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INTERVIEW

【Jump UP☆20s】大久保祥太郎さん「失敗できない緊張感、たまらない」

明るいエンタメニュース満載の1年になってほしい。そんな期待を込めて、産経新聞文化部記者とマチ★ソワ編集部が不定期で今年注目の若手俳優を紹介していくEditorsシリーズ「Jump UP☆20s」。3回目は、キャストを一新して5~7月に上演されるミュージカル『ロミオ&ジュリエット』でマーキューシオ役(Wキャスト)に挑む大久保祥太郎さんを紹介します。俳優集団「D-BOYS」のメンバーで、劇団「阿佐ヶ谷スパイダース」にも所属するなど、お芝居が大好きという大久保さんに、舞台の魅力や今後の目標を聞きました。

劇団は「役者としてのホーム」

――実は芸歴が長いんですよね

はい。6歳のときからこのお仕事をしています。初めてのお仕事は鵜山仁さん演出の『仁淀川』という芸術座の舞台です。最初のお仕事が舞台だったためか、そのまま舞台が好きになりました。当時の記憶はあまりありませんが、稽古をしているときの記憶は少し残っています。

――それからずっとお芝居の世界にいらっしゃいますが、辞めたいと思ったことはありませんか

ないです!中学生のとき、1年間だけ芝居はせず、ダンスだけをやっていた時期がありました。ちょうど子役から大人の俳優になっていく変わり目の時期です。ちょっと休んだその期間があったから、辞めたいと思わずにここまで来られたのかもしれません。年を重ねるごとに、舞台や役に対する責任は強くなっている気がします。

自分の中で印象に残っている舞台は、ちょうど20歳になるときに出させていただいた『三匹のおっさん』。松平健さんが演じる役の孫だったのですが、やんちゃで反抗的で口が悪いという、これまで経験したことのない役どころだったんです。それまではどちらかというと優等生役が多かったので(笑)、どうすればいいか分からず悩んでいたら、演出の田村孝裕さんが、「背伸びをしていたら、いつかかかとが付くよ」とおっしゃってくださったんです。その言葉をいただいてから、とりあえずやってみようと思って。それから役の方向性がつかめてきたんです。千秋楽のカーテンコールでは、珍しいことに思わず泣いてしまいました。この役をやれて良かったと思えた瞬間です。

舞台はしんどいことも多いけれど、そうやって引き出しを開けてもらえる。何より目の前にお客さまがいて直に反応がもらえると、「やってて良かった」と思えます。失敗できない緊張感もたまらないし…どこかでM(マゾ)なんですね(笑)。自分を追い込む環境が好きなんです。

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――長塚圭史さん主宰の「阿佐ヶ谷スパイダース」にも所属していらっしゃいます。いつ、どういう経緯で劇団に入られたのですか?

2017年冬にオーディションを受けて合格しました。実はその年は映像の一年にしようと思って、全然、舞台をやっていなかったんです。でも、思う通り映像のお仕事が出来ず、夏に唯一出演した舞台がすごく楽しくて…。やはり舞台がやりたい、「D-BOYS」以外にも役者としてのホームを作りたいという気持ちがわいてきました。そんなとき、たまたま見に行った芝居で、「阿佐ヶ谷スパイダース」の劇団員オーディションのチラシをもらったんです。長塚さんの作品はよく見ていて好きでしたし、家族も事務所も賛成してくれたので、オーディションを受けに行きました。大みそかに合格の連絡をもらって、うれしかったですね。

――劇団員としての活動はどうですか

自分たちで稽古場から作っていくのが、とても新鮮でおもしろいです。稽古場に行って、すでに組まれているセットの中でお芝居をするのではなく、仕込みにも一から携わり、物販の会議、グッズの在庫管理まで全部自分たちでやります。劇団員とは何でも言い合えるし、稽古場で米を10合炊いて皆で食べる、まさに「同じ釜の飯を食う」密な関係です。

これまでは開演10分前までに衣装に着替えてメイクを終えて待つのが普通でしたが、劇団ではこれを40分前までに終わらせて、会場を開けてからはお客様を席に誘導したり物販に立ったりしています。さっきまで物販に立っていたのに、5分後には芝居が始まっているんですから、すごいですよね。でも劇団に入ってから、他の舞台を見に行っても舞台のセットやスタッフさんの動きを気にするようになり、自分が少し豊かになった気がします。

「暮らしと演劇をより近いものにしたい」というのが、長塚さんの考え方。お客さまには驚かれることもありますが、劇団の人間がお客さまのすぐ近くにいることで、演劇をより身近に感じていただけたらいいですね。劇団に入ってもう3年、公演は3回、そのうち2作品に出させていただきました。あっという間です。

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カッコいい系は久しぶり

――5月からは、ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』でマーキューシオ役を演じます

決まったときはうれしくて、本当に飛び上がって喜びました(笑)。同時に、緊張と不安も押し寄せてきました。実は最初、パリス役のオーディションを受けていたんです。そうしたら、演出の小池修一郎先生に「明日も空いてる?」と聞かれ、急きょベンヴォ―リオとマーキューシオのオーディションも受けさせていただけることになって…。一晩で3曲を仕上げましたが、1曲は知らない曲でしたし、受かるとは全然思っていませんでした。しかも、マーキューシオ役に決まるとは! 自分では、もし決まるとしたらベンヴォ―リオの方かなと思っていたんです。なので、ベンヴォ―リオの視点で台本を読み進めていました(笑)。

――ミュージカルでは歌やダンスも必要になりますが、歌と芝居とダンスはどれが好きですか?

芝居です! 歌は…がんばらないといけないですね。子役のときには、『レ・ミゼラブル』や『ピーターパン』などのミュージカルにも出させていただいたんですが、大人になってからはちゃんと歌をやってこなかったので、ちょっと後悔しています(笑)。定期的にボイストレーニングに通っておけばよかった! ただ、ミュージカルでもストレートプレイでも、やるべきことは変わらないと思っています。

――最後に、『ロミオ&ジュリエット』を見に来るお客さまへのメッセージと、今後の目標を教えてください

『ロミオ&ジュリエット』はとても有名で分かりやすい作品ですし、マーキューシオ役は見どころも多い役なので、ぜひ楽しんでいただきたいです。個人的には、カッコいい系の役が久しぶりなので、そこにも注目してください(笑)。ロミオ役のひとりである黒羽麻璃央くんは前回の公演でマーキューシオを演じていますし、他のメンバーにも知っている顔が多いんです。ロミオとベンヴォ―リオ、マーキューシオの3人の仲の良さが際立てば悲劇も際立つので、芝居も歌もしっかりがんばろうと思います。

今後はミュージカルもやっていきたいですし、劇団にも所属して小劇場でのがっつりした演劇もやっていきたいです。「カメレオン俳優」という言葉がありますが、「この人、いろんなことやってるな」とお客さまに驚いていただけるような幅広い作品に出られる俳優になりたいです。

取材・文/道丸摩耶(産経新聞)
写真/酒巻俊介(産経新聞)

【編集後記】コロナ禍でエンタメ業界も苦しい日々が続いていますが、「コロナを感じさせない癒やし」として大久保さんが愛聴しているのがラジオ。外出先でも毎日ラジオを聞き、ひとりの世界にひたるのが好きなんだそう。お笑いも大好きな大久保さんだけに、しゃべりのテンポも抜群。ラジオ局の皆さま、「ラジオっ子」の大久保さんはパーソナリティーに最適だと思うのですが、いかがでしょうか?(※公開売り込み)



大久保祥太郎(Okubo Shotaro)

1995年8月27日生まれ。東京都出身。幼い頃より日本舞踊を習い、ジャズ、ヒップホップ、タップダンスなど様々なジャンルの踊りと歌を特技とする。 確かな演技力で舞台作品を中心にドラマや映画などでも活躍。 近年の主な出演作に舞台『オイディプスREXXX』(演出:杉原邦生)、『MAKOTO』(作・演出:長塚圭史)、『風博士』(演出:寺十吾)『オレステスとピュラデス』(演出:杉原邦生)など。2018年より、劇団阿佐ヶ谷スパイダースのメンバーとしても活動している。 5月からTBS赤坂ACTシアターにて上演されるミュージカル『ロミオ&ジュリエット』(演出:小池修一郎)にマーキューシオ役で出演。

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Stage Information

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ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』

原作:ウィリアム・シェイクスピア
作:ジェラール・プレスギュルヴィック
潤色・演出:小池修一郎(宝塚歌劇団)

出演:
ロミオ:黒羽麻璃央/甲斐翔真(Wキャスト)
ジュリエット:伊原六花/天翔愛(Wキャスト)
ベンヴォーリオ:味方良介/前田公輝(Wキャスト)
マーキューシオ:新里宏太/大久保祥太郎(Wキャスト)
ティボルト:立石俊樹/吉田広大(Wキャスト)
死:小㞍健太/堀内將平(Wキャスト)

■東京公演:2021年5月21日(金)〜6月13日(日)TBS赤坂ACTシアター
■大阪公演:2021年7月3日(土)〜11日(日)梅田芸術劇場メインホール

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