『モーツァルト!』『エリザベート』など帝国劇場のグランドミュージカルで活躍するミュージカル界の貴公子が、テレビ東京のドラマ「女の戦争バチェラー殺人事件」でドラマ初主演しています。昨年のNHK連続テレビ小説「エール」では、ミュージックティーチャー役で話題に。8、9月には、自身初となるミュージカルコンサートを開催するなど、ますます活躍の幅を広げる古川雄大さんに、ドラマの撮影秘話やコンサートの抱負を聞きました。
リゾート地で2週間みっちり撮影
――ドラマ初主演、おめでとうございます。
ありがとうございます。お話をいただいたときは、本当にびっくりしました。こんな早いタイミングで主演させていただけるなんて、本当に恵まれていると思います。脚本を読ませていただいたら、これまた魅力的な要素が詰まっていて、素敵な出合いに感謝することばかりです。
――演じるのは、総資産3000億円の御曹司、鳴戸哲也。はまり役ですね!
舞台では王子様の役をやってきましたが、映像では初めてです。ただ、御曹司といっても、哲也はキラキラしているだけの人ではないんです。父との対立があったり、最愛の人を事故で無くすトラウマを抱えていたり…。影がありながらも、それを打破しようとする真っ直ぐな優しい人です。明るいオーラも持っています。ぼくは、陰と陽なら陰が強いタイプなので、明るさというのは舞台でも課題でしたし、今回も課題のひとつでした。
――ドラマの撮影は、舞台とは違うと思いますが、いかがでしたか
香川県のレオマリゾートというところで、2週間かけて撮影しました。タイトなスケジュールではありましたが、すごく素敵な環境で…。ホテルの方も協力してくださり、スムーズに撮影が進みました。テストなしで本番を長回しで撮影するなど、舞台に近いなと思う瞬間もありました。よりリアルな反応をとる狙いでそういう風にしたそうです。もちろん、演技の仕方も撮影の方法も舞台と違うことがたくさんあり、映像ならではの楽しさがありました。キャストだけでなく、スタッフさんともコミュニケーションがしっかり取れて、皆と仲良くなりました!
――レオマリゾートはどこにあるんですか?
香川の丸亀市で、市街地から車で30分くらいのところです。なぜ詳しいかというと…撮影期間中に、とある牛丼店の夢を見たことがあったんです。某店の牛丼が夢に出てきて、それを今から食べるぞ、というところで起きちゃった! そこからどうしても牛丼が食べたくなって、調べたら丸亀市内に店舗を見つけて…! そこまでの所要時間が30分だったんです。
――結局、牛丼は食べられましたか?
食べなかったです! 店までタクシーで行って帰ってきたら、牛丼の何倍ものお金がかかっちゃう(笑)。「冷静になれ」「夢だ!」「東京に帰ってから食べよう」と自分に言い聞かせました。
次はまさかの殺人犯役?
――8月には初めてのミュージカルコンサートが開催されます。さまざまな作品に出演されていらっしゃるので、選曲も大変なのでは?
「ここかな?」というところを選んだらピタッとはまりまして…選曲での悩みはそんなになかったです。でも、そこからどう魅せていくかは、これからいっぱい悩むだろうと思います。ミュージカルの楽曲は、物語の中で歌うときとコンサートで歌うときとで、演技具合というか、熱量というか、テンションというか、そのあんばいが変わりますよね。どこまでショーアップするかによっても違うと思うので、そこは悩みます。
(インタビュー時点では)演出のTETSUHARUさんと打ち合わせしている段階で、これから詰めていく作業になります。まだイメージの段階で、稽古に入ってみないと分からないことが多いです。しっかり固めてから稽古に入りたいですが、たぶん稽古をしながら作り上げていくことになると思います。でも、こだわって作りたいです! 皆さんが見た舞台の曲が入っているかどうか、楽しみにしていてください。
――ゲストも豪華ですね
そうなんです! 豪華過ぎるんです。これまでライブをやるときは、自分の空間を作らなくてはという思いが強くて、ゲストを呼んだことがなかったんです。でも、新しいことに挑戦しようと、今回は豪華なメンバーに来ていただくことになりました。その分、自分がかっちりしたところを見せないといけないというプレッシャーもあります。
――今後はミュージカルとドラマのどちらをやっていきたいですか
両方を主軸にして、舞台も映像もどちらもやっていきたいです。アーティスト活動として、ライブもやっていきたい。ぜいたくでわがままで欲張りですね、ぼく。でも、今回はコンサートという形で新たな挑戦ができることになり、本当にうれしいです。ミュージカルに限らず舞台全般に興味がありますし、この先も新しい古川雄大を見られるようにしなきゃいけないと思っています。
ちなみに、役柄で言うと、ぼくはホラーやサスペンスが大好きなので、殺人犯をやってみたいです。今回(「女の戦争」)は殺される方でしたが、次は逆で(笑)。
――デビュー当時は、ドラマで主演することになると想像していましたか?
まったく想像してなかったです。そもそも、こんなにミュージカルに出演させていただくとは、この業界をめざしたときはまったく思っていなかったです。朝ドラに出演させていただくことも、想像すらしていなかったです。「この先どうなっていくんだろう?」というのは、ミュージカルを頑張りだしたころからずっと思っていました。ミュージカルの舞台に立てている自分を、今も不思議に思うことがあるんです。もちろん、やりたくてやっているんですが。
ただ、今回のドラマのお仕事は、ミュージカルを頑張ったことによって出合えたものだと思います。だから、この先もずっと、「この先、どうなるかわからないな」と思いながらやっていくんだろうなと思います(笑)。与えられたものを頑張ってやれば、いい結果につながるということは分かっているので、これからも目の前のことをがんばりたいです。
――最後に、ファンの皆さんにメッセージをお願いします
「女の戦争バチェラー殺人事件」は、絶対におもしろいと思います。見ていただいた方の感想がとても気になります。そして、ぼくを応援してくださっている方は、コンサートを待ち望んでくださっていた方が多いんじゃないかと思います。そちらもやっと実現できそうなので、一緒に楽しめたらいいなという気持ちです。
皆さまに良いものが見せられるように打ち合わせと稽古を重ねていますので、最高のパフォーマンスができる環境を整えて、自分のベストを尽くしたいと思います。
取材・文/道丸摩耶(産経新聞)
撮影/萩原悠久人(産経新聞)
古川雄大(Furukawa Yuta)
1987年生まれ。長野県出身。
2007年、テレビドラマ「風魔の小次郎」、ミュージカル「テニスの王子様」で俳優デビュー。2012年にミュージカル『エリザベート』のルドルフ役で注目され、『ロミオ&ジュリエット』『モーツァルト!』などのミュージカルに主演。 2020年のNHK連続テレビ小説「エール」、映画「コンフィデンスマンJP プリンセス編」などドラマや映画でも活躍する。
Information
【TV】 サタドラ「女の戦争バチェラー殺人事件」
2021年7月3日(土)スタート テレビ東京 毎週土曜23:25〜
主演:古川雄大
出演:葵わかな、トリンドル玲奈、寺本莉緒、尾碕真花、北原里英、成海璃子、真飛聖
Stage Information
【コンサート】『古川雄大 The Greatest Concert vol.1 -collection of musicals-』
ゲスト:木下晴香、黒羽麻璃央、昆夏美、花總まり、廣瀬友祐、愛希れいか、山崎育三郎、渡辺大輔 (50音順)
演出/振付:TETSUHARU
音楽監督/編曲:小澤時史
【大阪公演】2021年8月27日(金)〜29日(日) 会場:COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール
【東京公演】2021年8月31日(火)〜9月5日(日) 会場:TBS赤坂ACTシアター