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COLUMN

【映画】 #3『リトル・マーメイド』▷6月9日公開、創立100周年を迎えるウォルト・ディズニー・カンパニーの最新作

10月に創立100周年を迎えるウォルト・ディズニー・カンパニーの最新作は、大ヒットしたアニメーション映画「リトル・マーメイド」(1991年)の実写版。

低迷していたディズニー・アニメーションを起死回生させたのが「リトル・マーメイド」で、「美女と野獣」「アラジン」と、その後、再びヒット作が続くきっかけとなった。

そんな大切なアニメーション映画の実写化を手掛けたのはロブ・マーシャル監督。ブロードウェイ出身で「シカゴ」(2002年)によってミュージカル映画の新しい可能性を切り開いた人物だが、見事に大役を果たしたといえる。

主人公は、美しい歌声をもち、人間の世界に憧れている人魚アリエル。王子のエリックに出会い、人間の世界に飛び出したいという思いを抑えきれなくなった彼女は、海の魔女の計略にはまる。美声と引き換えに「脚」を手に入れるが…。

© 2023 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

アリエルのお目付け役であるカニのセバスチャンらアニメーションでおなじみの面々も実写化され大活躍。物語も大筋においてはアニメーション版のままだ。

しかし、マーシャル監督は巧みな取捨選択も行った。アニメーションだからこそ楽しかった場面は、ばっさりと捨てた。リアリティーのために必要な説明的な場面はあえて加えた。エリックの人物的な背景についてはアニメーション版より随分肉付けされ、人間らしさを増した。

一方で、ロマンスを描くのに、あるいはミュージカルとして欠かせない場面は、アニメーションよりもさらに美しく、甘く描いてみせるのが楽しい。

© 2023 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

その結果、人魚姫と人間の恋物語は、実写ならではの美しさと華やかさ、あるいはスペクタクル、そして深みを増した。

アニメーション版は、シンプルでハッピーなラブロマンスだったが、この実写版は誤解が原因で長年対立し続けた異民族が融和へ踏み出す物語へと昇華。意義深い実写化となった。

劇中音楽は、アニメーション版と同じく作曲家のアラン・メンケンが手掛けた。「アンダー・ザ・シー」や「キス・ザ・ガール」など、おなじみの名曲は今回も歌われ、さらに3曲の新曲が書き下ろされた。

歌に加えオーケストラによる劇中音楽も、またすばらしい。おそらく、この映画が与える感動の半分はアラン・メンケンとリン=マニュエル・ミランダの劇中音楽によるものであるはずだ。

© 2023 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

そして、アリエルを演じる歌手、ハリー・ベイリー。小麦色のマーメイドのなんたる愛らしさ、けなげさ。

ところで、マーシャル監督は映画の冒頭、アンデルセンの童話「人魚姫」から次のような言葉を引用し、テロップで流す。

「人魚は涙を流せない。だから、よけいにつらかった」

なぜ、悲劇の童話から、この言葉を引用したのだろう? かつてそんな人魚がいたが、その悲劇を繰り返してはならない。この映画は、そんなメッセージなのかもしれない。

文/石井 健(産経新聞社・文化部)

Information

『リトル・マーメイド』

6月9日(金)全国劇場にて公開!

リトル・マーメイド© 2023 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

ディズニー創立100周年となる2023年、
「美女と野獣」「アラジン」のディズニーが贈る、新たなるミュージカル映画の金字塔が誕生

『美女と野獣』『アラジン』実写版を成功させてきたウォルト・ディズニー・カンパニーが、創立100周年を迎える歴史的な年に、あの「リトル・マーメイド」をついに実写映画化。夢を求め人間の世界に飛び出す人魚姫アリエルの歌声が、世界中に最高の魔法をかける!

原題:The Little Mermaid
監督:ロブ・マーシャル
出演:ハリー・ベイリー 
全米公開:2023年5月26日 
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン

公式サイトはこちら

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