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INTERVIEW

海宝直人さんインタビュー「等身大の悩める若者、魅力的に」 ▷映画『リトル・マーメイド』プレミアム吹替版のエリック役

大ヒット公開中のディズニーの最新映画『リトル・マーメイド』。アニメーションの魅力をそのまま実写化した美しい映像、「アンダー・ザ・シー」「パート・オブ・ユア・ワールド」などのおなじみの楽曲に新曲も加わり、映像も音楽も楽しい映画です。プレミアム吹替版で人魚姫アリエルが恋する人間の王子、エリックを演じる海宝直人さんに、映画の魅力や演じてみての感想を聞きました。

――エリック役に決まったときの気持ちを教えてください

嬉しかったです。アニメーション版の『リトル・マーメイド』は、ディズニーにとって大きな転換点になった作品だと聞いています。音楽の面でも、アラン・メンケンさん(作曲)と故ハワード・アシュマンさん(作詞)が初めて参加したディズニー作品。しかも、ディズニー100周年という節目に上映される実写版ですから、そこに参加できるのは本当に光栄でした。

海宝直人

――エリックという役には、どういうイメージを持っていましたか?

ディズニープリンスの中でも、王子様という印象が強かったですね。例えば『アラジン』のアラジンは王子ではないし、『ライオンキング』のヤングシンバは、王子ですけどライオンです。その点、エリックは実際に人間の王子ですから(笑)。王道のプリンス像を担っているキャラクターという印象はありました。でも、今回の実写版においては、従来のイメージをさらに深掘りしてあります。女性を助け、女性を守る格好いい王子様というだけでなく、より深い部分が描かれているんですよ。

――より深い部分とは?

今回、エリックは王家の養子という設定で、そこにいろいろな感情を持っているという描かれ方をされています。アリエルはお父さん(海の王トリトン)に理解してもらえず、海の世界にとどまれ、陸に行くなと言われていますが、エリックもまた、義理のお母さんと自分の中にある『王』像が違っていて、海に冒険に出たいのに陸にいなさいと言われている。そうしたバックグラウンドがしっかり描かれているからこそ、2人の出会いがよりマジカルになり、2人の魂が通じ合ったのだと分かります。『リトル・マーメイド』は比較的、女の子ファンが多いと思われる作品ですが、今回の実写版では、幅広い層に共感を得られる作品に進化したのではないかなと思います。

――より現代的になっている印象ですね

そうですね。今回のエリックは、アイデンティティが揺らいでいる等身大の悩める若者。演じているジョナ・ハウアー=キングさんも、飾らずまっすぐで、ピュアで愛に一途なエリックを演じていらっしゃる。そういう朴訥さみたいなものが、とても魅力的だなと思いました。ロイヤルファミリーというと別世界の人たちというイメージがありますが、ぼくたちと同じような悩みをもって、同じような思いで生きてる人なんだな、というのがすごく伝わってくるキャラクターになっていました。ぼくも感情移入しやすかったですし、このエリックが、現代においてディズニーが提示するプリンス像なのだと思います。

――アリエルの印象も変わりましたか?

変わりました。さらにパッションがあふれていて、冒険心がより色濃く描かれています。ハリー・ベイリーさんも、プレミアム吹替版の豊原江理佳さんも、役にぴったりな美しく繊細できれいな歌声だけど、そこにはじけるエネルギーがあって素敵だなと思いました。

――エリックが歌う新曲「まだ見ぬ世界へ」を初めて聞いた時の印象は?

すごくダイナミックでドラマチックな曲だな、というのが第一印象でした。これまでの実写版に追加された新曲は、モダンなアレンジや現代的な楽曲が多い印象だったので、今回もそうかと思っていたのですが、アラン・メンケンさんの世界観から生まれたであろう、もとのアニメーション作品にあっても違和感ない王道のミュージックパワーバラードでした。揺れ動く彼がひとつの決意に至っていく過程を1曲の中でダイナミックにドラマチックに繊細に描いていく、本当に素敵な曲です。

――歌ってみての感想はいかがでしょうか

今回はプレミアム吹替版だったので、普段のミュージカルの楽曲を歌うのとはまったく違うアプローチが必要とされました。そこにはすでに、ジョナさんが演じるエリックの表情があって、情景もあって、実際に口も動いています。そこに乗っかったときに違和感のないエネルギー感や情感を探っていく作業は、まったく新しい歌へのアプローチという感覚でした。百戦錬磨のディレクターが、上手に導いてくださったおかげで、自分の引き出しにないことを楽しめたし、またやりたいという思いがすごく強くなりました!

――試写をご覧になった時の感想を教えてください

おもしろいし楽しい、素晴らしい映画だな、と一観客として楽しめました。自分のシーンは大丈夫かなとちょっと手に汗を握る感じがありましたけど(笑)。でも、こうやって完成するんだ、他のキャストさんもすごく素敵だなと思いながら、プロフェッショナルな人たちが集まってこんなすばらしい映画を作り上げたことに感動しました。映画は舞台よりお値打ち価格ですし、ぜひ何度でも見てほしいです!

海宝直人

――海宝さんが最近、“出会いはタカラ”と感じたことを教えてください

やはり、エリックというキャラクターとの出会いです。アフレコなどを通してエリックという役を構築していくに当たり、学んだもの、得られたものがすごく大きかったと思うので。今回のアフレコでの歌のアプローチ、芝居のアプローチというのは、これから先のミュージカルや舞台でも還元できるのではないかと思います。すごく素晴らしい出会いをさせてもらいました。

――エリックとの出会い、素敵ですね。そして、音楽劇『ダ・ポンテ』でも新たなお役に出会いましたね。女好きの詐欺師という設定に驚きました

最近、そういう役が連続したんですよ。ラジオドラマでもそういうキャラクターでしたが、楽しんでやっています(笑)。今回は完全なる新作なので、役者さんもスタッフさんもスーパークリエイト中。作って壊して、作って壊して、を繰り返しながら、もがき、あがき、ギリギリまでいいものを作ろうとがんばっています。脚本も意見を出し合ってブラッシュアップできるし、音楽もそれに合わせて変更ができるというのは、輸入ものや決められた枠でやらないといけない既存の作品ではできないことです。生みの苦しみも味わいつつ、でもそれを楽しみつつやっています。

――最後に、舞台を楽しみにしているお客様に一言お願いします

絶対にお客様に楽しんでいただけるものにしようと、カンパニー一丸となって闘い抜いております。曲も30曲以上あって、楽しい笑えるシーンもあり、ぐっとくる場面もあり、最後は人生について、生きるって素敵だなと思っていただける作品になっていると思います。ぜひ劇場に来て、楽しんでいただけたらなと思います!

取材・文/道丸摩耶(産経新聞社)
撮影/吉原朱美


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海宝直人 (Kaiho Naoto)
1988年生まれ。千葉県出身。7歳で劇団四季『美女と野獣』でデビュー。その後も舞台を中心に活躍中。主な出演作は『アナスタシア』『レ・ミゼラブル』『ミス・サイゴン』『ノートルダムの鐘』『アラジン』『ライオンキング』など。2012年に始動したロックバンド「シアノタイプ」のライブ活動では、ヴォーカリストとしての新たな魅力でファン層を拡大中。第46回(2020年度)菊田一夫演劇賞を受賞(『アリージャンス忠誠』のサミー役、TOHO MUSICAL LAB. 『Happily Ever After』男役の演技に対して)。
2023年7月24日まで音楽劇『ダ・ポンテ ~モーツァルトの影に隠れたもう一人の天才~』に出演中。9月~10月ミュージカル『アナスタシア』では、ディミトリとグレブの2役に挑む

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Information

『リトル・マーメイド』
大ヒット上映中!

リトル・マーメイド© 2023 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

ディズニー創立100周年となる2023年、
「美女と野獣」「アラジン」のディズニーが贈る、新たなるミュージカル映画の金字塔が誕生

『美女と野獣』『アラジン』実写版を成功させてきたウォルト・ディズニー・カンパニーが、創立100周年を迎える歴史的な年に、あの「リトル・マーメイド」をついに実写映画化。夢を求め人間の世界に飛び出す人魚姫アリエルの歌声が、世界中に最高の魔法をかける!

原題:The Little Mermaid
監督:ロブ・マーシャル
出演:ハリー・ベイリー 
全米公開:2023年5月26日 
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン

公式サイトはこちら

Stage Information

音楽劇『ダ・ポンテ ~モーツァルトの影に隠れたもう一人の天才~』

作:大島里美
音楽:笠松泰洋
演出:青木 豪
主催:キョードーファクトリー
足立区シアター1010 指定管理者(プレビュー公演のみ)
企画製作:東宝

出演:海宝直人、平間壮一、相葉裕樹、井上小百合、田村芽実、青野紗穂、八十田勇一 ほか

【プレビュー公演】
2023年6月21日(水)~25日(日) シアター1010

【愛知公演】
2023年6月30日(金)・7月1日(土) 日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール

【東京公演】
2023年7月9日(日)~16日(日) 東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)

【大阪公演】
2023年7月20日(木)~24日(月) 新歌舞伎座

公演公式サイト

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