舞台『千と千尋の神隠し』のロンドン公演が橋本環奈さん、上白石萌音さんのWキャスト主演で、5月7日に開幕しました。日本人キャストが日本語で上演する海外公演としては演劇史上最大規模で、東宝主催公演としても史上初の試みだそう。ブロードウェイとならぶ劇場街であるウェストエンドで最大級となる約2,300席の客席数を誇るロンドン・コロシアムを舞台に、4か月にわたり135公演の上演が予定されています。
同作は2022年初演。神々が集う異世界の湯屋に迷い込んだ少女・千尋の成長を描く宮崎駿監督による同名映画を原作に、『ナイツ・テイル-騎士物語-』や『ダディ・ロング・レッグズ』など演劇史に残る名作を生み出してきたジョン・ケアードが翻案・演出を手掛けました。映画の世界から飛び出したようなキャラクターたちと、熱い息遣いまでが感じられるライブならではの醍醐味が相まった舞台は、大衆演劇の優れた業績を表彰する『第47回菊田一夫演劇賞』で上演関係者一同が菊田一夫演劇大賞を受賞するなど、高い評価を得ました。今回の再演では、6月までの国内ツアーと並行してカンパニーが渡英、プレビュー上演を経てこの度の開幕を迎えました。
東宝演劇の海外上演は、これまでも多くありましたが、主に現地のプロダクションへ上演権をライセンスする、現地キャスト・現地語上演の形で行われてきました。1972年にロンドン、1973年にロサンゼルスでミュージカル『風と共に去りぬ』(作:菊田一夫、原題:スカーレット)が上演され、その後も『ローマの休日』『マリー・アントワネット』『レディ・ベス』『四月は君の嘘』が韓国などの現地プロダクションで上演されています。今回のように、海外で日本上演時のプロダクションがそのまま日本語で長期間上演されることは、東宝としても初挑戦、日本の演劇界としてもほとんど類を見ない試みとなります。
公演では、インパクトあるキャラクター(パペット)が登場するたびに歓声や笑いが。また、神々が油屋を訪れる場面では、グランドサークル(客席内)に設置された提灯が点灯し、場内全体が不思議な街となり、ロンドン公演ならではの光景に。カーテンコールではスタンディングオベーション!拍手と指笛、歓声が鳴り響き、熱気に包まれた開幕となりました。
橋本環奈さん(千尋役)コメント
—―日本人俳優として、ロンドン・ウェストエンドで舞台のセンターに立ち、スタンディングオベーションを受けた気持ちはいかがですか
今日が初日なので、初日の反応であったりとか、どういうふうな感じになるんだろうという、ワクワクが大きいんですけどプレビューの段階でも日本人のお客様と全然違って、いろんなところで笑いが起こったり、ロンドンの方たちのジブリ好(ず)きな気持ちであったり、お酒を飲みながら観ていたり、ポップコーン食べたり、鑑賞スタイルがすごく気楽な部分が、本当に素敵だなと思っています。土曜日とかは小さなお子さんもいらっしゃいました。そういう方々が見てくださっていることも嬉しいですし、カーテンコールのあの熱狂を感じた時、本当にすごいなと思いました。
もちろん日本人の方々の、声には出さないけど、すごく楽しんでくれてる気持ちって、舞台に立っていてすごく伝わるんですね。(ロンドンでも)あれだけあたたかい歓声で迎えられて本当に嬉しいなと思いました。
ジミー役として初出演させて頂きます。台本を読み、CDを聴き、ジュリー・アンドリュース主演の原作映画を観ましたが…なんて楽しい作品!!!ミュージカルの素晴らしさが全てがここに!劇場でお待ちしております!
――舞台『千と千尋の神隠し』のどんなところがロンドンで受け入れられたと思うか。
作品の強さはもちろんですが、ジブリがこれだけ世界に愛されている理由は、本当に様々あると思うんですよね。でもその中の一つを挙げるとしたら雑巾がけのシーンとかも日本ならではだな、という話をしているんですけど、ごめんなさい、と千尋がすごく謝っているような日本人らしいところを、ロンドンでも、日本でやっていた公演から本当に変えていなくて
日本の良さやリアルを伝えられる部分はこの演劇ならではだと思いますし、ロンドンの方々から観ても楽しんで受け入れて頂けているのではないかなと思っています。
上白石萌音さん(千尋役)コメント
—―日本人俳優として、ロンドン・ウェストエンドで舞台のセンターに立ち、スタンディングオベーションを受けた気持ちはいかがですか
浴びたことのない熱気を浴びて、しばらくボーっとしてしまうくらいびっくりしました。お客様達がとても喜んでくださったのが伝わって来て嬉しかったです。 カーテンコールの最後に千尋がオンマイクで「ありがとうございました」と言うのですが、その瞬間に、私は日本人で、私たちは日本から来て日本語で作品を届けたんだなという実感がせりあがって来てグッときました。毎回そこで感じるものがあります。
――舞台『千と千尋の神隠し』のどんなところがロンドンで受け入れられたと思いますか?
日本人がすごく日本人をやっているというところが大きいんじゃないかと思います。日本らしさを前面に出したシーンや動きがしっかり受け入れられているのを感じるので、これは私たちだから出来ることなのかな、と思っています。
セリフにもたくさん反応があります。母国語ではない言葉で作品を観るのはお客様もエネルギーを使うことだと思いますが、ちゃんと言葉が伝わっているんだな、というのを感じて凄く嬉しいです。この作品には言葉のないシーンも沢山ありますが、そこでは日本で感じるのと同じような集中力や言葉のいらない一体感が共通してあって、「ああ一緒に作っているな」という感じがします。
Stage Information
舞台『千と千尋の神隠し』ロンドン公演
会場:ロンドン・コロシアム
期間:2024年4月30日(火)プレビューオープン、5月7日(火)初日~8月24日(土)千穐楽
原作:宮﨑 駿
翻案・演出:ジョン・ケアード
共同翻案:今井麻緒子
オリジナルスコア:久石 譲
製作:東宝
共同製作:PWプロダクションズ
製作協力:スタジオジブリ
出演:千尋 橋本環奈 上白石萌音 川栄李奈 福地桃子
ハク 醍醐虎汰朗 三浦宏規 増子敦貴(GENIC)
カオナシ 山野 光
リン/千尋の母 妃海 風 華 優希 実咲凜音
釜爺 田口トモロヲ 橋本さとし 宮崎吐夢
湯婆婆/銭婆 夏木マリ 朴 璐美 春風ひとみ
兄役/千尋の父 大澄賢也
父役 吉村 直 伊藤俊彦
青蛙 おばたのお兄さん 元木聖也
頭(かしら) 五十嵐ゆうや
坊 武者真由
Ensemble
彩橋みゆ 新井海人 桜雪陽子 大重わたる 折井理子 今野晶乃 澤村 亮 末冨真由
髙橋莉瑚 竹廣隼人 知念紗耶 手代木花野 中上綾女 西宮ゆうき 花島 令 藤岡義樹 萬谷法英
水野栄治 Miffy 森田茉希 保野優奈 YAMATO
Understudies
千尋 森 莉那 ハク 新井海人 カオナシ 澤村 亮 リン/千尋の母 髙橋莉瑚
釜爺 萬谷法英 湯婆婆/銭婆婆 桜雪陽子
兄役/千尋の父 水野栄治 青蛙 藤岡義樹/広瀬斗史輝