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INTERVIEW

【Jump UP☆20s】本田礼生さん「自由でわがままな役者になりたい」

注目の若手俳優を紹介するEditorsシリーズ「Jump UP☆20s」では今年1月、俳優の本田礼生さんを紹介しました。3ヶ月に及んだ「舞台『刀剣乱舞』天伝蒼空の兵 -大坂冬の陣- 」で座長を務めあげ、8月7日に開幕する「舞台「鬼滅の刃」其ノ弐 絆」で再び冨岡義勇役を演じる本田さんに、舞台への意気込みや役者への思いをたっぷり伺いました。

宝塚歌劇に感動

――前回のインタビューは「舞台『刀剣乱舞』天伝蒼空の兵 -大坂冬の陣- 」の開幕前でした。公演を終え、お休みは取れましたか?

はい、取れました。時節柄、旅行などには行けませんでしたが、ちょこちょこと休みも取れて、いろいろなことを考える時間もありました。映画をめちゃめちゃ見ましたね。20本以上ある「アベンジャーズ」全シリーズを見直したり、古い映画も何本か見たりしました。ぼくは、映画、特に洋画の表現方法が好きなんです。自分の演技の参考にしようと思って見ているわけではないんですが、確実に影響を受けていると思います。見ていてシンプルにおもしろい。というのはすごく大切ですよね。

自分がお芝居をするときも、スイッチの入れ方や空気の変え方の手段として、洋画を参考にすることがあります。俳優の演技だけではなく、カメラワークとかライティングとかいろんなところにヒントがあると感じています。
先日は宝塚歌劇を観劇するチャンスもいただきました。

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――生の宝塚は、いかがでしたか?

すごかったです! 同じ舞台というジャンルですが、宝塚歌劇は自分が立っている世界とは全然違います。ぼくたちがやっている演劇は、キャスト・スタッフがその作品のために集まりますが、宝塚の方たちは、同じ学校(宝塚音楽学校)で学び、芝居や歌、ダンスの基礎をしっかりと持っていらっしゃる。舞台はチームワークなので、ひとりひとりの演劇に対する向かい方がしっかりしていると、世界観がしっかり作られるし、エンターテインメントとしての完成度や強さにつながるのだと改めて感じました。特に感動したのは、群像の表現や全員の団結力。「これを見せたい」というものが明確だし、それを全員で共有できている。それって、演劇にとってすごく大事なことですよね。宝塚という伝統のすごさを感じました。

僕が観た演目では、トップスターさんは、1幕のお芝居ではすごく遠いところ、それこそ未来や行く末といったはるか遠いところを見ていらした。視線だけではなく、体全体でそれを表現していらっしゃったんです。それが、2幕のショーでは、一瞬にして現実に帰ってきてくれて、すぐそこにいてくれる。ぼくは、舞台上の目の使い方、視線や体の位置で、空間の広さや心情の大きさまでが表現できると思っているんですけど、トップスターの方が持つ「広さ」は本当にすごかった。屋外のシーンでは本当に外にいるように見えるし、舞台にいる全員を背負い、全てを受け止めるんだという覚悟も伝わってきました。ダンスも異次元でしたね。表現力が高すぎて、すごすぎて…。フレッシュな持ち味と、センターに立つトップスターの存在感が共存している。なんだこれは…!と本当に驚きました。

――ご自身の仕事にも刺激になりましたか?

そうですね。次の舞台(舞台『鬼滅の刃』其ノ弐 絆)の稽古がまもなく始まるタイミングで見させていただいたので、気持ちも引き締まりました。冨岡義勇を演じるにあたって、一番大事なことはもちろん冨岡義勇として生きることですが、その前に自分たちがやるのは演劇なんだということをすごく意識させてもらいました。2.5次元舞台のお仕事を続けてやらせていただくうちに、演劇のやり方に、勝手に自分で制限をつけてしまっていたところがあったかもしれません。もう少し表現の方向をワイドにしてもいいんじゃないか。もっと自由にいろいろやってみてもいいんじゃないか、と思えました。

客席には、宝塚を目指しているんだろうなという子もいました。遊園地に来ている感覚というか、一番幸せな空間にいる顔をしていたんですよね。ぼくが出演させていただいている2.5次元舞台でも、2.5次元舞台を目指す子供たちが来てくれるように、ぼくもがんばってレベルを上げていかないといけないと思いました。

――舞台「鬼滅の刃」では、冨岡義勇役として2回目の出演となりますね

はい。でも、初めて挑む気持ちでやろうと思っています。前回の竈門炭治郎との出会いのシーンから物語が進んでいって、今回から冨岡義勇らしさがますます出てくると思うので、「再スタート」という気持ちでいます。出演者も増えましたし。(脚本・演出の)末満健一さんも「新作を作る気分でやる」とおっしゃっていらしたので、全員がその気持ちです。

――末満さんとは舞台『刀剣乱舞』でもご一緒でしたが、どんな方ですか

愛がめちゃめちゃ強いのに、いい意味でとてもドライで、求めることも分かりやすいです。ぼくはあんまり演出家さんに質問しないタイプ。演出家さんが答えを示してくださるので、役者はそれをやるだけだと思っているのですが、末満さんとはそうした関係がすごくやりやすいです。求めるものを明確に示してもらえるので、こちらはそれ以上のものを返せるようにがんばる。先頭に立つ末満さんが持っている旗は、とても明確です。

――「舞台「鬼滅の刃」其ノ弐 絆」の見どころを教えてください

前作よりも、より“鬼滅の刃らしさ“が出ると思います。柱も集結しますし、皆さんが思う「鬼滅の刃」の世界が描かれるので、どう受け止めていただけるかぼくも楽しみです。“鬼滅の刃らしさ“を大切にしたいですし、舞台だからこその臨場感を味わってほしいです。人間の生死を扱う作品なので、その強さもしっかり出していきたいと思っています。
出演者も、実力のある役者さんがそろっていて、スタッフさんも素晴らしい方々です。いろいろな部分で尊敬できる人たちとご一緒できるので、実力ある人たちが個性をぶつけあって、末満さんがそれをひとつの作品にしていく。そういう部分も楽しみにしてもらいたいです。

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お客さんの力に「演劇をやっていい」

――「俳優・本田礼生」として、理想の俳優像はありますか?

僕のファンの皆さんの間では、ぼくはSNSを更新しないことで有名なんですけど(笑)、そのひとつの理由は、個人的に発信するツイートはエンタメじゃないと嫌なんですよ。「おもしろいツイートにしたい」って思っちゃう。まぁ、もはやぼくが「おはよう」ってツイートすること自体がおかしいから、それを狙ってツイートするときもありますけど(笑)。
何気ないことをツイートするのも、ファンの人への感謝のひとつだということはもちろん分かってはいるんですが、舞台の上から返すのが役者だと思っている自分もいて…。

人間・本田礼生としては、何ならファンの皆さん全員とご飯に行きたいくらいのノリなんですが、役者・本田礼生としては、本田礼生を知られたくないという…。自分で自分が面倒くさい人間だということは自覚しています(笑)。イベントなどで、ファンの方を目の前にすると、笑わせたいし、楽しかったと思ってほしい。でも、それをあまりやっちゃうと、寡黙な役を演じるときに「よくがんばったね」と思われてしまうかもしれない。みたいについつい考えちゃうんですよ。だからSNSの更新が気軽にできないんですよ。って言い訳みたいになっちゃいましたね。(苦笑)

ぼくは演劇を小さいころからやってきたわけでもないし、養成所に行ったこともない。それゆえに、舞台役者に対するリスペクトが強すぎるんだと思います。舞台に立てていることへの幸せだったり、舞台で活躍する俳優へのリスペクトが人一倍強いんですよね。演劇だけで生きていけるならそれでいい。主戦場は舞台でいたい。だから、将来的には役者の仕事以外のことについては、自由でわがままなになりたい。それでも皆を納得させられるようになりたいという思いがあるんです。

――新型コロナウイルスの流行で、演劇は「不要不急」とされました。舞台を愛する俳優として、どんな思いでしたか?

初めての緊急事態宣言が発令された時は、誰もが感じたと思いますが本当に不安でした。あのときは正直、演劇をやっている場合じゃないと思いました。何より命は大事だし、当時はウイルスの感染力や対策も分かっていませんでしたから。でも、あのときと今では状況が違っていると思っています。
もちろんまだまだ不安はあるし、これからどうなるのかは分かりませんが、あれから1人1人が自分でできる対策や、協力して行ってきたことも多くあると思います。それらがこれからの心強い道しるべになっていったら良いですよね。

舞台はお客さんがいて完成するという言葉がありますが、それをまざまざと感じたのは舞台『刀剣乱舞』に出演していたときです。開演前の客席が静かなんです。お客さんは座席に座っているのに劇場内がシーンとしているんです。マスクをしていて尚且つ会話もしないで開演を待っていてくださる。そして、劇場からでる時も同じように静かに順番に席を立って帰る。スタッフさんの感染予防対策への呼びかけを粛々と守って行動してくださる。当たり前のことかもしれませんがその当たり前がなかなか出来ていない今の状況なので本当にありがたかったです。僕、開演直前にスタンバイしていた場所が客席の様子が伺えるところだったので毎回、開演前の客席の静けさを感じる度に、応援してくださっているお客さんのおかげで舞台ができているし、本当に一緒に作っているんだと実感しました。演劇を続けるためにがんばっているのは自分たちだけではない。お客さんの志と力を感じました。

これからも、役者として舞台を見に来てくださるお客さんに何かを届けられるように、演じていきたいと思います。まだまだ何かと不安定な世の中ですが、力を合わせて乗り切りましょう!という気持ちです。

取材・文/道丸摩耶(産経新聞)
撮影/飯田英男(産経新聞)
ヘアメイク/横山裕司



本田礼生(Reo Honda)

1992年10月28日、愛媛県出身。 ミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズン 菊丸英二役で注目を集める。その後も、THE CONVOY SHOW公演、MANKAI STAGE『A3!』シリーズ、舞台『刀剣乱舞』天伝 蒼空の兵-大阪冬の陣-、テレビドラマ「KING OF DANCE」などに出演。RKBラジオ「カリメン」内の番組『てんご』(毎週火曜日)にてパーソナリティを務めるなど幅広く活躍中。

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Stage Information

舞台「鬼滅の刃」其ノ弐 絆

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吾峠呼世晴/集英社 舞台「鬼滅の刃」製作委員会 舞台「鬼滅の刃」其ノ弐 絆

原作:『鬼滅の刃』吾峠呼世晴 (集英社ジャンプ コミックス刊)
脚本・演出:末満健一
音楽:和田俊輔

出演:小林亮太、石あかり、植田圭輔、佐藤祐吾、本田礼生、矢崎 広、辻 凌志朗、奥田夢叶、門山葉子、川崎愛香里、宮本弘佑、前田隆太朗、チャンヘ、内田未来 他

【東京公演】2021年8月7日(土)〜8月15日(日) 会場:天王洲 銀河劇場
【大阪公演】 2021年8月20日(金)〜8月22日(日) 会場:梅田芸術劇場 メインホール
【東京凱旋公演】2021年8月27日(金)〜8月31日(火) 会場:TACHIKAWA STAGE GARDEN

公演公式サイト

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