エンターテインメントで笑顔を繋げる!

INTERVIEW

豊原江理佳さんインタビュー▷映画『リトル・マーメイド』はタカラモノ

ディズニーのミュージカル映画「リトル・マーメイド」(ロブ・マーシャル監督)が大ヒット公開中だ。
プレミアム吹替版で主人公、アリエルの声を演じているのはミュージカル女優の豊原江理佳。オーディションで選ばれた。

豊原は1996年生まれ、ドミニカ共和国出身。2008年にミュージカル「アニー」のアニー役でデビューし、ミュージカル「ザ・ビューティフル・ゲーム」、舞台「ピーター&ザ・スターキャッチャー」など舞台を中心に活躍している。

「リトル・マーメイド」は、日本では1991年に公開された同名のアニメーション映画の実写版。「大好きな作品」と豊原。舞台化もされており、アリエルはずっと憧れの役だった。
それだけに「まさか自分がアリエルを演じられるとは。子供の頃の自分に教えたい!」と声を弾ませる。

「吹替のオーディションがあるならぜひ挑戦したい」と所属事務所に宣言したとき、ちょうどオーディション開催の知らせが事務所に届いたところだったというから、運命だったのかもしれない。

不慣れな吹替には自信がなかったがオーディションから1か月後に、オンラインで最終面接を受けることになった。緊張してモニターに向かうと「アリエルの声は豊原江理佳さんに決定しました」という映像が映し出された。不意打ちの合格発表だった。

「ドーンっていう効果音まで入っていて。その瞬間、これまでのことや両親や支えてくれた人たちのことが思い出されて、なんか、もう、うわーってなって」

号泣した。

収録は初日こそ緊張したが、スタッフと「話し合いながら一緒に一つずつ作っていけたので、楽しく仕事ができました」とリラックスして臨んだことを明かす。

もちろん初挑戦の吹替だ。苦労した。

人間の王子エリックとの出会いにより、人間の世界に飛び出したいという思いを抑えきれなくなった人魚のアリエルは、海の魔女、アースラの誘いに乗り美しい声と引き換えに脚を与えてもらう。

声が出ないアリエル。その分、「ハッ」と息をのむなど息遣いで感情を表現する場面が続く。
「息ってこんなに種類があるんだ。すごいなと〝息の可能性〟を感じました」と苦笑いする。

実写版でアリエルを演じているのは米歌手、ハリー・ベイリー。「ハリーが表情豊かで、息も結構使って、台本にも『息』っていうト書きが多かった」と振り返る。

一方、歌については自分なりの工夫を重ねた。
アニメーション版でアリエルが歌ったのは「パート・オブ・ユア・ワールド」。人間界への憧れを表現した歌で、子供の頃からさんざん聴いてきた。

よく知っている歌だったが、完全に自分のものとしているハリーの歌を聴いて「白紙に戻された」と感じた。

自分もゼロから取り組もう。ハリーの歌声を懸命に聴き、新たな「パート・オブ・ユア・ワールド」として吸収した上で、自分らしさを付け加えていった。

「『自分がいるべき場所はここじゃない』というアリエルの心情を表すこの歌はティーンエージャーらしいのと同時に、『本当にこれでいいのか?』と迷いながらも踏み出せずにいる大人の心にも刺さる歌です。聴く人に届く歌にしないといけない。ちゃんと中身があって、心のこもった歌にしなくては」

◆「リトル・マーメイド」ミュージッククリップ|「パート・オブ・ユア・ワールド」(豊原江理佳)|ディズニー・スタジオ公式

 

また、今回の実写版では「何もかも初めて」という新曲が書き下ろされた。陸に上がったアリエルの喜びを表現する。これが、ラテンリズムを使い、とにかく難しかった。

「英語の歌詞だと子音でリズムに乗れるのですが、日本語の歌詞だと、それがうまくできなかった」

スタッフと話し合って、〝演技歌唱〟、つまりしゃべるように歌うことにして、なんとか歌いきった。

「アニメーション版の魅力が増幅されています」と豊原は実写版を語る。

アニメーション版はアリエルの恋心をシンプルに描いたが、実写版はエリックの人間性に厚みが、人間と海の神々との対立など物語には深みが増した。アリエルとエリックのロマンスもより丁寧に描かれる。

「登場人物の心情がより繊細に描かれ、アリエルとエリックの物語が、私たち自身の問題として考えさせられるようになっていますよね。2人が出会うべくして出会ったんだということが分かり、キュンキュンしました」

作曲家の父親の影響もあって小さい頃から音楽は好きだったが、9歳の夏休みに参加した市民ミュージカルが人生の方向を決定した。

「それまで習字、水泳、剣道と習い事をたくさんやっていたのですが、どれも長続きしなかった。だけど、ミュージカルは本当に楽しくて」

出演したのはオリジナル作品。役どころは5人の妖精のうちの1人に過ぎなかったが、「あれに出ていなければ、ミュージカルとは無縁だったかもしれない」。これもまた運命の出合いだった。

その後、ミュージカルの養成スクールに通い、小さな妖精が、やがてアリエルという大役へとつながるのだ。

「この映画は、ずっと残っていくでしょう。いつか自分がつまずいたときに見直し、自分を鼓舞することもあるでしょう。私の宝物です」

取材・文・写真/石井 健(産経新聞社)

▶︎関連記事

【#30】吹替版も見てほしい「パート・オブ・ユア・ワールド」(映画『リトル・マーメイド』)|東啓介と聴活♪

【映画コラム】#3『リトル・マーメイド』▷創立100周年を迎えるウォルト・ディズニー・カンパニーの最新作

Information

『リトル・マーメイド』
大ヒット上映中!

リトル・マーメイド© 2023 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

ディズニー創立100周年となる2023年、
「美女と野獣」「アラジン」のディズニーが贈る、新たなるミュージカル映画の金字塔が誕生

『美女と野獣』『アラジン』実写版を成功させてきたウォルト・ディズニー・カンパニーが、創立100周年を迎える歴史的な年に、あの「リトル・マーメイド」をついに実写映画化。夢を求め人間の世界に飛び出す人魚姫アリエルの歌声が、世界中に最高の魔法をかける!

原題:The Little Mermaid
監督:ロブ・マーシャル
出演:ハリー・ベイリー 
全米公開:2023年5月26日 
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン

公式サイトはこちら

RECOMMEND

NEW POST

小林唯のGood Vibes★Talk&Songs
PAGE TOP
error: