リーディング音楽劇『ジャングル大帝』の新作《ルネ&ルッキオ編》が1月18日から東京・有楽町よみうりホールで上演中です。朗読とオーケストラによる生演奏を融合させた新しいスタイルの舞台。今回は昨年12月に有楽町よみうりホールで上演された《レオ編》の様子をレポートします。
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「ジャングル大帝」は手塚治虫さんの初期の名作のひとつ。この壮大な物語を、福田響志さん脚本・作詞、ウォーリー木下さんの演出で《レオ編》、そして新作《ルネ&ルッキオ編》をくわえた2部作として舞台化しました。《レオ編》は2023年6月に初演。今回は引き続き「ふぉ~ゆ~」の福田悠太さん、辰巳雄大さん、越岡裕貴さん、松崎祐介さん4人を主演に迎えての再演となります。
「リーディング音楽劇」って、どんなものなんだろう?とワクワクしながら劇場に入ると、たくさんの楽器がセットされています。そこにキャストが次々に現れ、観客とコミュニケーションをとって場を和ませてくれます。ナチュラルでリラックスした雰囲気の中、舞台は幕を開けました。

ジャングルの王の息子として生まれたレオは、父と母を失い、人間社会の中で日本人の少年ケン一(けんいち)とともに育ちます。ケン一がアフリカに冒険旅行に出かけることとなり、レオも自分の故郷であるジャングルへ。そこで動物たちと出会い、ジャングルの王者として成長していきます。
かわるがわるレオを演じるのは「ふぉ~ゆ~」の4人。レオに加えて、物語のキーとなるほかの登場人物もあわせて演じる難しい舞台ですが、小道具もいかしながら、声と表情で巧みに(そして何よりも実に楽しそうに!)、チームワークばっちりで演じ分けます。朗読劇というと静かなステージをイメージしますが、今回はふんだんに盛り込まれた書下ろしの楽曲とダンスを組み合わせることで、時空ともに広がりのある動的な演劇体験となっています。



アフリカのジャングルから船、都会、再びジャングルと目まぐるしく設定が変わっていく様子も的確な脚本と歌詞、原作のイラストも用いた映像などでスムーズに表現。オーケストラもシンプルな構成ながら、多様な楽器で効果音を含めたあらゆる音を再現しているのに驚かされました。

複雑で壮大な原作をとても分かりやすく舞台化していて、客席にはお子さんの姿も見られましたが、「楽しかった!」と満足した様子でした。
後編となる《ルネ&ルッキオ》編は、今回から上演される新作。「少年忍者」の深田竜生さん、黒田光輝さんが主演を務めます。レオの子供として生まれたルネとルッキオの冒険が、どのように描かれるのでしょうか。
取材・文/塩塚 夢(産経新聞社)
Stage Information
リーディング音楽劇『ジャングル大帝』
《ルネ&ルッキオ編》

原作:手塚治虫
脚本・作詞:福田響志
演出:ウォーリー木下
音楽:岩崎廉
出演:深田竜生、黒田光輝
永田崇人、西川大貴、工藤広夢
水嶋凜、ダンドイ舞莉花
上口耕平、宮原浩暢(LE VELVETS)
スペシャルコーラス:浦嶋りんこ
コーラス:吉田純也
ダンサー:ホナガヨウコ、池田遼
会場:有楽町よみうりホール
日程:2025年1月18日(土)〜31日(金)