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INTERVIEW

浦井健治さんインタビュー「思い出の場所で感じる、生身のファラオ」▷『ACN ラムセス大王展 ファラオたちの黄金』9月7日まで

エジプト政府公認、過去最大級の展覧会である『ラムセス大王展 ファラオたちの黄金』が東京・豊洲の特設会場「CREVIA BASE TOKYO」にて9月7日まで絶賛開催中だ。古代エジプトで“史上最も偉大な王”と称えられるラムセス2世をフィーチャーした展覧会で、その棺など貴重な展示品約180点を出品。プロジェクションマッピングや照明、音響による演出効果、驚きの没入感を味わえるVR(ヴァーチャル・リアリティ)体験など見どころは盛りだくさん。今回は、ミュージカル『王家の紋章』で若きエジプト王メンフィスに扮した浦井健治が、このアジア初となる『ラムセス大王展』を訪問。懐かしき!?古代エジプトの空気を存分に堪能、その感動体験について聞いた。

――まずは『ラムセス大王展』を鑑賞されてすぐの率直な感想をお伺いしたいと思います。

非常に贅沢な空間でしたね。日本で、と言うよりアジアで初めての展覧会とお聞きして、これほどの規模の展覧会を見れる機会はなかなかないし、一つ一つの展示品が語りかけてくるような、背筋が伸びるような感覚もありました。こんな貴重な経験をさせていただき、ありがとうございます!という気持ちでいっぱいです。

撮影/黒澤義教

――今おっしゃった“背筋が伸びるような感覚”について詳しくお話しいただけますか?

王が身につけた装飾品や、棺を埋葬する時に周りに置かれた副葬品など、貴重で価値あるものが触れられるくらいに間近で見られるんですね。そんな奇跡的な空間を体感して、逆に自分がエネルギーをもらえたように感じました。また、ここに展示されているものたちに、どれほどの人々の思いが込められているのだろうと思ったんですよね。当時の民衆の王や王妃に対する思い、もしくはそうした人々の願いと言いますか、死してもなお王であるという敬意を副葬品に込めて弔うことが、国の安定を促す行事だったのかな……とか、そんなことを感じて。壁画や装飾品、ミイラや名前の書かれた棺など、それらのすべてから、多くの民に愛されて来たファラオ(エジプト王)の存在の大きさをまざまざと見せつけられて、背筋が伸びる思いでした。

「ウェンジェバエンジェドの黄金のマスク」に見入る、浦井さん。このマスクは、ラムセス王朝の後継者の一人で、第21王朝のプスセンネス1世に仕えた将軍のもの。1939~40年、タニス遺跡の王墓で発見。目と眉はガラス象嵌。繊細な表情と細工は職人の卓越した技を示す
「ラムセス2世の指輪」
撮影/三尾郁恵(産経新聞社)

――とくに心に響いた展示品を教えてください。

王が埋葬される際の、手の指、足の指にまで丁寧に飾りつけられた黄金の装飾品(シェションク2世の黄金のマスクや指サック等)ですね。それを見た時に、指にまで!?と思って。天に召される時に、いろんな人が思いを込めて、着飾ってお見送りをしたんだなと思いました。また、三つの捧げ物(ひざまずき、自分の名前の判じ絵を捧げるラムセス像)の展示があって、それらを並べると王様の名前を意味する、ということを教えていただきまして、そういった尊敬の念、愛情の表現はすごく共感出来るなと。血の通っているような展示物ですよね。当時の生活や人々の面影を見ることが出来る展示会だなと感じました。

シェションク2世の黄金のマスクや指サック
撮影/三尾郁恵(産経新聞社)

あと、“唯一墓荒らしに遭わなかった王”の展示物(※)というのも、とても興味深かったです。僕が以前出演したミュージカル『王家の紋章』でも背景的に少しだけ“墓荒らし”のことが描かれていたので、面白いものを見させていただきました。

※編集部注
タニス遺跡で1939~40年、ラムセス王朝の後継者たちの未盗掘王墓から手つかずの財宝が発掘された。ツタンカーメンの王墓に匹敵する重要な発見となった。

――お話のように、浦井さんはミュージカル『王家の紋章』(2016年初演、2017年再演、2021年再々演)に主演されました。その時にエジプト遺跡や考古学などについてさまざまな情報を得ていたかと推察します。

(写真中央)メンフィス役/浦井健治さん
写真提供/東宝演劇部

はい、メンフィスというファラオの役で参加させていただきまして、その時に、上下エジプト(古代エジプト時代の地域または国家の呼称)を統治するファラオが意識していたこととか、装飾品の意味だとかを調べたり、原作者の方や演出家などたくさんの人からアドバイスをいただきました。この展覧会で実際に当時の出来事を説明した映像や、展示品を目の前にすると、その荘厳さに圧倒されると言いますか。王や王妃を民がどのように崇めていたのかが感じ取れますし、まるでナイル川の景色を一緒に見ているような感覚にもなりますね。

――「ヒッタイトとの戦い」の展示映像もあって、『王家の紋章』にもヒッタイトの王子が登場しますし、浦井さんが演じたメンフィスも、ラムセス2世と同じ“新王国時代”の王という設定のようですよね。

ヒッタイトという単語を見ると、イズミル(ヒッタイトの王子)はどこだろう!?って反応してしまいますね(笑)。当時のことを調べれば調べるほど、上下エジプトを統治して、安泰という形で治めることは生半可ではなかったと分かります。命がいくつあっても足りない……ファラオというものはそういう存在だったと思う。人間でありながら神として崇められる存在であるところが、自分にはなかなか想像しきれない、そんな高みでしたね。ただ今回の展示物でこれも印象に残ったんですが、猫のミイラと、そのミイラを収める可愛らしい棺もあって、猫も神聖なものとして大切に崇められ、可愛がっていたのだろうなと。そこは展覧会にいらしたお客様も、「やっぱりファラオも生身の人間だったんだ」と感じられるんじゃないでしょうか。

ラムセス2世の巨像の頭部と向かい合う浦井さん。像が出土した古王国時代の首都、メンフィスと同じ名の青年王(ミュージカル『王家の紋章』主演・メンフィス役)を演じました。

――この展覧会の会場は、以前は「IHIステージアラウンド東京」という360度回転する円形劇場があった場所です。浦井さんにとっては思い出のある場所ではないでしょうか。

そうですね。劇団☆新感線の『メタルマクベス』という作品で“ステアラ”に立たせていただきましたし、コロナ禍で上演は叶わなかったけれど『ウエスト・サイド・ストーリー』という作品でもお世話になった空間です。たくさんの人との出会いがあり、汗も涙も笑顔も、いろんなところに思い出があり過ぎて……、そんな思い出の場所に今ファラオたちがいるのが不思議です(笑)。すごく素敵な場所になっているので、ステアラを親しんだお客様も、ステアラに足を運ぶ機会がなかったお客様にとっても、この会場自体を楽しめるんじゃないかなと思いました。

――いろんな魅力が詰まっている展覧会ですね。ぜひ多くの方に訪れていただきたいと思います。

アジアでは初の展覧会で、豊洲という場所でとてもお手軽に、珍しくて貴重なものを観ることが出来ます。遠いエジプトに行かなくても、近くのエジプトへ(笑)。異国情緒に触れられて、きっと新しい発見のある有意義な時間を過ごせるのではないでしょうか。ぜひこの機会に足を運んでいただきたいですね。

「ラムセス2世の棺」(左)。1881年、古都ルクソール近郊の通称「王家のミイラの隠し場」からミイラが納められた状態で発見されました。会場ではミイラをもとに復元された顔の映像(右)も展示し、棺の価値を分かりやすく解説しています。

 

取材・文/上野紀子(演劇ライター)
撮影/黒澤義教


浦井健治(Urai Kenji)

俳優。2000年『仮面ライダークウガ』(EX)で俳優デビュー。2004年『エリザベート』皇太子ルドルフ役に抜擢。以降、幅広いジャンルの作品に出演。第22回読売演劇大賞最優秀男優賞、第67回芸術選奨文部科学大臣演劇部門新人賞など数々の演劇賞を受賞。
2025年8月~9月にミュージカル『ある男』に出演、11月から『デスノート THE MUSICAL』10周年記念公演にリューク役で出演することが発表されている。

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展覧会 Information

『ACN ラムセス大王展 ファラオたちの黄金』

エジプト史上最長のファラオ在位期間を誇り、「最も偉大な王」とされるラムセス大王(ラムセス2世)。その偉業と影響を語る至宝など180点を展示する特別展「ACN ラムセス大王展 ファラオたちの黄金」が、東京都江東区の「ラムセス・ミュージアム at CREVIA BASE Tokyo」で9月7日まで開催中。

アメリカ、フランスなど5会場で200万人以上を動員した、史上最大級のエジプト政府公認展覧会がアジア初上陸。
エジプト考古最高評議会の特別支援のもと、世界巡回の一環として約47年ぶりに国外に出たラムセス2世の棺や黄金製の副葬品など、貴重な一級品が出品されます。また、ラムセス2世の生涯をVRやプロジェクション・マッピングなどの最新技術で再現。古代エジプトの壮麗な世界に入り込むような圧倒的な体験ができることも注目を集めています。

会 期:2025年3月8日(土)〜9月7日(日)
営業時間:平日 10:00~18:00(最終入場17:00)、土・日・祝・特定日 9:00~19:00(最終入場18:00)
会 場:ラムセス・ミュージアム at CREVIA BASE Tokyo(東京都江東区豊洲6-4-25)※ゆりかもめ「市場前」駅徒歩3分、有楽町線「豊洲」駅徒歩15分
主 催:ラムセス大王展実行委員会/NEON JAPAN株式会社
入館料(大人):平日 4,100円、土・日・祝・特定日 4,300円 ※当日券(会場内チケット窓口)での価格 ※VR 2,500円(別途チケット、事前予約制)

展覧会公式サイトはこちら

テレビ朝日系「サンドイッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん」

海外プロジェクト第5弾!7月19日(土)18:30から3時間半スペシャルとして放送
古代エジプト博士ちゃん『最強王ラムセス2世と出会う旅!』
*詳細は番組HP


Stage Information

ミュージカル『ある男』

原作:平野啓一郎 「ある男」(文春文庫 / コルク)
音楽:ジェイソン・ハウランド
脚本・演出:瀬戸山美咲
歌詞:高橋知伽江

出演:
城戸章良:浦井健治
ある男・X:小池徹平
後藤美涼:濱田めぐみ
谷口里枝:ソニン
谷口恭一:上原理生
谷口大祐:上川一哉
城戸香織:知念里奈
小見浦憲男/小菅: 鹿賀丈史

主催・企画制作:ホリプロ

上演日程
【東京】2025年8月4日(月)〜17日(日) 東京建物 Brillia HALL
【広島】2025年8月23日(土)・24日(日) 広島文化学園HBGホール
【愛知】2025年8月30日(土)・31日(日) 東海市芸術劇場 大ホール
【福岡】2025年9月6日(土)・7日(日) 福岡市民ホール 大ホール
【大阪】2025年9月12日(金)〜15日(月・祝) SkyシアターMBS

公式サイトはこちら

Story

「私はいったい誰を愛したんでしょう…」
「仮に、彼を“X”と呼ぶことにします」

一見幸せな人生を送る弁護士の城戸章良(浦井健治)は、
とある奇妙な調査依頼をきっかけに深いうねりへとのめり込んでいく。

調査の依頼人は谷口里枝(ソニン)。
里枝は愛する夫の大祐を不慮の事故で突然失い、悲しみに打ちひしがれる中、

長年疎遠だった大祐の兄、谷口恭一(上原理生)から
衝撃の事実を突きつけられる。

“愛した人は、名前も過去もすべてが偽りだった”

温泉旅館の次男である谷口大祐(上川一哉)
と名乗っていた男、“X”(小池徹平)とは、いったい誰なのか。

城戸は、大祐の元恋人である後藤美涼(濱田めぐみ)と共に調査にのめり込んでいく一方、
家庭では妻の城戸香織(知念里奈)との溝が深まっていく。

ある過去の事件を知る収監中の戸籍ブローカー小見浦憲男(鹿賀丈史)に翻弄されながら、

Xの人生を通して、
“人間の存在の根源とは何か”
問いに導かれ、城戸は闇へと踏み込んでいく。

“普通”の幸せを求め続けた男
“普通”の幸せを生きているフリをしている男

二人の人生が交錯した先に待つ、この世界の真実とは―

(公式サイトより転載)

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