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COLUMN

【#16】日本の漫画の力を感じる「デスノート」(デスノート)|東啓介と聴活♪

日本で上演されているミュージカルは、ブロードウェイやウィーンなど海外で作られたものが多いですが、もちろん日本発のミュージカルもあります。今回は、2015年に日本で世界初上演されたミュージカル『デスノート』を紹介したいと思います。

2017年に再演もされましたが、ぼくが見たのは2020年の新キャスト版。以前、映画で共演した甲斐翔真くんが、村井良大さんとWキャストで夜神月(やがみ ライト)役をやっていて。翔真くんが初舞台で初主演ということで見に行かせてもらったんです。 原作は漫画だし、アニメや映像化はできても、舞台では死神はどう表現するんだろう、楽曲はどう挟み込まれるんだろうと少しドキドキもあったんですが、感想は、めちゃめちゃ格好良かった、の一言です。「ミュージカルはちょっと…」と敬遠したくなる人もいるかもしれませんが、舞台っぽいのに映画っぽくもあり、お芝居もナチュラルで、ミュージカルになじみがない人も、すっと入りやすい作品です。死神も舞台ならではの表現で、すごくおもしろい。テーマは重いけれど、ポップな部分もあり、気負わずに見られます。

そして、デスノートを拾った(夜神)月がそれを初めて使ったときに歌われるのが、今回紹介する「デスノート」という歌。自分なりの正義で、世界をつくりかえようとする月の強い決意が伝わってきます。ミュージカルにグッと入っていける、まさに作品の世界を作り上げる歌です。正義とは何か、これはこの作品に限らず永遠のテーマだと思います。月は、罪を犯した者は裁かれるべきだと考えていて、その気持ちもすごく分かるし、だからといって殺してしまっていいのだろうかとも思います。警察官の息子に生まれたプレッシャー、凶悪犯に相応の罰を与えられない社会への歯がゆさもあって、弥海砂のことも利用して、壊れ始めてしまう。それでも、自分の中の正義を貫きたいという月の思いの強さはすごいですよね。一方で、エル(高橋颯さん)の「国民を守らなきゃいけない」という使命感にも共感します。

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撮影/黒澤義教

楽曲は『ジキル&ハイド』『スカーレット・ピンパーネル』などで知られるフランク・ワイルドホーン氏で、とにかくどの曲もすばらしいです。月たちが冒頭で正義について問う「正義はどこに」もいいし、エルが歌う「ゲームの始まり」という曲もすごいキャッチーで格好良い。1曲を選ぶのは本当に難しいです。月とエルの心理戦は、ミュージカルならではの表現で描かれていて、特に見ものです。頭のいい2人の戦いってすごいですよね。もともと原作も好きだったので、デスノートという作品が伝えたいことをより感じ取ることができましたし、日本の漫画やアニメのすばらしさも感じました。

仕事柄、ミュージカルを見るときは、自分も歌いたいと思いながら見てしまいます。自分だったらこうやって歌うかなとか、ここにフェイクが入れられそうとか、そんなことを考えたりもします。もし『デスノート』に出られるなら、月もエルもやってみたいです。「死神役が似合う」と言われるかもしれませんが(笑)。

日本発のオリジナルミュージカルには、どんなものが向くんだろうと考えることがあります。『デスノート』は現代の物語ですが、日本では戦国時代や幕末を舞台にした大河ドラマや時代劇が人気ですよね。海外でも受けそうな気がしますが、和装のミュージカルは難しいんでしょうか。和楽器が必要なのかなとか、歌も演歌っぽい方が合うのかなとか、いろいろ考えます。『デスノート』は海外でも上演されていますし、「北斗の拳」や「千と千尋の神隠し」も舞台化されました。今月からは、劇団四季の『バケモノの子』も上演されます。日本の漫画やアニメをどんどん発掘して、素敵な作品がたくさん作られることを期待します!

聞き手/道丸摩耶(産経新聞)

♪今月のミュージカルソング

『デスノート THE MUSICAL』2020|デスノート

東啓介(Higashi_Keisuke)

1995年7月14日生まれ、東京都出身。2013年デビュー。舞台『剣乱舞』など気舞台で活躍し、『5DAYS 辺境のロミオとジュリエット』『命売ります』『Color of Life』などの作品で主演を務める。近年はミュージカル界の新星として頭角を現している。2020年11月にはファーストソロコンサートも開催。2021年1月〜3月、NTV「ウチの娘は、彼氏が出来ない‼︎」にイケメン整体師・渉周一役で出演し話題に。 2021年3月〜4月ミュージカル『イン・ザ・ハイツ』(神奈川・大阪・名古屋・東京公演)に出演、6月〜7月ミュージカル『マタ・ハリ』でアルマン役に再び挑み好評を博した。2022年秋に開幕するミュージカル『ジャージー・ボーイズ』にボブ・ゴーディオ役で出演が決定した。

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Stage Information

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ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』

脚本:マーシャル・ブリックマン&リック・エリス
音楽:ボブ・ゴーディオ
詞:ボブ・クルー
演出:藤田俊太郎

出演:中川晃教、花村想太、藤岡正明、尾上右近、東 啓介、有澤樟太郎、spi、大山真志 ほか

会場:日生劇場(東京)
製作:東宝/WOWOW

公演公式サイトはこちら

【Story】

はじまりはニュージャージー州の貧しい片田舎。
“天使の歌声”を持つフランキーは、成功を夢見る兄貴分のトミーと ニックのバンドグループ に 迎え入れられる。 早速3人での音楽活動をスタートさせるが、フランキーの歌声をもってしてもグループには未だ何かが欠けていた。
鳴かず飛ばずの日々が続く中、作曲の才能溢れるボブが加入する。フランキーの歌声に魅了されたボブは、その声のために曲を書きたいと思うのだった。しかし金もコネもない彼らを待っていたのは 過酷な下積み生活。そんな中でも彼らは自分たちの音楽を磨き、それぞれの才能を開花させていく。そしてついにボブの楽曲と4人のハーモニーが大物プロデューサーの目に留まった。彼らは「ザ・フォー・シーズンズ」としてレコード会社と契約し、《Sherry》をはじめとする全米ナンバー1の楽曲を次々と生み出していく。ヒット曲につぐヒット曲、長期にわたるツアーで、家族を顧みずに酒と遊びを繰り返す日々が続く。富も名声も手にしたはずの4人だったが、輝かしい活躍の裏では、莫大な借金やグループ内の確執、家族の不仲など、様々な問題が勃発し、彼らの固い絆を蝕んでいった。それらはやがて取り返しのつかない大きな軋轢となり、グループを引き裂くのだった。
成功と挫折。あまりに劇的な春夏秋冬を駆け抜けていく4人がその先で見たものとは―。

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