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【ゲネプロレポート】ミュージカル『モダン・ミリー』前向きな主人公に元気をもらえるニューヨーク恋物語

夢を抱いてニューヨークに出てきた女性が恋に仕事に頑張る姿をハッピーに描いたブロードウェイミュージカル『モダン・ミリー』が9月7日(水)、東京・有楽町のシアタークリエで開幕した(26日まで。その後、大阪・新歌舞伎座で上演予定)。開幕前日に行われたゲネプロの様子をレポートする。

1967年公開の映画を原作に公開から約30年を経てブロードウェイで舞台化され、2002年にトニー賞作品賞や主演女優賞などを受賞した本作。日本では2020年4月に上演予定だったが、新型コロナウイルスの影響で開幕直前に中止に。2年5か月を経て、主演の朝夏まなとら主要キャスト陣が再集結し、再び上演が決定した。

舞台は1920年代、摩天楼そびえたつニューヨーク。主人公のミリー(朝夏まなと)は、「新しい=モダンな女性」を目指して田舎を飛び出してきた。朝夏はオープニングナンバー「私のニューヨーク」とアンサンブル「とびきりモダンなミリー」を、瞳を輝かせながらアップテンポのリズムにのせて歌い上げ、前向きでパワフルな主人公のキャラクターを冒頭から鮮やかに提示する。

新天地へのワクワク感でいっぱいのミリーだが、いきなり財布をひったくられてしまう。だが、「もう失うものはない!」と逆に開き直る姿が魅力的だ。
通りすがりの青年、ジミー(中河内雅貴)を強引に引き留め、口論の末、女優の卵が集まるホテル・プリシラを紹介してもらう。だが、女主人、ミセス・ミアーズ(一路真輝)が営むそこにはなんだか怪しい気配があり…?

ホテル・プリシラで寝床と新たな友人たちを得たミリーが次に目指すのは就職。保険会社のタイピストの面接にも無事合格し、社長のグレイドン(廣瀬友祐)との玉の輿を狙う。
廣瀬は甘い歌声と長身の完璧な二枚目として魅せながらも、要所要所で力を抜いた演技で、客席に爆笑を巻き起こす。これまでのニヒルでダンディーなイメージから、新境地を切り開いた。
面接のシーンで歌われる、朝夏、廣瀬、上司のフラナリー役の入江加奈子とアンサンブルによるナンバー「Speed Test」は、3人それぞれの声色を楽しめる歌唱と大人数のタップダンスが壮観。ヒートアップ全開で盛り上げる序盤の見どころの一つだ。

仕事にまい進するミリーだが、ある日ジミーと再会。その日暮らしのジミーに最初はあきれるが、徐々に惹かれあうようになり…。
 ジミー役の中河内は、時に少年のような切なさをにじませながら、伸びやかな歌声で愛に揺れ動く役柄を瑞々しく演じる。特に、第二幕の朝夏とのデュエット「角を曲がって」は、若い2人の恋をさわやかに歌い上げる名シーンとなっていた。


(写真左)ミリ―/朝夏まなと、ジミー/中河内雅貴(写真提供/東宝演劇部)

社長・グレイドンとの玉の輿か、はたまた気は合うがお金がないジミーとの恋愛か。ミリーは迷いの中で、“本当に大切なもの”を見つける。
さらに、ミリーの親友、ドロシーが行方不明になったことから、物語は急展開。ドロシーを救うため、ある人物が繰り広げる爆笑必至の場面もお楽しみに。

実力派が揃うキャスト陣だが、宝塚宙組時代に朝夏とトップコンビだった実咲凜音が、ホテル・プリシラで出会いミリーの親友となるドロシー役を務めるのもうれしい。ミリーとの出会いのシーン「憧れの別世界」では、退団後初の再タッグで朝夏と息の合ったタップダンスを披露。生粋のお嬢様であるドロシーの無邪気なかわいらしさを、弾けた演技を交えつつ、思い切りよく表現していた。


(写真右)ミリー/朝夏まなと、ドロシー/実咲凜音(写真提供/東宝演劇部)

また、宿の女主人、ミセス・ミアーズ役の一路真輝の妖しく美しい、それでいてコミカルな怪演と、後半の鍵を握る重要人物で世界的歌手、マジー役の保坂知寿の説得力ある歌唱力と演技も見逃せない。

劇中にもあるように“夢というダイヤモンドが集まる場所”ニューヨークを舞台に、全編を通じて謳われる「どんな時も前向きに、自分らしく生きる」というメッセージ。小粋なセリフと楽曲、挟み込まれるタップダンスも楽しく、元気をもらえること間違いなし。豪華キャスト陣の圧倒的な歌唱力と演技、そしてダンスを堪能できる、パワフルでポジティブなミュージカルとなった。

取材・文/塩塚 夢(産経新聞社)

Stage Information

ミュージカル『モダン・ミリー』

脚本:リチャード・モリス ディック・スキャンラン
新音楽:ジニーン・テソーリ
新歌詞:ディック・スキャンラン
原作 / ユニバーサル・ピクチャーズ同名映画脚本:リチャード・モリス
演出 / 翻訳:小林 香
訳詞:竜 真知子

出演:朝夏まなと、中河内雅貴、実咲凜音、廣瀬友祐、保坂知寿、一路真輝 ほか

東京公演:2022年9月7日(水)〜9月26日(月) シアタークリエ
大阪公演:2022年10月1日(土)〜10月2日(日)新歌舞伎座

公演公式サイトはこちら

【Story】

 1920年代のニューヨーク。「大切なのはロマンスよりも理性!」をモットーに、モダンガールに憧れて田舎町から出てきたミリーは、下宿先で知り合ったドロシーや偶然の出会いを繰り返すジミーと仲良くなったり、玉の輿を狙って就職した会社の社長・グレイドンに猛アプローチをかけたり、世界的歌手マジーのパーティーに参加したりと新しい生活を楽しむ。

 そんな時、ドロシーが行方不明に!下宿先の女主人ミセス・ミアーズが、下宿にきた身寄りのない女性たちを誘拐していると知ったミリーたちは、ドロシー救出作戦を決行!果たしてミリーたちの運命は!? そして、ミリーが見つけた本当に大切なものとは――。

<公式ホームページより>

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