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INTERVIEW

浦井健治×伊礼彼方Special対談《後編》

ふたりでつむいだ「スタートライン」ー人生の光に

ミュージカルや宝塚歌劇などのエンターテインメントが大好きな皆さまにワクワクする情報を届けようとスタートした「マチ★ソワweb」。記念すべき最初の記事は、ミュージカルや舞台に引っ張りだこの俳優、浦井健治さんと伊礼彼方さんによるスペシャル対談です。新型コロナウイルスの影響であらゆるエンタメが自粛となる中、ふたりはオリジナル曲「スタートライン」を完成させました。「未来に向かって今を走れ」と呼びかける疾走感あふれる曲は、浦井さん作詞、伊礼さん作曲によるもの。本日、スタートラインに立った「マチ★ソワweb」の読者に向けて、新曲の制作裏話やファンの皆さんへのメッセージをたっぷり語っていただきました。
(対談は 6月下旬、リモートで実施。一部、敬称略)

対談の前編はこちらから

分業制が互いの良さを引き出した

浦井 彼方はもともとバンドマンだったんだよね。

伊礼 そうです。音楽を生業にしようと、自分で書いた曲を歌ってた。紆余曲折あってやめたんだけど、やっぱりぼくは言葉を伝えるより音を伝える方が好き。だから、歌詞のことを考えずに作曲に集中できたのも健ちゃんに感謝したいんだよね。

浦井 才能だよ。音が降ってくるのはすごいと思う!

伊礼 そんなことないよ。メロディーは頭の中で常に鳴っているんだけど、残念ながら歌詞はさっぱり。健ちゃんこそ、すごくいい歌詞を書いてくれたじゃない。それも発見だった。歌詞を書けることにもびっくりしたけど、健治の中にはこういう言葉があるんだって。

浦井 ぼくは童話を書いていて、自粛期間中にも何作か書いたんだけど、その中の数作を彼方に送ったんです。ぼくの言葉を彼方に読んでもらう機会はなかったので。自粛期間中は、いろんな発見がありますね。われわれはそれをプラスにしていけたのかな。いろいろ模索して、もがけたと思います。

伊礼 今回は詩と曲だけでなく歌も分業したわけだけど、これって芝居と同じだよね。台本は全部読むし全体のことも考えるけど、役者はそれぞれ自分の役を演じる。それに近かったから、精神的に楽だったね。音楽をやってるときからそういうスタイルでいれば良かったのかもしれないけれど。

浦井 彼方がバンドを組んでいたメンバーと仕事をしたときに、当時の彼方の話を聞いたことがあって。作詞作曲して歌って、プロデュースして世界観もつくる必要があったって。伝える真ん中にい続けなきゃいけなかったんじゃないかな。彼方はクリエイターで創作が大好きなんだけど、エンタメも好きだから、役者というポジションは天職だなとすごく思う。

伊礼 その通り。よくわかるね? 

浦井 ぼく、伊礼彼方のファンなのかな。ファンの方は彼方のことを「社長」と呼んでるらしいので、これからそう呼ぼうかな。

伊礼 じゃ、俺は健ちゃんを「副社長」って呼ぶ!

浦井 もしくは理事長? 会長?

伊礼 社長より上かい!(笑) でも、おっしゃる通り、ひとりでやっていると、作曲、作詞から世界観まで全部作って、それをサポートメンバーに伝えないといけない。ベースの練習もして、ファンにライブの日時を送る。やりきれなかったね。分業したことで、シンプルに物事を考えられるようになったし、何よりぼくは人と作ることのおもしろさに魅力を感じる人間なんだと分かった。

浦井 彼方は視野が広いというか、段取りや段階をしっかり考えて伝えられる。マネージャーのように動いて、団結できる骨組みを作ってくれるんですよ。すごいなと思いました。よりいろんなことをやってみたいという気持ちになったし、可能性も感じた。

さらに新曲が生まれる気配が…

――最後に今後の目標やファンの人へのメッセージをお願いします

伊礼 実は3曲目も考えているんですよ。せっかくならパッケージ化できないかなって。

浦井 手元に残していつでも聞ける形なら、楽しんでいただけるんじゃないかな。2人で話していたのは、自粛が明けてエンタメが活性化したら、お客さまの前でライブをしたいねって。

伊礼 そのときにもう1曲入れられたらいいよね。

浦井 彼方は「ダンサブルなキラキラした感じ」とこの前言ってたけど、2人ならハードロックとかパンクロックもいけるんじゃないかなと思って。

伊礼 え? 初耳だぞ?

浦井 うん、今、初めて言いました(笑)。彼方とだといろんな可能性を考えられるというか、自分が触発されて、一緒に新しい世界を見てみたいと思えるんです。

伊礼 ダンスリズムっぽいマイナー系の曲を書こうと思っていたのに、まさかのパンクロック!

浦井 どっちでもいいよ?

伊礼 2曲書く?(笑) マイナー系の曲は何となくできてるんで、パンクロックはこれから…。

浦井 事務所も違うし、2人での活動はいろいろ大変な部分もある。でも、たくさんの人に助けていただいて、やれそうな気配がしています。

伊礼 ラジオでいっぱい流して! 俺、毎回聞いてるから。

浦井 ありがとう(笑)。このコロナ禍に、アーティストや役者は、エンターテインメントや演劇とはどういう立ち位置なのか、自分は何なのか考える時間があったと思います。ぼくは映画を見たり本を読んだり配信で海外のミュージカルに触れたりして、やはり演劇は人間に必要で、エンタメは心を豊かにして人生を励ましてくれものなんだと勇気づけられた。徐々に劇場も開いていく中で、彼方と作った作品が残るのは道の途中の一輪の花のようなもの。皆さんに伝えられたことを喜びに変えて、これからも楽しいエンタメをお届けできるよう精進したいです。

伊礼 その通りだね。改めて、ユニットやグループはいいなと思った。自分がしゃべらなくても、思っていることを伝えてくれるから。ぼくは健ちゃんのために曲を作り続けます!(笑)

浦井 自分のために作って!自分発信をして!(2人爆笑)

伊礼 われわれにできることは、エンタメを届けることしかないと思うんです。健ちゃんに突き動かされて書いた曲が、少しでも日常生活の光になったのならうれしいし、そのためだけに時間を使ってあと何曲か書きたい。それが自分にできる恩返しかな。音作りにはこだわるから衝突することもあるかもしれないけど、そこは健ちゃん、心が広いので。

浦井 だって、彼方にはちゃんと骨組みがあるから。

伊礼 健ちゃんはそうやって言葉を伝えてくれるし、受け入れてくれるよね。芝居でも、台詞より仕草や生きざまで伝えることにこだわってきたんだけど、ぼくは言葉より音や表現で伝えたいタイプ。2人での活動を通じて、自分がどういう人間でどういう表現の仕方をしたいのかが、はっきり分かりました。

浦井 手前味噌だけどこの自粛期間中に、われわれはより自分と向き合うという、役者、エンターテイナーとして最善の道をたどれた気がするね。

伊礼 本当にそうだと思う。この経験は、いずれ舞台に影響も与えるだろうしね。

浦井 そうしていきたいね。

聞き手・構成・文=道丸摩耶(産経新聞)
写真提供/ニッポン放送


浦井健治(Urai Kenji)

1981年東京都出身。2000年『仮面ライダークウガ』敵の首領役で俳優デビュー。
2004年ミュージカル『エリザベート』ルドルフ皇太子役に抜擢される。以降、ミュージカル、ストーレートプレイ、映像作品に出演。
近年の出演舞台に、新感線☆RS『メタルマクベス』disc3、『ゴースト』、『ヘンリー五世』、『デスノート THEMUSICAL』、『王家の紋章』、『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』、『天保十二年のシェイクスピア』など。2015年第22回読売演劇大賞最優秀男優賞を受賞するなど数々の演劇賞を受賞。
2018年からラジオ「浦井健治のDressing Room」(ニッポン放送)でパーソナリティを務めている。
2020年8月「メイビー、ハッピーエンディング」(シアタークリエ)、10月「リチャード二世」(新国立劇場) 、12月「オトコ・フタリ」(シアタークリエ)に出演が決まっている。

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伊礼彼方(Irei Kanata)

1982年神奈川県出身。中学生の頃より音楽活動を始め、2006年に舞台デビュー。2008年に『エリザベート』のルドルフ役に抜擢され、以降、多数のミュージカル、ストレートプレイ、朗読劇などで多彩な役柄を演じ、幅広く活動中。2019年には藤井隆プロデュースによるミュージカル・カバーアルバム『Elegante』をリリース。近年の主な出演作は『あわれ彼女は娼婦』、『王家の紋章』、『ビューティフル』、『ジャージー・ボーイズ』、『レ・ミゼラブル』など。今夏『ミス・サイゴン』エンジニア役で出演予定だったが公演中止に。「舞台芸術を未来に繋ぐ基金」で賛同人代表を務める。
2020年7-8月『Defiled-ディファイルド-』(DDD青山クロスシアター)、7月26日『The Voice』伊礼彼方×北川辰彦トーク&ライブ(俺のGrill&Bakery大手町)、9月『Billboard Live presents Premium Musical Selection』東京・横浜・大阪、11月ミュージカル『Beautiful』(帝国劇場)に出演予定。

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Information

ニッポン放送「浦井健治のDressing Room

毎週日曜日21:40〜22:00 放送中
俳優の浦井健治が音楽の話や舞台の話、趣味の話など、色々とお話ししちゃいます!

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