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INTERVIEW

尾上松也さん《後編》「すべては歌舞伎への恩返し」

大ヒットドラマ「半沢直樹」(TBS)からミュージカル、バラエティー番組の出演など「歌舞伎俳優」の枠にとどまらず幅広く活躍する尾上松也さんがこのほど、若手俳優が舞台出演をかけて戦う配信番組「主役の椅子はオレの椅子」(AbemaTV)のMCに起用された。10月には自身が主演として出演する『百傾繚乱』の配信舞台やプロジェクト『IMY歌謡祭』も控え、縦横無尽の活躍を見せる松也さんに、新型コロナウイルスの影響を受けるエンターテインメント業界のなかで思うこと、今後の抱負などを聞いた。

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勢いでやった「ルキーニ」「お岩」

――新型コロナで「エリザベート」が中止となりました。ルキーニ役ははまり役でしたし、中止が決まったときは残念だったのではないですか?

あの状況下ですから、仕方がないとしか思いようがなかったです。お稽古をして、いよいよ本番に臨もうという時期に緊急事態宣言が出てしまいましたので。確か、ストップしたのは劇場入りする数日前でしたね。1カ月半くらい、小池先生と仲間たち、スタッフとともに作ってきましたので、披露したいという気持ちはもちろんありました。とはいえ、できるわけがないということも理解はしていましたから、それほどダメージはなかったです。

ルキーニは年齢制限があるお役でもないですし、「エリザベート」は人気作品ですので、もとの日常が戻ってくれば必ずまた上演できるチャンスがあるだろうと信じています。今回のメンバーが全員そろうことはおそらくないと思いますので、それは残念ですが…。

――前回(2015年)のルキーニを拝見しましたが、とても良かったです。ちなみに、「ボクの四谷怪談」(12年)のお岩役も拝見しております。

お岩さまのときは…いや、たぶんルキーニのときも、オラオラ、イケイケみたいな空気感のまま演じていました。勢いでしかなかったです、あの時期の私は(笑)。今は少し冷静になったと思います。余裕が出たわけではないのですが、現場にいるときの周りの見え方は、年齢とともに確実に変わってきました。イケイケ、オラオラみたいな空気感や精神は忘れたくないので、いまだに心の中にあるんですけど。こと、ルキーニに関しては、前回は(山崎)育三郎くんとのダブルキャストで、お互いこの役が初めてで好きなように表現していました。育三郎くんがそうなら、こっちはこうやってやるぞ、みたいな。今回のルキーニは僕のほかに、初めてルキーニを演じる若い2人(上山竜治さん、黒羽麻璃央さん)でした。僕は指導的立場ではないですけど、前回経験していることも踏まえて2人もいろいろ聞いてくださいましたし、僕自身もその中で自分のルキーニを作っていきました。前回の環境とは違いましたので、自然と少し落ち着いて周りが見られました。

(初めて演じてから)45年もたっていますから、稽古場では育三郎くん(トート役)や小池先生から、「パワーアップしたね」と言われました。舞台もそうですし、映像でもいろいろな経験を積ませていただきましたから、それらを役に生かしてパワーアップできていなかったらだめですよね。

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「IMY」の3人は根底の部分が一緒

――10月には、山崎育三郎さん、松也さん、城田優さんのプロジェクト「IMY」のコンサートがありますね。

本来は「エリザベート」の稽古期間中の2月に開催する予定だったのですが、こちらも中止せざるを得なくなって。今年はもうできないかと思っていたら、振替公演のチャンスをいただきました。地方から来ようとしてくださっていた方も多くいらっしゃいましたが、今のこの新型コロナの流行状況では東京にいらっしゃるのに抵抗があったり、止められたりする方も多いでしょう。新型コロナでエンタメに対しての距離ができてしまったのは残念ですが、来てくださる方を全力でお迎えしたいです。

――3人は全然違うタイプに見えます。意見が割れたりしませんか?

優くん(城田)は学生時代から知っていますけど、育三郎くんも含めて3人で仲良くなったのは、育三郎くんと僕がダブルキャストでルキーニをやって、優くんがトートをやった15年の「エリザベート」。3人でご飯を食べながら、演劇やエンタメ界、ミュージカル界の今後のこと、自分たちが思うこと、納得いかないこと、変えたいことややりたいことなどを話し合ううちに、方向性が合うと気づきました。結束を強めて、いつか3人で何かをやりたいという話をずっとしていましたね。

「IMY」の3人は根底の部分が一緒なのでつながっているんですけど、プライベートでも仲がいいからこそ、こうしたプロジェクトを仕事としてやることについては、それぞれ覚悟をもっています。3人はタイプが全然違うし、どういう風にしたいかという持っていき方も結構違うんです。例えば(城田)優くんは、いろいろなことを考えて綿密に計算してやるタイプ。アーティスティックな部分やこだわりが強い。育三郎くんは本能タイプで、そのときに思いついたことをパンと言って、次の瞬間には忘れている。「こういうのがいいんじゃないかな」って言うから「それいいね」と3人で話していると、10分くらい経って、「でもさ、それ、あまり面白くないと思うんだ」って。お前が言ったから話し合ってたんだよ!と(笑)。僕は会議や話し合いをしながら自分の方向性ややりたいことを見つけていくタイプ。影響を受けながら自分のやりたいことの方向性を見つけていきます。3人とも全然違う。でも、それぞれが持っていない分野、部分があるから、やっていておもしろいというのはありますね。

なぜ最終的に着地できるかというと、どこに着地したいかがいつも同じだから。方向性ややり方は違うんですけど、何をしたいかは分かるんです。最終的には腑に落ちる。だからやっていて楽しいんですね。演劇に対する姿勢や考え方が合うという信頼がある。

19年4月に旗揚げコンサートを開催しましたが、もともと1回で終わるつもりはなかった。「10月にコンサートをします」と言っておいて何ですが、「IMY」は音楽ユニットではないんです。演劇やエンタメを3人で企画して作り上げ、自分たちが矛盾に感じる点や、こうあるべきだというものを形にしていく。それが新たな演劇の形として広がっていけばいいなという思いがあるので、基本的には演劇チームのつもりで取り組んでいます。ただ、残念ながら、われわれもそれぞれに芸能活動をしておりますので、オリジナルで何かを作りたいという気持ちがありながら、「この月に集まりましょう」とすぐ集まることすらなかなかできないものですから…。ですが、皆さまに3人が何かしようとしていることを忘れないでいただくためにも、今年もコンサートという形で開催させていただきます。今のところやっていることが音楽グループですから、「CDはいつ出すんですか?」と聞かれますが、出しません!(笑)やりたい形はその先にあります。

――最後に、ファンへのメッセージをお願いします。

僕自身は歌舞伎をベースに舞台を中心に活動してきた役者ではありますが、今は映像でお目にかかる機会が増えてはいます。ですが、根本としてやはり舞台を生で見ていただくことが大好きです。リモートは便利ですし素晴らしいツールですけれども、やはり生で人に会うというのが人にとってどれだけ大切かは、皆さんも自粛期間を通じてお分かりになったと思います。生の舞台を見に来ていただける機会、多くの方と時間を共有できる日が来ることを願って僕も頑張りますし、皆さんもそういう世界が戻ってくることを祈って、一緒に頑張っていただきたいなと思います。

取材・文/道丸摩耶(産経新聞)
撮影/酒巻俊介(産経新聞)
ヘアメイク/岡田泰宜
スタイリスト/椎名宣光



尾上松也 (Matsuya Onoe)
1985年1月30日生まれ。歌舞伎俳優。5歳で『伽羅先代萩』の鶴千代役にて初舞台。近年は立役として注目され、「鳴神」の鳴神上人、「弁天娘女男白浪」の弁天小僧菊之助など大役を任されている。2014年からは、20歳代が中心となる新春浅草歌舞伎では最年長のリーダー役を勤めている。
歌舞伎以外では、蜷川幸雄演出の騒音歌舞伎(ロックミュージカル)『ボクの四谷怪談』(2012年)お岩役、東宝ミュージカル『エリザベート』ルイジ・ルキーニ役(2015年6〜8月)などで活動の幅をひろげ、歌舞伎自主公演『挑む』も精力的に行っている。
2019年1月23日山崎育三郎、城田優とのプロジェクト『IMY』を結成。この「I・M・Y」は、3人の名前のアルファベットの頭文字を組み合わせたものである。
最近では、日曜劇場『半沢直樹』(TBS)でIT企業社長・瀬名洋介役を演じ、更なる注目を集めている。

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Stage Information

『小淵沢 百傾繚乱 特別配信公演』

配信キャリア:チケットぴあ「PIA LIVE STREAM」
視聴料金:3,500円 (発売中)
配信期間:10月11日(日) 14:00~10月18日(日) 23:59
販売期間:9月23日(水)10:00〜10月18日(日) 20:00

『IMY歌謡祭』

出演:山崎育三郎(I)・尾上松也(M)・城田優(Y)
日時:10月10日(土)15時 ・ 19時
会場:東京国際フォーラム・ホールA

公式サイト

AbemaTV『主役の椅子はオレの椅子』

毎週水曜日22:00放送

公式サイト

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