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【会見レポートVol.1】舞台『千と千尋の神隠し』 巨匠ジョン・ケアードの直訴に宮﨑駿監督が舞台化を快諾

宮﨑駿監督による不朽の名作映画『千と千尋の神隠し』。第75回アカデミー賞長編アニメーション映画部門賞を受賞するなど、世界でも高く評価を受ける本作が東宝創立90周年記念公演として舞台化され、2022年27月上演されることが決定。11月9日、製作発表記者会見が行われました。

マチ★ソワでは2回にわたって記者会見の模様をレポート。第1回の今回は演出のジョン・ケアードさん、スタジオジブリプロデューサーの鈴木敏夫さんなどクリエイティブスタッフからの話をお届けします。(以下敬称略)

『千と千尋の神隠し』は必ず舞台になると常々思ってきた

舞台『千と千尋の神隠し』翻案・演出を務めるジョン・ケアードは、イギリスのロイヤル・シェイクスピア・カンパニーの名誉アソシエイト・ディレクター。ミュージカル『レ・ミゼラブル』初演の演出などで知られる、世界でも屈指の演出家です。「『千と千尋の神隠し』は演劇的な作品だと思っていました。最初に子供と見たときから、“これは必ず舞台になる”と常々思ってきたんです」とかねてから本作への舞台化に並々ならぬ思いを抱いていることを明かしました。

ケアードは作品への熱い思いを宮﨑駿監督や鈴木敏夫プロデューサーに直接届けたところ「何分か後に宮﨑さんが“いいよ”とおっしゃった。そのあとすぐに“どうやるの?”と言われて“あ、そうだ、実際に舞台化しないといけないんだ”と思ってパニックに(笑)。でも、上演してよいと言ってくださったことに心から感謝しました」と、舞台化を快諾された経緯を語ります。

スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーは、ケアードから依頼を受けたときの宮﨑監督について「宮﨑が最初に言ったのは“いいよ”の一言。あれだけ多くの方から支持されたものだから、この作品はもう皆さんのもの。俺の手は離れたから、という思いだったようだ」と語りました。「『千と千尋の神隠し』は僕の小さいガールフレンドだった10歳の子をモデルに創った映画。考えてみるとあれから20年。感慨深いですね」と感無量の面持ち。ケアードに対しては「『耳をすませば』を作ったときにヒントにしたのは、イギリス人が作ったドキュメンタリー。日本の中学生を追い掛けた作品で“イギリス人が作るとこんなに面白くなるんだ”と宮﨑と話したのを覚えています。ジョンは間違いなく素晴らしい舞台を作ってくれると思う。宮﨑ももう、ジョンと意気投合していましたから」と深い信頼を寄せます。

ケアードは宮﨑監督について「準備のために宮﨑さんの作品はすべて観ましたが、どの作品もストーリーの中に知的で高貴なものを抱えている。環境問題や男女の平等、子供の大切さ、人間と動物の対等さを何度も繰り返し取り上げているんです。宮﨑さんは80歳を超えても子供の心理に入り込める。本当に天才的ですよね。チャールズ・ディケンズ、ルイス・キャロル、アンデルセンと並ぶ素晴らしい語り部であり、歴史に名を残す人だと思う」とリスペクトします。さらに「もう一つ大事なのは、久石譲さんの音楽。ジブリの作品には譲さんの音楽は欠かせません。快く音楽の使用を許可してくださり、ブラッド・ハークと共に編曲してくれます」と、舞台版でも久石作曲の音楽が使われることを公表。キャストに対しても「映画のキャラクター以上にカラフルな人たちが集まっている」と高く評価しました。

海外展開も視野に、日本をリスペクトしながら舞台化

東宝演劇担当常務の池田篤郎は「2022年、東宝創立90周年を記念する大作として世界初の舞台化。ジョンがこの作品をリスペクトし、国内外の超一流のクリエイターが具現化のために力を尽くしてくださっています。感染の状況は少し和らいでいますが、まだまだ大変な状況の中で『千と千尋の神隠し』が皆様に生きる力、生きる勇気をお与えできればと思います」と述べました。

共同翻案・演出補佐の今井麻緒子は「ジョンやジョンの子供たちはあっという間にジブリ作品に魅了され、我が家(※今井はジョン・ケアードの妻)の何パーセントはジブリ作品でできていると言っても過言ではないくらい影響を受けています。こんなに素敵なキャスト・スタッフが集まったので、素晴らしい舞台を作るようにジョンと二人三脚で頑張っていこうと思います」と意気込みを語りました。

舞台化にむけてすでにワークショップが行われているとのこと。ケアードは「『千と千尋の神隠し』には龍やオクサレ様など、様々なイメージが登場する。音楽の久石譲さん、『ウォーホース』のパペット演出家であるトビー・オリエ、振付の井手茂太さんなどいろいろな方たちの助けを借りながら舞台化する。大切なのは映画の2次元のイメージをステージでどう具現化するか。映画の真似をしただけならただの3次元バージョンだが、もっとも大事なのは観客と同時進行でシェアすることだと思う。そうすれば、既に大人になった二人が10歳を演じても信じることができるから」とクリエイティブな制作現場の一端を明かしました。

「ブロードウェイやヨーロッパ、アジアのプロデューサーからご興味いただいている。映画が世界を席巻したように、この作品が世界で上演されることを祈っています」(池田)と、今後の海外展開を視野に入れているこの作品。ケアードは「海外で上演されたとしたら嬉しいが、もっとも重要なのは日本でちゃんと上演すること。この作品は宮﨑作品の中でも特に日本的な要素が強い。日本的なものに敬意を払い、“日本をリスペクトしているから、海外の人も喜ぶ”というものをお届けしたい」と誠実に取り組む姿勢を見せました。

取材・文/大原 薫(演劇ライター)

Stage Imformation

東宝創立90周年記念作品
舞台『千と千尋の神隠し』

原作:宮﨑 駿
翻案・演出:ジョン・ケアード
共同翻案・演出補佐:今井麻緒子
オリジナルスコア:久石 醸
音楽スーパーヴァイザー・編曲:ブラッド・ハーク
オーケストレーション:ブラッド・ハーク/コナー・キーラン
美術:ジョン・ボウサー
パペットデザイン・ディレクション:トビー・オリエ
振付:井手茂太

出演:千尋:橋本環奈/上白石萌音(Wキャスト)
ハク:醍醐虎汰朗/三浦宏規(Wキャスト)
カオナシ:菅原小春/辻本知彦(Wキャスト)
リン・千尋の母:咲妃みゆ/妃海風(Wキャスト)
釜爺:田口トモロヲ/橋本さとし(Wキャスト)
湯婆婆・銭婆:夏木マリ/朴璐美(Wキャスト)

■公演情報
【東京】帝国劇場
2022年3月2日(水)〜3月29日(火)※プレビュー公演2月28日(月)・3月31日(火)
※一般前売開始:2021年12月18日(土)
【大阪】梅田芸術劇場メインホール
2022年4月13日(水)〜4月24日(日)
【福岡】博多座
2022年5月1日(日)〜5月28日(土)

公演公式サイトはこちら

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