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COLUMN

#2『デスノート』|ソウルからミュージカル・ラブレター

人気すぎて延長公演決定!
この春、最もソウルでチケットが取りにくいミュージカル『デスノート』

5月19日、韓国政府が、新型コロナウイルスの影響で中断していた観光ビザの発給を6月から再開するというニュースが飛び込んできました!また、日本・羽田―韓国・金浦空港間の直行便も再開されることが決定。すでに日韓両国ともワクチン3回接種済の人を対象に、入国の際の隔離を免除していて、待機期間の壁もなくなっています。まだビザ自体は必要ではありますが、コロナ前のように観光目的で日本から韓国を訪れることができる日が再びやってきました。そうなのです。今日ご紹介する作品『デスノート』も、ソウルで直接体感できる可能性があるということ!どうぞ皆さま、パスポートを準備して韓国ミュージカル観劇の旅へ!

日本のホリプロがオリジナルを制作した、漫画原作のミュージカル『デスノート』は、2015年に元・東方神起のジュンスが当時在籍していたC-JeSエンターテイメントが韓国初演を行い、それまで日本のコンテンツとはなかなか縁がなかった韓国のミュージカルファンを熱狂させました。そして2022年、3演目を迎える今回は、制作会社が『ジキル&ハイド』『ドラキュラ』『ラ・マンチャの男』等を送り出した、韓国ミュージカル業界の中でも老舗中の老舗であるOD COMPANYに変わり、現在、初演以上の熱狂を持って迎えられています。全席完売が続くほどの人気ぶりから、現在の忠武アートセンター大劇場での公演に加え、7月1日から8月14日まで、ソウルの複合芸術施設「芸術の殿堂」オペラ劇場で延長公演されることも決定しています。

死神がもたらした一冊のノート…デスノートをめぐって繰り広げられる、高校生・月(ライト)と名探偵L(エル)が繰り広げる死闘。ともすると非常に日本の少年漫画的な内容にも関わらず、こんなにも韓国の観客に愛されているのは、この作品の作曲家が韓国人の大好きなフランク・ワイルドホーンだから!1幕前半でデスノートを手にした月が歌うビッグナンバー『デスノート』がその最たる例で、ジュンスと同じく初演キャストである世界的ミュージカルスター、ホン・グァンホがこの曲を歌うミュージックビデオはYouTubeの再生回数1,600万回を記録。これは韓国ミュージカル界では驚異的な数字です。


左より ライト役 ホン・グァンホ、L役 キム・ジュンス 提供:OD COMPANY

15年の初演で、ポップス界とミュージカル界のスター同士の伝説のキャスティングと呼ばれたジュンス「L」×ホン・グァンホ「月」のコンビ。この2人が今回もそれぞれ同じ役を演じるために、熾烈になったのがチケット争奪戦。この2人が激突する回は、今回も発売数分で売切れ、チケット掲示板では100万ウォン(約10万円)を超える値がつけられたことも。もちろん、韓国でも転売は違法なので、チケット流通会社や制作会社は頭を抱えているけれど、それほどまでにチケットが取れない作品がこの春のOD版『デスノート』なのです。

幸運にもこのコンビを見ることができたのですが、開演前から会場に漂っていたのが、観客たちの幸福な高揚感。熾烈なチケット争奪戦をくぐり抜け、最愛の推しを観ることができるという幸せと、作品を最初から最後まで見逃さない! と静かに集中している1000人の観客の姿は壮観の一言でした。

そんな素晴らしい観客達の期待に思う存分応えていたのが俳優たちで、ホン・グァンホが歌いだすと劇場の床下が響いて動くように感じる程の迫力、ジュンスのLは初演よりもよりパワーアップした役作りで、原作漫画からそのまま抜け出して来たような説得力で観客を魅了していました。その他、リューク役のカン・ホンソク、レム役のキム・ソニョンは抜群の安定感を見せ、作品の完成度アップに寄与していました。

そしてOD COMPANYが手がける作品群は、驚異的に歌が上手い人たちが到るところに出てくるのですが、この『デスノート』ったら、アンサンブルでも一人一人が思いっきり美声×声帯を最大限使ったド迫力なので、まさに“歌で殴られるような”衝撃。ホン・グァンホ一人だけでも、歩くドルビー・サラウンドのような迫力なのですが、他のキャストたちも次から次へと劇場の屋根を吹っ飛ばすような歌声を飛ばしてくるので、観劇後の観客の様子はロックコンサートを堪能したかのような熱狂に。

観客×俳優のシナジー効果を高めたのは、オ・ピルヨン監督の舞台芸術。舞台天井から下まで埋め尽くされたLEDで、各シーンの転換だけでなく、キャラクターたちの心理までを表現。特に圧巻だったのが、月とLのテニス対決シーンで、初演では少し物足りなかった部分を補完。2.5次元ミュージカルがさかんな日本ではすっかりお馴染みの、漫画を見ているように舞台が見えるという、最高峰の「作画的舞台芸術」への韓国チームの本気の挑戦を今回垣間見た気がしました。

ジュンス×ホン・グァンホの他にダブルキャストとして、L役にはNetflixの『ヴィンチェンツォ』、『その年、私たちは』の魅力的なサブ男、キム・ソンチョル、月役に大学路(テハンノ)から大劇場までをこなす若手人気ミュージカル俳優のコ・ウンソンもキャスティングされ、今や大衆的な人気を誇る彼らの回のチケットも現在、非常に取りにくくなっています。

「どの回行ってもハズレなし!……チケットないけどな……」

と、作品を絶賛しながらも嘆くしかない観客たちの姿が、『デスノート』が今回も成功しているという、何よりもの証拠になっているのです。

取材・文/日韓公演コーディネーター・高原陽子


高原陽子

東京都出身。青山学院大学英米文学部在学中に韓国・梨花女子大学に留学。その後韓国に渡り、日韓の公演コーディネーターとして、数々の韓国作品や俳優を日本に紹介、また近年では、日本の才能ある俳優達を韓国の観客達にも紹介している。韓国人パートナーとの間に一女を設け、現在はソウル在住。
主なコーディネート作品:『SMOKE』『BLUE RAIN』『僕とナターシャと白いロバ』他
日本:『レ・ミザラブル』ヤン・ジュンモ、『ミス・サイゴン』キム・スハ、『ミュージック・ミュージアム』パク・ウンテ 他
韓国:『Seoul Musical Festival』中川晃教、安蘭けいpresents日韓交流ミュージカルコンサート等多数


Stage Information


提供/OD COMPANY

『デスノート』

公演期間:2022年4月1日〜6月19日
劇場:忠武アートセンター 大劇場(シンダン)
制作:OD COMPANY

出演:ホン・グァンホ、キム・ジュンス、コ・ウンソン、キム・ソンチョル、キム・ソニョン、チャン・ウナ、カン・ホンソク、ソ・ギョンス 他

上映時間:160分

【延長公演情報】
公演日程:2022年7月1日~8月14日
劇場:芸術の殿堂 オペラハウス(南部ターミナル)

出演:ホン・グァンホ、キム・ジュンス、コ・ウンソン、キム・ソンチョル、キム・ソニョン、カン・ホンソク 他

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