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COLUMN

【#23】シンプルに幸せになれる「修行」(バケモノの子)|東啓介と聴活♪

「ジャージー・ボーイズ」の東京と大阪の公演が終わりました。今回は、東京公演中に休演日を利用して見てきた劇団四季の「バケモノの子」からの聴活です! 原作のアニメ映画はもともと知っていましたし、細田守監督は好きなアニメーション監督なので、ミュージカルになると聞いた時からどんな作品になるのか気になっていました。

『バケモノの子』撮影:阿部章仁_ABZ0746_2_R.jpg
撮影:阿部章仁

ストーリーも歌もですが、まず驚いたのはセットのすごさ。海外の大作も含めてさまざまな作品を上演してきた劇団四季だからこそ、知識や工夫や技術がすごいんです。最初のシーンから、「これは絶対におもしろい」と確信できました。盆に沿って、映像を投影できる斜幕というんでしょうか、スクリーンのような幕の使い方にも驚かされました。ネタバレになってしまいますが、後半に出てくる鯨の迫力もすごくて、一度、バックヤードを見せてもらいたいくらいです。どうなっているんでしょうか!

現代の町、バケモノの世界の街、家のセット、鯨、闘技場みたいなところ、と代わる代わるいろんなシーンが出てくるのが飽きないですし、次はどんな展開だろうと入り込んでいました。劇団四季が今まで作り上げてきたものが新しい作品に導入されて、古いものと新しいものの融合といった印象を受けました。

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撮影:阿部章仁

もちろん物語もドラマチック。正義や悪について考えさせられる作品でもあります。強いバケモノの熊徹が一騎打ちをしたときに、人間の少年、蓮(九太)だけが熊徹を応援するシーンで、ぼくはしょっぱなから感動してしまいました。小さな子供が孤独な熊徹を応援するのが、純粋で素敵です。こういう「情」が感じられるのがこの作品の魅力だなと思いました。ちなみに最初は子供の蓮が大人になるのをどうやって見せるんだろうと思ったら、盆が回って戻ってきたときに青年になっていました。これには、「アナ雪」の衣装が一瞬で変わったときと同じ感動を覚えました。

ミュージカルなので、もちろん歌も大事です。映画に歌はないので初めて聞くものばかりでしたが、どれもすっと入ってきたのがすごいです。その中から今回選んだのは、「修行」という歌です。

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撮影:阿部章仁

人間の世界からバケモノの世界にやってきた蓮は、これまで一人の弟子も育てたことのない熊徹の弟子になります。「修行」は、何も教えてくれない熊徹の代わりに、バケモノの仲間が蓮に掃除や洗濯、料理を教えてくれるかわいいナンバー。かつおぶし、とか、大根、とかハマグリとか、皆が食材を持ってきて、「なんでも最初が肝心だ」と歌い踊るんです。それがすごくミュージカルっぽくて、「ダンス オブ ヴァンパイア」の「ガーリック」の歌を思い出しました。歌詞の意味を考えながら聞く歌も多い中、言葉遊びじゃないですけど、食材の名前を言っているだけのシンプルな歌詞が、聞いていてとても幸せになれます。この盛り上がりは音楽でしか作れないと思います。見終わってもずっと、かつおぶし、かつおぶしというフレーズが耳に残っていました(笑)。

『バケモノの子』撮影:阿部章仁_ABZ5073_l_R.jpg
撮影:阿部章仁

もちろん元のアニメ映画を見てなくても十分楽しめると思うんですが、ミュージカルを見た後は映画を見返したくなると思います。ミュージカルにすると、やはり音楽の力をすごく感じるんです。熊徹が自分の思いを蓮に託す「胸の中の剣」もとても良かったし、人の心の闇も音楽に乗るとさらに大きく感じられて、歌詞になることで言葉も胸に刺さります。

めちゃくちゃ楽しかったので、休演日明けに「ジャージー・ボーイズ」で共演する皆さんにも薦めたんです。アッキーさん(中川晃教さん)も、綿引さやかさんや小此木麻里さんも、「見に行ったんだ?」「気になってた!」と上々の反応でした。気になっていてまだ見られていない人も多いと思うので、この先もずっと上演し続けてほしいです。

劇団四季といえば、海外のミュージカル作品や古典作品を思い浮かべるかもしれませんが、現代を舞台にしたこんな素敵な作品が日本で生まれたことが本当にすごいです。新型コロナもあって苦しいことも多かったと思いますが、一から作品を作っていく作業はきっと、楽しかっただろうとも思います。これからも、劇団四季の新しい作品をたくさん見たいです!

聞き手/道丸摩耶(産経新聞)
舞台撮影/阿部章仁

今月の聴活ソング♪

修行|劇団四季 ミュージカル『バケモノの子』オリジナル・サウンドトラック

東啓介(Higashi_Keisuke)
1995年7月14日生まれ。2013 年デビュー。『5DAYS 辺境のロミオとジュリエット』『命売ります』『Color of Life』 などの作品で主演を務める。近年はミュージカル界の新星として頭角を現している。2020年11月にはファーストソロコンサートも開催。 最近ではミュージカル 『イン・ザ・ハイツ』 (神奈川・大阪・名古屋・東京公演)やミュージカル 『マタ・ハリ』 に出演。映像作品でも、NTV「ウチの娘は、彼氏が出来ない‼︎」やTBS火曜ドラマ「ファイトソング」などに出演し話題に。最近では、TX木ドラ 24 「チェイサーゲーム」や MBS 「闇金ウシジマくん外伝 闇金サイハラさん」に出演。2022年10月12月ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』 にボブ・ゴーディオ役で出演中で、2023年1月にはミュージカル『ザ・ビューティフル・ゲーム』にトーマス役で出演することが決定した。
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Stage Information

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劇団四季 オリジナルミュージカル『バケモノの子』

2023年3月21日千秋楽
劇場:JR東日本四季劇場[秋](東京/浜松町・竹芝)

公演公式サイトはこちら

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