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INTERVIEW

有澤樟太郎さんインタビュー「代表作になる予感」▷ミュージカル『ヒーロー』主演

東京・日比谷のシアタークリエで来年2月6日から開幕するミュージカル『ヒーロー』。日本初演となる今回、主役を演じる有澤樟太郎さんへのインタビューが実現!ミュージカル『ジョジョの奇妙な冒険』で堂々と主演を務め、『キンキ―ブーツ』にも出演が決定しているなど、注目を集める有澤さんの等身大のいまに迫ります。

同作は宇宙を目指す青年たちの青春を描いた感動作『オクトーバースカイ』を手掛けた脚本アーロン・ティーレン、作詞・作曲マイケル・マーラーのコンビが放つアメリカ発のミュージカル。アメリカのミルウォーキーを舞台に、過去にトラウマを持ちながらもアメリカンコミックの漫画家を目指す主人公ヒーローが、かつての恋人や父親、親友との別れや交流を通じて、自分の中にこそスーパーヒーローがいることに気づいていく心温まるストーリーです。

――今回の「ヒーロー」はどのような作品でしょうか。

ヒーローという言葉からは、戦う主人公というイメージを連想しがちですが、この作品はそうではない。主人公のヒーローはもちろん、周りの登場人物みんなが個性的。いろんなものを抱えた人たちが織りなす人間ドラマが繰り広げられます。初めて脚本を読んだときは、自分が演じることを忘れて夢中になってしまいました。感動のあまり鳥肌が立ちました。

――有澤さんが演じられる主人公ヒーローについて、どのような印象を持たれていますか。

ヒーローは28歳。僕は今 29歳なので、まず年齢が近い。ヒーローはいつかアメコミの漫画家になりたいという夢を持っているのですが、それを表に出すことはなく、父親が経営するアメコミショップやバーで働きながら、ずっと絵日記を描いている。すばらしい想像力を持っていて、周りの友人も彼のそんな才能を評価してくれているのですが、彼自身は決して前に出ない、傍観者のような立ち位置なんですね。周囲の人に対して、好きなものを好きといえなくて、すごく「気にしい」。こういった彼の性格は僕自身にもとても共通するところがあると感じています。

――役作りのうえで大切にされていることはありますか。

この作品の舞台は2008年。僕の個人的な感覚ですが、ミュージカルはすごく昔だったり、1950~60年代くらいの時代設定が多いと感じています。そんな中、今回は実際に自分も生きていた時代が描かれている。そんな2000年代の空気感を大事にしたいと思っていて、生活の中でも2000年代のヒットチューンを聞いたりしています。今回演出を担当される(上田)一豪さんも、「このキャラたちはハンバーガーを食べていて、ハンバーガーの血が流れているんだ!」と教えてくださって、実際にハンバーガーを差し入れてくれたりと、作品の舞台となる時代や土地に連れて行ってくれるのがとても優れている方です。

――『のだめカンタービレ』など、上田さんとご一緒される機会が多いですね。

そうなんです! いつか一豪さんの舞台で主役を演じたい!と思い続けていて。今回夢がかないました(笑)。一豪さんの作る稽古場の雰囲気が大好きなんです。

――今回はアメコミが重要なモチーフです。

実は僕、アメコミの大ファンなんです! 数年前にたまたま仕事で宿泊先のホテルで見て。すっかりハマって、それ以来止まらなくなってしまいました(笑)。ジムに行くときはガーディアンオブギャラクシーのTシャツを着ているくらい大好きです(笑)。マーベルやDCコミックは、人間ドラマをきっちりと描いているのが魅力。ヒーローにしても、なりたくてなった人もいれば、そうでない人もいて。みんな人間なんだよな、と思わされます。それが、まさか今回アメコミがテーマのミュージカルに出演できるなんて…。アメコミ好きでよかった(笑)!

――楽曲についてはいかがでしょうか。

とても楽曲の魅力がある作品です。派手ではないのですが、落ち着くというか…。耳に残るし、キャッチ―です。僕自身もすでに4曲くらい好きな曲があります(笑)。一歩を踏みだすような、そんな曲が好きなんです。一方で、曲数もかなりありますし、技術的にも難しい歌が多い。歌の中で掛け合いをするような曲もあるので歌いこなせるように頑張ります!

――「一歩を踏み出す」という言葉がありましたが、ご自身の人生を振り返ったとき、そのような転機はありましたか。

実は僕は小さい頃はとても引っ込み思案で。公園でドッジボールをして遊んでいる子たちに、母が「この子を混ぜてやって」とお願いするくらい。それが変わったのは中学生の時ですね。通っていた私立中学を辞めて、転校したんです。それまでやっていた野球もやめてしまった僕に、母が「こういうのを受けてみたら?」と新聞の芸能事務所のオーディションの広告などをみせてくれて。僕はとてもテレビっ子だったので。そこから「好きなものを目指してもいいんだ」と、新しい人生が始まりました。学級委員にも急に立候補したりして、母の一言で急に目立ちたがりになりました(笑)。地域の方たちも、オーディションの案内とかを教えてくださったりと、ずいぶん助けてくれました。

――本作は、ヒーローと家族の関係がとてもリアルに、丁寧に描かれています。有澤さんも、インタビューなどでご家族の話をされることが多いですね。とても温かい関係なんだなと思わされます。

そうか…、僕、気づかなかったけれど、自然に家族の話をしてたんですね。母、面白い人なんですよ。六本木のことを五本木っていったり、土方(ひじかた)歳三を「土方(つちかた)」歳三ってずっといってたり…(笑)。父も、僕の出演する舞台を楽しみにしてくれていて。家族が応援してくれて、支えてもらってここまで来られたという思いがあります。僕はいま一人暮らしをしているんですが、離れてからこそわかる親の偉大さですね。どんなに歳を重ねても、離れていても、親はいつまでも親だし、子はいつまでも子。だからでしょうか、僕は家族ものに弱くて…。今回の作品もそうですが、台本読んでいて、ウッときちゃうんです。あとは動物が出てくる話にも弱いです(笑)。寝る前にも、犬の動画を見て癒されているくらい。

――本当に、有澤さんが息子だったら幸せだろうな、と思います(笑)。

よく言われるんですよ、それ(笑)! お仕事でご一緒した方が、「どうやったら有澤くんみたいに育つんだろう」って声をかけてくださることがたびたびあって。息子キャラなんですかね…。僕自身は、自分なんかとてもとても、という感じなんですが…。

――本作ではヒーローの才能を、友人たちが「超能力」と表現して認めてくれていますね。有澤さんが思われるご自身の「超能力」とは。

うーん…。ひとつあるとすれば、言霊でしょうか。口に出したことが実現することがとても多くて。だから、やりたいことはできるだけ口にするようにしています。

――今回も、アメコミがテーマ、そして上田さんの舞台で主演と、夢がふたつもかないましたもんね! 最後に、本作への意気込みをお聞かせいただけますか。

今回は等身大の役を演じます。日本初演ということで、ヒーローという役のイメージは僕次第。不安はなく、ただただ楽しみです。もちろんこれからみんなで作り上げていくのですが、とても完成度の高い作品になると今から確信しています。僕自身にとっても、代表作になるという予感があります。ぜひ観に来ていただきたいです!

ミュージカル『ヒーロー』にちなんで世界のヒーローの「号外」をお渡しして、有澤さんもニッコリ

取材・文/塩塚 夢(産経新聞社)
撮影/相川直輝(産経新聞社)



有澤樟太郎(Arisawa Shotaro)

1995年9月28日生まれ。2015年より俳優として活動開始。翌年に出演したミュージカル『刀剣乱舞』にて和泉守兼定役を演じ人気を博し、以後、舞台、海外ミュージカル作品など数多くの話題作品に出演。主な出演作に、ハイパープロジェクション演劇『ハイキュー‼︎』シリーズ、ミュージカル『刀剣乱舞』シリーズ、二人芝居『息子の証明』、ミュージカル『グリース』、『ジャージー・ボーイズ』、舞台『キングダム』、ミュージカル『のだめカンタービレ』など。2024年2月、ミュージカル『ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド』では主人公のジョナサン・ジョースター役で帝国劇場で初の主演(ダブルキャスト)を務めた。また、今年10月期のTVドラマ『オクラ~迷宮入り事件捜査~』でフジテレビの連ドラ初出演を果たし、注目を集めた。
2025年2月ミュージカル『ヒーロー』でシアタークリエで主人公ヒーロー役に挑む。また、4月~6月ブロードウェイミュージカル『キンキーブーツ』ではチャーリー・プライス役(ダブルキャスト)で出演が決まっている。

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Stage Information

ミュージカル『ヒーロー』

脚本:アーロン・ティーレン
作曲・作詞:マイケル・マーラー
訳詞・翻訳・演出:上田一豪
製作:東宝

出演:有澤樟太郎
山下リオ/青山なぎさ(Wキャスト)
古屋敬多/寺西拓人(Wキャスト)
宮澤佐江
吉田日向/木村来士(Wキャスト)
佐藤正宏 ほか

日程:2025年2月6日(木)~3月2日(日)

劇場:日比谷 シアタークリエ

料金:全席指定 13,000円

公演公式サイトはこちら

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