昨年9月の「聴活」で、『アナと雪の女王』の「Let It Go」を紹介しました。当時はまだ観ていなかったミュージカル「アナ雪」ですが、その後、なんと見る機会に恵まれたのです! 今回は聴活番外編として、劇団四季の「アナと雪の女王」についてレポートします!
実際に見ての感想は、一言で言うと、最高でした!!
舞台は人がそこで演じているため、臨場感が強く感じられます。そのせいか、家族愛や姉妹愛といったテーマは、ミュージカルの方がより強く伝わってきたように感じました。ミュージカルでしか聞けないオリジナル曲も、映画でも出てきたんじゃないかと思ったくらい自然。ユーモアと切なさがバランス良く配置されていて、すべてのシーンが見逃せない、一瞬たりとも気を抜けない作品になっています。
映画でストーリーは知っているはずなのに、5回くらい泣きました。アナとエルサがぶつかりあうシーンには特に…。お互いに相手のことを思う気持ちがあるのに、すれ違ったり自分を責めてしまったりするのが切なくて、幸せになってくれ!と思いながら見ていました。映画だとキャラクターとして見ていた登場人物が、舞台だとより人間的に感じられるので、それが共感や響きやすさにつながっているのかもしれません。
Disney、撮影:阿部章仁
舞台セットも、すごいとは聞いていましたが、「やばい!」の一言。橋やサウナのお店に至るまで、ひとつひとつがちゃんと作られていて驚きの一言です。手から雪を出したり、早替えをしたり、現代の最新技術もふんだんに使いつつ、今までの演劇的な手法も織り交ぜて、新しさと懐かしさの両方が感じられるのが不思議でした。
雪だるまのオラフには、男性と女性が両方キャスティングされるようで、ぼくが見た回は女性でした。性別を超えられるのも舞台ならでは。オラフやトナカイのスヴェンといったキャラクターたちの動きは、工夫と知恵を集めてできあがったんでしょう。
これだけの圧倒的なスケールで世界観を舞台の上に再現してしまう劇団四季は、本当にすごい! お子さんや家族、カップルといろんな世代の方が来ていて、劇団四季とアナ雪という作品がいかに幅広い人たちから支持されているかが分かりました。コロナ禍であまり声を出してはいけない中で1幕が終わり、「休憩は20分です」と言われたときの会場の空気がすごいんです。声を出してはいけない、でもこの感動を分かち合いたい、2幕はどうなってしまうのか期待が高まる、皆のそんな思いで、客席の空気がざわめいているのが感じられました。
Disney
ミュージカルならではの「ありのままで」の歌い上げ方もすごかったです。ネタバレになるかもしれないので詳しくは話しませんが、「ありのままで」が始まったら、ぜひその歌詞に注目してほしいです。ひとりでいることが皆の幸せなのだから、と周囲の人を遠ざけてしまうエルサの気持ちは痛いほど伝わるし、でも、皆がひとつの家族で仲間なんだとも感じられる歌でもあります。
歌もダンスも芝居も最強で、アンサンブルも含め全員で作っている一体感が伝わってきます。カーテンコールの盛り上がりもすごくて、ぼくも立ち上がって拍手しました。客席からの「ありがとう」の気持ちを、全員で伝えられた瞬間でした。
唯一、難点を挙げるとしたら、人気作なのでチケットが取りにくいということかな。でも、ロングランをしていますし、当日券が出ることもあるようですから、見られるチャンスはあると思います。ぼくもいろんな人に薦めたいですし、もう1回見たいです。バックステージツアーがあったら行ってみたいな。あの早替えを、あの魔法をどうやっているのか、次こそ解明したい。無理だと思いますけど!
こういう仕事をしていると、お仕事をご一緒した役者さんが出ていたり、知っているスタッフさんが関わっていたりと、純粋なお客さんとは違う目線で見ちゃうことも多いんですが、「アナ雪」は童心に帰って楽しんでしまいました。新しくなった「JR東日本四季劇場[春]」もとても綺麗です。周辺の観光もして、素敵なミュージカルも見られる。最高の体験ができること間違いなしです。
聞き手/道丸摩耶(産経新聞)
東啓介(Higashi_Keisuke)
1995年7月14日生まれ、東京都出身。2013年デビュー。東啓介がセルフプロデュースした写真集「何色」発売中! TBS火曜ドラマ「ファイトソング」烏丸薫役で出演中。
Stage Information
劇団四季
ディズニーミュージカル「アナと雪の女王」
ロングラン上演中!
2023年1月1日(日・祝)〜6月30日(金)公演分
4月10日(日)10時「四季の会」会員先行販売
4月17日(日)10時一般販売