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COLUMN

【#33】悔しさを救いに変える「支配者に立ち向かえ」(『スクールオブロック』)|東啓介と聴活♪

『ラグタイム』の幕が開きました。僕が演じるヤンガーブラザーは、白人でありながら黒人やユダヤ人などいろんな人に影響を受けて成長していく役。前回の「聴活」の藤田(俊太郎)さん(演出)との対談で、皆さんも僕の役の人物像は分かってくださったと思いますが、ヤンガーブラザーがどう変わっていくのか、他の役の心情にもフォーカスしながら楽しんでいただきたいです。悲しい物語ではありますが、音楽が素晴らしく、とても魅力的なので、ぜひそこにも注目してください!

稽古の合間に、ミュージカル『スクールオブロック』を見てきました。アマチュアロックバンドのギタリスト、デューイが友人になりすまして名門校に教師として着任。バンド・バトルへの出場をめざして、生徒たちにロックを教えるうち、生徒たちの心もだんだん動かされていって…という同名映画をミュージカル化したものです。


(写真中央)デューイ/西川貴教さん(写真提供:ホリプロ、撮影:田中亜紀)

作曲はアンドリュー・ロイド=ウェバー。僕は『ホイッスル・ダウン・ザ・ウィンド~汚れなき瞳~』『ザ・ビューティフル・ゲーム』と、2つのロイド=ウェバー氏の作品に出演させていただきましたが、この作品はまた全然違うハートフルなストーリーです。でも、楽曲に関しては、思ってもいない音に移っていくところとか盛り上がり方とか、随所にロイド=ウェバーらしさが感じられて、どうしてこんな曲が作れるのか、頭の中をのぞいてみたいと今回も思ってしまいました。

(写真中央)デューイ/西川貴教さん(写真提供:ホリプロ、撮影:田中亜紀)

この作品の見どころは、なんといっても生徒役の子どもたち。とにかくすごすぎます。主人公のデューイは柿澤勇人さんとのWキャストで、僕は西川貴教さんの回を観たのですが、セリフなのか西川さんご自身の言葉なのか分からないくらい、言葉が響いてきました。デューイが子どもたちに、「弾いてみろ」とギターやキーボードを弾かせるパート(「俺たちはバンド」)が最初の泣きポイント。そこからはもう、子どもたちのがんばる姿に泣いて、泣いて、泣き疲れてしまうほど泣きました(笑)。特に、親から「お前は頭が悪いんだから」と冷たくあしらわれていた少年が、勇気を出して親に立ち向かっていくところは胸を打たれました。

バンド演奏をする子どもたちの姿も、堂々としていて圧巻でした。子どもの頃にこんな舞台を経験したら、一生忘れられない体験になるだろうな。自分が通う学校にデューイみたいな先生が来たら、ちょっと困りますけど(笑)。授業をやらずにロックを演奏させるなんて、やっていることはめちゃくちゃですが、でもそれが、親や先生の心を動かしていく。デューイのとんでもない教え方、人間力には、大人の自分たちの方が学ぶものが多いと思います。

(写真左)デューイ/柿澤勇人さん(写真提供:ホリプロ、撮影:田中亜紀)

僕も子どものころ、かっこいいスポーツ選手を見てああなりたいとか、素敵な先生と出会って自分の気持ちが変わったりすることがありました。当時の気持ちがよみがえってきて、大人になりたくないなってピーターパンみたいなことを考えてしまいました。

「俺たちはバンド」もとてもいい曲ですが、今回選んだ1曲は、これまた作品を代表する楽曲のひとつである「支配者に立ち向かえ」です。生徒とデューイが足を踏み鳴らしながら歌う曲で、「立ち向かえ」というフレーズが何度も出てきて、楽曲自体も1幕でも2幕でも演奏されます。ロックを感じるし、子ども達が曲を通じて自由になっていく姿が見られて、曲と楽器と歌の力に改めて気づかされます。

暴力に走るのではなく、音楽にのせて抗議するデューイと子どもたち。一緒になって、楽しく立ち向かう姿は、すごくキラキラして見えました。子どもの頃って誰もが、なんで従わないといけないんだ、なんでこうしないといけないんだ、と悔しい思いをしたことがあると思います。そういう悔しさをこの曲が回収してくれて、皆も思っていたんだ、ひとりじゃなかったんだ、と救われた気持ちになります。音楽は人と人を結んでいく、言えなかった気持ちをさらけ出していくんだ、と改めて音楽の力を感じました。

(写真中央)デューイ/柿澤勇人さん(写真提供:ホリプロ、撮影:田中亜紀)

ちなみに僕は、学生時代は規律をちゃんと守る優等生ではなく、反抗していた方です(笑)。今思えば、なんとなくロックしていましたね。でも、大人になったら気をつけなきゃいけないことや言っちゃいけないことがたくさんある。今だって、立ち向かいたいけど立ち向かえていないことが山ほどあります。

でも、応援してくださる皆さんがいるからがんばれる。そして、こういうすばらしい作品や音楽に出会って救われることもあります。最近はなかなか行けていないですが、フェスや好きなバンドのライブにもまた行きたいなと思えた観劇でした。

聞き手/道丸摩耶(産経新聞社)


今月の聴活SONG♪

ミュージカル『スクールオブロック』(2023)舞台映像ダイジェスト|ホリプロステージ


東啓介(Higashi_Keisuke)
1995年7月14日生まれ。2013年デビュー。『5DAYS 辺境のロミオとジュリエット』『命売ります』『Color of Life』などの作品で主演を務める。近年はミュージカル界の新星として頭角を現している。2020年11月にはファーストソロコンサートも開催。最近ではミュージカル『イン・ザ・ハイツ』(神奈川・大阪・名古屋・東京公演)やミュージカル『マタ・ハリ』に出演。映像作品でも、NTV「ウチの娘は、彼氏が出来ない‼︎」やTBS火曜ドラマ「ファイトソング」などに出演し話題に。最近では、TX木ドラ24「チェイサーゲーム」やMBS「闇金ウシジマくん外伝 闇金サイハラさん」に出演。2022年10月〜12月ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』にボブ・ゴーディオ役で出演。2023年1月〜2月ミュージカル『ザ・ビューティフル・ゲーム』、4月〜5月舞台『二次会のひとたち』に出演。9月~10月ミュージカル『ラグタイム』に出演する。
ABCテレビ(関西)ドラマ『●●ちゃん』に高橋彰吾役で出演中、9月17日(日)からスタートするMBSテレビドラマ『女子高生、僧になる。』に里中樹役で出演する。10月27日~29日舞台『混頓 vol.1』へ出演が決定した。
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Stage Information

ミュージカル『スクールオブロック』

【東京公演】
2023年8月17日(木)~9月18日(月・祝)
東京建物 Brillia HALL

【大阪公演】
2023年9月23日(土・祝)~10月1日(日)
新歌舞伎座

音楽:アンドリュー・ロイド=ウェバー
脚本:ジュリアン・フェロウズ
歌詞:グレン・スレイター
翻訳・演出:鴻上尚史
訳詞:高橋亜子

出演:デューイ・フィン役:西川貴教/柿澤勇人(Wキャスト)
ロザリー・マリンズ役:濱田めぐみ

ネッド・シュニーブリー役:梶 裕貴/太田基裕(Wキャスト)
パティ・ディ・マルコ役:はいだしょうこ※/宮澤佐江(Wキャスト)

阿部 裕、神田恭兵、栗山絵美、多岐川装子、俵 和也、丹宗立峰、ダンドイ舞莉花、中西勝之、西野 誠、湊 陽奈、安福 毅 (五十音順)
スウィング:AYAKA、森内翔大
※はいだしょうこ:ロザリー・マリンズ役カバー

《チーム・ビート*》
大久保実生:トミカ(ボーカル)
加藤悠愛:ソフィー(ローディー:楽器セッティング・運搬)
木村律花:ショネル(コーラス)
熊田たまき:ローレンス(キーボード)
後藤日向:ザック(ギター)
佐藤 凌:ビリー(衣裳:スタイリスト)
シーセンきあら:マーシー(コーラス)
中川陽葵:サマー(マネージャー)
三宅音寧:ケイティ(ベース)
村井道奏:フレディ(ドラム)
宮島伊智:ジェイムズ(警備:セキュリティ)
屋鋪琥三郎:メイソン(技術:ステージエンジニア)

《チーム・コード*》
小川実之助:ローレンス(キーボード)
桑原広佳:マーシー(コーラス)
飛田理彩子:ケイティ(ベース)
中込佑協:メイソン(技術:ステージエンジニア)
中嶋モモ:フレディ(ドラム)
平岡幹基:ジェイムズ(警備:セキュリティ)
前田武蔵:ビリー(衣裳:スタイリスト)
真木奏音:ソフィー(ローディー:楽器セッティング・運搬)
三上さくら:トミカ(ボーカル)
三宅音太朗:ザック(ギター)
宮﨑南帆:ショネル(コーラス)
山崎 杏:サマー(マネージャー)

公演公式サイトはこちら

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