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COLUMN

【#18】いろんな風景が見える「Seasons of Love」(RENT)|東啓介と聴活♪

ツイッターでも報告しましたが、先日、ブロードウェイミュージカル「RENT」の来日公演を見てきました! 作者のジョナサン・ラーソン氏は、昨年から配信されている映画「tick, tick…BOOM!(チック、チック…ブーン!)」の主人公のモデルになった、若くして亡くなった作曲家です。「RENT」を見る前にこの映画を見ていたので、あんなに葛藤しながらこんなすばらしい曲を作ったのか、とより深く感じながら観劇できました。映画「tick, tick…BOOM!」の感想も、いずれ皆さんにお話しできればと思います。

さて、その「RENT」ですが、初日ということもあって、客席は来日公演を待っていた人たちの熱気であふれていました。キャストが登場するたび拍手が起きて、最後のカーテンコールが終わった後も、バンドの最後のひとりがはけるまで拍手がやまない。キャストの熱量もすごくて、全世界に愛されている作品だということが肌で感じられました。

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Tomoko Hidaki

この曲もすごい、このキャストもすごい、と、とにかく「すごい!」の嵐。作品に描かれているさまざまな問題にも信ぴょう性があって…。特に2幕はあっという間に終わってしまいました。ミミとロジャーが歌う「Without You」も良かったし、コリンズの「I’ll Cover You」、これは2幕のリプライズが良かった! コリンズの声量と音の振動がすごくて。 主人公のお母さんたちの電話の歌もいいですよね。「元気してる?」みたいな早口がユーモアあふれる音階で歌われる。しゃべっていると思ったら音楽になっているのがおもしろかったです。どれもいい曲で、物語とマッチしていて、1曲だけ聞いても「RENT」の曲とわかる。本当にすごいですよね。あ、また「すごい」を連発してしまいました(笑)。

今回、選んだ曲は、2幕の最初で歌われる「Seasons of Love」。コンサートなどで何度か歌わせていただきましたが、何回聞いてもいい曲だなと思います。イントロが鳴った瞬間、「うわぁ、来た!」と思いました。聞きながら、いろんな風景が見える曲です。 教会で賛美歌を一緒に歌っているようにも聞こえたし、若者のデモ行進のようにも思える。これまで皆で歌を歌うには、音程や声を合わせることが大事だと思っていましたが、この曲は、ひとりひとりの歌がいつの間にか皆とそろう、ひとりの思いが重なってふくらんでいく、みたいな印象で、こういう歌い方もあるのかと新鮮でした。病気や差別という問題はあるけれど、後半にかけて皆がノリノリになっていって、生きていることはすばらしいというメッセージが伝わる。

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Tomoko Hidaki

「1年を何で数える? 愛で数えよう」という歌詞もいいですよね。ぼくだったら1年をどう数えるかな? もう朝だ、24時間が終わってしまった、もう5月末だな、みたいに「時間」で数えるかもしれない。若いときは、「また一歩何かに近づけた」と、夢だったりそういうもので数えていた気がしますが、最近は時間を意識するようになりました。特にこの2年は新型コロナによる自粛生活で、1日は進んでるんだけど自分は進んでないみたいな期間でした。そのせいか、行動できるならこの時間をどうするか、ということをより意識するようになりました。

もし、日本版のRENTがまた上演されるなら、ロジャーを演じてみたいです。踏み出したいけど踏み出せない、頼りたいけど頼れず虚勢を張ってしまう、ひとつ隠していたことで何かが崩れちゃう、そんなロジャーとミミのあやうい関係性は、誰しもに当てはまることで共感できます。それに、たいていの物語は、一歩踏み出したらどんどん色が鮮やかにハッピーになっていくと思うんですが、RENTはロジャーが一歩を踏み出すとそこに壁が立ちふさがる。そういうところもリアルです。

でも、踏み出すことによって何かが変わることは確か。踏み出せなかったら、壁があることも分からなかったし、話しかけなかったらすべてが終わっていたかも。楽しかった次の瞬間に愛する人が亡くなってしまう。幸せと不幸の波は日常でいっぱい起きているから、だからこそ「Seasons of Love」のメッセージが生きるんです。

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撮影/吉原朱美

みんなも、何かあったらひとりでいないでほしいし、頼れる人がいればすぐ会いに行ってほしい。誰かがいれば何とかなるし、お互いが寄り添って支えあっていれば、道は開けると思うんです。一歩踏み出してやってみたことが失敗だったとしても、間違いなく人生は濃いものになるし、間違ってもいいから何かした方がいいと、この作品から教えてもらいました。

次の来日公演も絶対に見に行きたいし、皆さんにも見てほしいです。本当にすごいですから!!

聞き手/道丸摩耶(産経新聞)
撮影/吉原朱美

♪今月のミュージカルソング

ミュージカル『RENT』|Seasons of Love (シーズンズ・オブ・ラブ)  RENT来日公演2020

東啓介(Higashi_Keisuke)

1995年7月14日生まれ、東京都出身。2013年デビュー。舞台『剣乱舞』など気舞台で活躍し、『5DAYS 辺境のロミオとジュリエット』『命売ります』『Color of Life』などの作品で主演を務める。近年はミュージカル界の新星として頭角を現している。2020年11月にはファーストソロコンサートも開催。2021年1月〜3月、NTV「ウチの娘は、彼氏が出来ない‼︎」にイケメン整体師・渉周一役で出演し話題に。 2021年3月〜4月ミュージカル『イン・ザ・ハイツ』(神奈川・大阪・名古屋・東京公演)に出演、6月〜7月ミュージカル『マタ・ハリ』でアルマン役に再び挑み好評を博した。2022年秋に開幕するミュージカル『ジャージー・ボーイズ』にボブ・ゴーディオ役で出演が決定した。

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Stage Information

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ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』

脚本:マーシャル・ブリックマン&リック・エリス
音楽:ボブ・ゴーディオ
詞:ボブ・クルー
演出:藤田俊太郎

出演:中川晃教、花村想太、藤岡正明、尾上右近、東 啓介、有澤樟太郎、spi、大山真志 ほか

会場:日生劇場(東京)
製作:東宝/WOWOW

公演公式サイトはこちら

【Story】

はじまりはニュージャージー州の貧しい片田舎。
“天使の歌声”を持つフランキーは、成功を夢見る兄貴分のトミーと ニックのバンドグループ に 迎え入れられる。 早速3人での音楽活動をスタートさせるが、フランキーの歌声をもってしてもグループには未だ何かが欠けていた。
鳴かず飛ばずの日々が続く中、作曲の才能溢れるボブが加入する。フランキーの歌声に魅了されたボブは、その声のために曲を書きたいと思うのだった。しかし金もコネもない彼らを待っていたのは 過酷な下積み生活。そんな中でも彼らは自分たちの音楽を磨き、それぞれの才能を開花させていく。そしてついにボブの楽曲と4人のハーモニーが大物プロデューサーの目に留まった。彼らは「ザ・フォー・シーズンズ」としてレコード会社と契約し、《Sherry》をはじめとする全米ナンバー1の楽曲を次々と生み出していく。ヒット曲につぐヒット曲、長期にわたるツアーで、家族を顧みずに酒と遊びを繰り返す日々が続く。富も名声も手にしたはずの4人だったが、輝かしい活躍の裏では、莫大な借金やグループ内の確執、家族の不仲など、様々な問題が勃発し、彼らの固い絆を蝕んでいった。それらはやがて取り返しのつかない大きな軋轢となり、グループを引き裂くのだった。
成功と挫折。あまりに劇的な春夏秋冬を駆け抜けていく4人がその先で見たものとは―。

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