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COLUMN

#1『ジキル&ハイド』|ソウルからミュージカル・ラブレター

近年、『フランケンシュタイン』、『笑う男』、『マタ・ハリ』、『メイビー・ハッピーエンディング』、『SMOKE』などたくさんの韓国発ミュージカルの日本版が上演されています。日本版を通して韓国ミュージカルに興味を持ったり、お気に入りの俳優を見に韓国まで飛んで、ミュージカルをマチソワ鑑賞する熱心な日本のミュージカルファンが増えるなど、日韓のミュージカル市場をめぐる動きはここ数年で劇的に変化しました。

それもそのはず、コロナ禍になる前までは、ソウルに集まる数百の劇場で、毎年200作品以上が上演され、市場規模は3500億ウォン(約350億円)以上に達していた韓国ミュージカル。コロナ渦でも劇場街の灯が消えたことは、一度もありませんでした。そんな‘SHOW MUST GO ON!’精神が炸裂している韓国ミュージカルのホットな情報をお届けするコラムをマチ★ソワWEBで連載することが決定しました! 韓国ミュージカルを観るためにソウルに行くにはもう少し時間がかかりそうですが、現地・ソウルから届けるこのミュージカル・ラブレターを受け取って、韓国ミュージカルの現在(いま)をキュン!と感じていただければ幸いです。

韓国の国民ミュージカル『ジキル&ハイド』絶賛ロングラン公演中!

ソウルの道行く韓国人に、「知っているミュージカルor一度は見た/聞いたことがあるミュージカルは?」と聞いたとすると、間違いなくトップに入るのが、『ジキル&ハイド』。2004年度に韓国で初演された本作は、これまで150万人以上の観客動員数を記録しました。キラーナンバーの『This is The Moment』は‘ ’(‘チグミ スンガン’と発音)と訳され、結婚式で歌われる祝歌のスタンダードになったり、数々の芸能番組で話題になったり……。日本では韓国俳優たちのファンミーティングで度々披露されたので、聞いたことがある方もいるかもしれません。それくらい、韓国ではミュージカルと言えば=『ジキル&ハイド』=チグミ スンガンであり、そのイントロだけで「これがミュージカルだぁぁ!」と韓国人の情熱をたぎらせることができるのです。

ここまでの国民的ミュージカルになった背景には、04年度の初演で伝説的な成功を収めたチョ・スンウとリュ・ジョンハンという二大スターの功績と、韓国語翻訳・歌詞の完璧さがあります。日本でも’翻訳歌詞までもが作品’であることを証明した『レ・ミゼラブル』がありますが、韓国版の『ジキル&ハイド』の翻訳も韓国語を少し学んだことがある方なら、耳に入って来るキャッチーさ、メロディとの調和、歌いやすい歌詞の最高峰であることがわかるはず。それが感じられる映像が下記広報映像です。(2:17頃から『This is The Moment:チグミ スンガン』。その他にもメイン・ナンバーのハイライトを見ることが出来ます。)

YouTube:『ジキル&ハイド』OD COMPANY

ビジュアル&歌唱力最強ジキル三人がこの春集結!


左より パク・ウンテ、KAI、チョン・ドンソク 提供:OD COMPANY

2年に一回は数か月規模の再演をしている『ジキル&ハイド』ですが、現在ソウルで公演中の最新2022年度版の冬シーズンは伝説の初演俳優であるリュ・ジョンハンを始め、ホン・グァンホ、シン・ソンロクというベテラン層がジキル/ハイド役を務めました。また、3月の春シーズンからは全員が180以上の麗しいビジュアルで、キャリアの全盛を迎えているパク・ウンテ、KAI(カイ)、チョン・ドンソクの三人に交代するなど、5月のソウル千秋楽後の韓国全土をめぐる地方公演まで、万全の態勢で挑みます。

特にこの三人は、ジキルに投入される数週間前まで公演されていた『フランケンシュタイン』からそのままスライド(ウンテ、KAIが怪物/ドンソクがビクター)してきたキャストであり、文字通り人気を博しているスターたち。それだけに、舞台上から放たれるスター然としたオーラのすごさと言ったら! 『ジキル&ハイド』という演目は、衣装もクラシックなのでタキシードや貴族然としたジャケットなど、乙女心をキュンとさせるアイテムが息つくヒマもなく登場し、三人共足が驚異的に長いためにそれだけでもう目の保養効果があるのです。

190近くあるチョン・ドンソクにいたっては、「もしもし、今からNetflixの『ブリジャートン家』のキャスティングディレクターに連絡して!」と叫びたくなるほどの美貌。そこにジキル/ハイドの声色を縦横無尽に操る驚異的な歌唱力が加わるので、瞳が釘付けになってしまう乙女たちが劇場に溢れかえっています。

韓国のミュージカル俳優達はよく「明日がないように歌う」(毎回の舞台に全身全霊を込めて力を出し切る)と言われています。それが可能なのは、欧米などと違って一人の俳優がアンダースタディとの併用で演じ切るシステムではなく、平均23人以上のスターが同役にキャスティングされているため。コンディションを最善にして一度の舞台に全てを出し切れるという背景があるのです。また、高いチケット代金を払っているという意識から、最上を求める韓国の観客たちの期待も非常に大きいため、主演俳優たちは生半可な歌声ではなく常に120%を求められるシビアさとも闘っているのです。

そんな重圧にも負けず、5月まで連日『ジキル&ハイド』を務めているパク・ウンテ、KAI、チョン・ドンソクの三人。残念ながらジキルの制作会社は海外向けストリーミング配信などの予定は発表していないだけに、今期は日本の皆さんが彼らを観ることが難しいけれど、次回のジキル公演時には、必ずや戻って来るはずです。次シーズンに期待を馳せながら、どうか彼らの帰還を待っていただければ!

取材・文/ 日韓公演コーディネーター・高原陽子


高原陽子

東京都出身。青山学院大学英米文学部在学中に韓国・梨花女子大学に留学。その後韓国に渡り、日韓の公演コーディネーターとして、数々の韓国作品や俳優を日本に紹介、また近年では、日本の才能ある俳優達を韓国の観客達にも紹介している。韓国人パートナーとの間に一女を設け、現在はソウル在住。
主なコーディネート作品:『SMOKE』『BLUE RAIN』『僕とナターシャと白いロバ』他
日本:『レ・ミザラブル』ヤン・ジュンモ、『ミス・サイゴン』キム・スハ、『ミュージック・ミュージアム』パク・ウンテ 他
韓国:『Seoul Musical Festival』中川晃教、安蘭けいpresents日韓交流ミュージカルコンサート等多数

Stage Information


提供/OD COMPANY

『ジキル&ハイド』

公演期間:2021年10月19日〜2022年5月8日
劇場:シャーロッテ・シアター(チャムシル)
制作:OD COMPANY

出演:パク・ウンテ、KAI、チョン・ドンソク、チョ・ジョンウン、イ・ジヘ、ソンミン、ヘナ、キム・ボンファン 他

上映時間:170分

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