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COLUMN

【#8】ブロードウェイで再会した「サークル・オブ・ライフ」(ライオンキング)|東啓介と聴活♪

ミュージカル『マタ・ハリ』が閉幕しました。いろいろな現場を経て3年ぶりに集結した柚希(礼音)さん、加藤(和樹)さんに、新たに愛希(れいか)さん、田代(万里生)さん、三浦(涼介)さんが加わってくださり、3役(マタ・ハリ、ラドゥ―大佐、アルマン)がダブルキャストに! なんと8通りの化学反応が楽しめる作品になりました。
相手によって変わることが知れたのもありがたかったですし、初演では「アルマンを演じている人」だったのが、今回は「アルマンそのもの」に変わったという声をいただけたのもうれしかったです。初演から携わった作品が再演されるのは、ぼくにとって初めての経験。演出の石丸さち子さん始め、『マタ・ハリ』のテーマである「愛」にあふれたカンパニーでした。新型コロナウイルスの影響で完走はできませんでしたが、さち子さんがおっしゃっていた「毎日が初日で、毎日が千秋楽」という言葉をかみしめ、皆でやってきたことに悔いはありません。

今回、紹介するのは、皆が知っているミュージカル『ライオンキング』から、「サークル・オブ・ライフ」です。小学生のころに見た劇団四季の『ライオンキング』がぼくのミュージカル初体験。でも、当時、オープニングでこの曲を聞いたときは、何を言っているか分からないし、人間が動物になっていて、どういうこと?と思ってしまったんです。ただ、分からないながらも言葉と歌の響きが持つ心地よさや格好良さは印象に残っていて…。

そんな『ライオンキング』を再び見たのは、3年ほど前に米NYのブロードウェイに行ったとき。一番人気の演目で、劇場もとても大きくて。英語なので言葉は分かりませんでしたが、それでも伝わってくるものが多くて作品の深みを感じました。

座席は2階席だったんですが、2階のバルコニーのところにキャストが来て歌ってくれたときは大興奮でしたね。目の前にキリンがいる、目の前にサバンナの動物たちがいる、と大自然に触れている感覚で、一気に童心に帰りました。プンバァとティモンは世界共通でおもしろいですし。終演後はキャストがロビーに出て募金活動をしていて、それも素敵だと思いました。家族連れも多いので、子供はキャストが近くで見られて大喜びです。

舞台で躍動する動物たちを見て、人が動物を演じるすごさ、歌で動物の気持ちを伝えるすごさにも気づきました。ミュージカルは歌うだけ、せりふを話すだけじゃないんだと、ミュージカルの認識が変わったんです。だって、動物園でしか見たことのない動物が舞台に出てきて、観客も最初は驚くと思うんです。説得力を持たせるには、動物の動きを研究して再現し、一気にあの世界に引き込む「サークル・オブ・ライフ」の歌の力あってこそ。ぼくはこれまでに動物の役をやったことはないですが、やれと言われても絶対にできないと思います。劇団四季の俳優さんは、あの身体表現を何百公演も続けていらっしゃる。途方もないことです。5、6年前に、米国の空港で飛行機が飛べなくなったとき、『ライオンキング』の出演者がアカペラで「サークル・オブ・ライフ」を歌ったこともありましたよね。その動画を見て、乗客の不安な気持ちを解消させる歌の力を感じました。

キャッチーな曲が多いのも『ライオンキング』の魅力です。「愛を感じて」もいいし、「ハクナ・マタタ」は元気が出るし。「サークル・オブ・ライフ」はエンディングでも流れ、命が始まって終わってそれが繰り返されていくという尊いメッセージが、わずか23時間の公演時間に込められている。終幕後も、ここからまた始まるんだと思わせるのがおもしろいなと思います。

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撮影/飯田英男

物語も、年を重ねることで見えてくるものがあります。ライオンがカッコいいとかだけじゃなく、コミュニティーの大切さ、家族の確執や幼なじみとの愛にも目がいきます。思考のベクトルが違うだけで動物も人間と同じなんだなと、また見え方が違って、いい作品だなと思えます。

『ライオンキング』はアニメでも見られるし、実写の映画もあります。ぼくのように子供のころにミュージカルを見た人もいるでしょう。言葉も歌詞も演者も違いますから、比べて楽しむのもおもしろいかもしれません。ミュージカルの中には、子供が見ても難しい作品もありますが、『ライオンキング』は子供も大人も楽しめる。自分に子供がいたら、自分の舞台は見に来なくていいから、『ライオンキングを見よう!』と言うでしょうね(笑)。『ライオンキング』を入口に、ミュージカルが好きな人が増えていけばいいなと思います。

聞き手・道丸摩耶(産経新聞社)

♪今月のミュージカルソング

「’Circle of Life’ in 360」|『THE LION KING on Broadway』

東啓介(Higashi_Keisuke)

1995年7月14日生まれ、東京都出身。2013年デビュー。舞台『剣乱舞』など気舞台で活躍し、『5DAYS 辺境のロミオとジュリエット』『命売ります』『Color of Life』などの作品で主演を務める。近年はミュージカル界の新星として頭角を現している。2020年11月にはファーストソロコンサートも開催。2021年1月〜3月、NTV「ウチの娘は、彼氏が出来ない‼︎」にイケメン整体師・渉周一役で出演し話題に。 2021年3月〜4月ミュージカル『イン・ザ・ハイツ』(神奈川・大阪・名古屋・東京公演)に出演、6月〜7月ミュージカル『マタ・ハリ』でアルマン役に再び挑み好評を博した。2022年秋に開幕するミュージカル『ジャージー・ボーイズ』にボブ・ゴーディオ役で出演が決定した。

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