、「キャッチボール」の前に「Be the Hero」という歌が入っていますが、もともと『ビッグ・フィッシュ』は父と息子の物語でその劇中歌なんです。

――だから選曲したんですね。

特に父はこの作品を喜んでくれてましたし、「キャッチボール」については母がこの曲を聞いて大満足してくれたから、ちょっとは親孝行が出来たかなって思ってます。

望海風斗のトートの秘密

――書き下ろしがその2曲。J-POPのカバーが4曲。残る6曲がミュージカルナンバー。この構成は何か狙いがあるのですか?

ミュージカル俳優だから、ミュージカルナンバーで固めればいいのかもしれませんが、誰もが知るような有名な曲を浦井が歌ったら、こういう音色になるってことも示したかったっていうのもあります。

――スターダスト☆レビューの名バラード「木蘭(もくれん)の涙」は、やや異色の選曲だと思ったのですが…

これは、長く歌い続けられる曲をと考えて選びました。でも選曲したものの、やっぱりものすごく難しかったですね。

――ミュージカルナンバーは、ご自身の出演作ですか?

違いますね。『レ・ミゼラブル』の「民衆の歌」とか、僕レミゼ出てないので。それと、「Go the Distance」は、映画『ヘラクレス』の主題歌です。
これは、日本語吹き替え版で、藤井フミヤさんが日本語詞をされて歌っていますが、僕はフミヤさんも大好きなんです。

ミュージカル仲間がコンサートで取り上げることも多い曲ですが、今回の僕としては、ヘラクレスが歌っていることを意識して、お芝居寄りというか、役を演じているように、男らしいニュアンスで歌わせてもらいました。

――『ヘアスプレー』の中の「You Can’t Stop the Beat!」は?

これは、(井上芳雄、山崎育三郎と3人で組んだユニット)StarSのコンサートで歌っていたんですが、3人で歌っていた曲を、1人で全部歌う面白さもあって。

――『エリザベート』の「闇が広がる」はファーストアルバムでも歌っていましたが、今回は元宝塚歌劇団雪組トップスター、望海風斗(のぞみ・ふうと)さんとのデュエットですね?

これがですね、だいもん(望海の愛称)がトート閣下として参加してくれて、めちゃくちゃかっこいいんです。
宝塚版『エリザベート』のキーで歌っていて、東宝版のキーよりも高かったけど、とりあえず歌えたのでひと安心でしたね。コーラスもだいもんがやってくれました。

――多重録音で一人で? 浦井さんにしては音が高いと思いました。

コーラスは人生初だって言っていました。すごくないですか? 目の前に、『エリザベート』の世界が広がる。うわぁ~って思いますよね。

――浦井さんらしさが、濃縮されたアルバムになった?

そうなってればいいなと思います。同時に、新しい面を見せられたらなとも思います。そして、これを聴いて、皆で未来に向かって元気になってもらえたらと願っています。
未来を見るって素敵なことだと思います。明るい気持ちで前を向いて進んでいくって素晴らしいことだと思う。そういう意味とか願いをアルバムには込めました。

ポジション

――ところで、先ほど井上芳雄さんの名前が出ました。井上さんや浦井さんは、ミュージカルを身近な存在に変えましたよね?

そういう意味では、鹿賀丈史さんや市村正親さんは、まさに国民的な存在ですよね

――浦井さんも後輩が大勢いる立場になったのでは?

僕は、恵まれているなと思います。タイミング合って、〝浦井健治っていうものになれた〟というか。そろそろ何かを後輩たちに還元したり、示したりしなくてはならないポジションにはなりましたね。

――そういうことを意識し始めた?

先輩たちの言動が分かるようになってきました。

例えば、劇団☆新感線でご一緒した古田新太さんや、橋本じゅんさんは後輩の面倒をよくみてくれて、僕も食事に誘ってもらったり、お芝居の助言をいただいたり、時には背中で見せてくれたり。
自分ができるかどうかは置いておいて、先輩方の、そうした思いを感じられるようになりました。

――先輩たちから後を託された?

そこは、別に、そんなに期待されていないと思います(笑)。でも、シェイクスピア歴史劇シリーズの中嶋しゅうさんや渡辺徹さん、亡くなられた先輩たちから、言われている言葉はあります。それと、演劇の賞をいただいたときや、この作品にって名前をあげていただいた時など、「なぜ浦井を選んでくれたのか? 何を求め、何を残せと言っているのか?」ということは考えます。

SFではなくなった『アルジャーノンに花束を』

――演劇の賞といえば、菊田一夫演劇賞と読売演劇大賞最優秀男優賞を受賞した『アルジャーノンに花束を』が再々演されましたね。

本当に光栄なことです。ただ、今回は演出が荻田浩一さんから上島雪夫さんに代わって、出演者も僕がやった時とは変わりました。新しいカンパニーで、ゼロから2023年バージョンを作る気持ちでした。SFだった物語が身近になって、もうSFじゃなくて現代を切り取った演劇的な作品になりました。

――『アルジャーノンに花束を』は、浦井さんにとってどのような作品ですか?

初めて主演をさせていただいて、オリジナルのミュージカルを作ることの難しさや楽しさを経験させてもらいましたし、僕にとっては、ミュージカルやストレートプレイなど、演じる上でバイブルとなっている作品です。

雑草の終わりなき夢

――5月21日に東京・LINE CUBE SHIBUYA(元渋谷公会堂)で、6月2・3日には大阪・サンケイホールブリーゼでコンサートが控えています。忙しくて充実していますね。

そうですね。ありがたいです! 東京は渋谷公会堂。バンドをやっていた身としては、あこがれの場所。自分が渋公に立つのか、おお! みたいな気分。

『エリザベート』で、ルドルフをやっていたときのトートダンサーで、今は宝塚歌劇団の振付師として活躍している桜木涼介くんが演出をしてくれるんです。こういう昔を共にしてきた仲間と一緒にやれるっていうのも充実感というか、いい経験になるんだろうなと思っています。

――夢はかなった?

はい。

――特撮ドラマの「仮面ライダークウガ」がデビュー作で、いまミュージカルの世界にいますね。昔の夢はなんだったのですか?

あの頃は、多分、何も考えてなかったかもしれないですね。踊りが好き、歌が好きでこの世界に入ってすぐに、(仮面ライダーの敵方の首領)ン・ダグバ・ゼバ役をいただいてしまったので。

――ミュージカルの世界に進んだきっかけは?

舞台演出家の小池修一郎先生ですね

――小池さんですか

『美少女戦士セーラームーン』(タキシード仮面役)や『阿国 -OKUNI-』などに出てはいたのですが、いわゆる本格的なミュージカルは観たことさえなかった。

ルドルフに決まってから、トート役の山口祐一郎さんと内野聖陽さんが出ているからと『レ・ミゼラブル』を観て、「なんだ、これは!」って。それが、始まりでした。

僕は学校とかで演劇の勉強をしてきたわけでもないので、それから大変でした。毎日何時間もカラオケボックスに籠ってトレーニングをする日々でしたね。

――大変でしたね

今も大変です。自分は雑草。とにかく、やれることをやるだけ。
「何、その歌い方」って思われることもあるかもしれませんが、逆に、それが新鮮だと思ってもらえることもあるのかなって。

今はデビューしてからずっと現場という大学に通っている感じです。

――まだ、卒業していない?

この大学には、卒業がないってことに気づいちゃって。どうしようかなって感じです(笑)。

取材・文・撮影/石井健(産経新聞・文化部)


浦井健治(Urai Kenji)

1981年8月6日生まれ。東京都出身
2000年『仮面ライダークウガ』敵の首領役で俳優デビュー。その後、2004年ミュージカル『エリザベート』ルドルフ皇太子役に抜擢。以降、ミュージカル、ストレートプレイ、映像作品と幅広いジャンルの作品に出演。第22回読売演劇大賞最優秀男優賞、第67回芸術選奨文部科学大臣新人賞<演劇部門>など数々の演劇賞を受賞。

現在、自身が描いたキャラクターがアニメとなり「開け!キャラクターのとびら きゃらトビ!」(フジテレビ)内のショートアニメ「きょうのうらけん」の声を担当するなど多彩な活動を展開。

2023年7月~8月『家族モドキ』、10月~11月シェイクスピア ダークコメディ交互上演『尺には尺を』『終わりよければすべてよし』、2024年3月~ブロードウェイミュージカル『カム フロム アウェイ』に出演予定。
2023年5~6月には『浦井健治 Live Tour 2023~VARIOUS~』を開催する。

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Stage Information

『浦井健治 Live Tour 2023~VARIOUS~』

浦井健司 新作アルバム「VARIOUS」

【東京】LINE CUBE SHIBUYA
2023年5月21日(日)14:00開演・18:30開演 
【大阪】大阪・サンケイホールブリーゼ
2023年6月2日(金)18:00開演、6月3日(土)13:00開演、18:00開演※FC貸切 

料金:全席指定 11,000 円
※未就学児童のご入場不可

チケット販売中!!
詳しくは、公式サイトへ

【お問合せ】
東京公演:キョードー東京チケットセンター 0570-550-799
(平日11:00~18:00/土・日・祝10:00~18:00)
大阪公演:キョードーインフォメーション 0570-200-888
(平日11:00~18:00/日・祝休業)

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