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INTERVIEW

【イヴ・サンローラン展】潤花さんインタビュー「感動し過ぎて、言葉が止まらない!」

東京・六本木の国立新美術館で開催中の「イヴ・サンローラン展 時を超えるスタイル」(産経新聞社など主催、12月11日まで)の内覧会を訪れた元宝塚歌劇団宙組トップ娘役の潤花さん。大人の女性の魅力を引き立てるサンローランの黒のパンツスーツ姿で会場を回りました。

《宝塚在団中から「趣味はおしゃれ」と公言し、尖がったファッションも品よく着こなしていた潤花さん。今回は、憧れのデザイナーの全貌をたどる展覧会とあって、会場に足を踏み入れた途端、何度も歓声をあげた》

今回の内覧会のお仕事、すごく楽しみにしていたんです。事前に展覧会の図録を見せて頂き、個人的にも調べ、楽しみ倍増(笑)。今日は作品を直接見られる、とドキドキしながら来ました。実際に展示を拝見して、お洋服、舞台衣装、アクセサリー…それぞれに物語を感じました。

会場では、イヴ・サンローランさんのお言葉も紹介されていましたが、その一つ一つに、人生観や考え方を大きく広げられ、新しい世界をみせてもらえたような感覚になりました。時代を超えて今もなお、こうして、彼の想いや作品が受け継がれている…本当に尊敬すべき、すばらしいことだと思います。イヴ・サンローランさんが作品に込めた愛や想い、意図をダイレクトに表現することで、それらをとても近しいものとして感じさせてくれる演出でした。

《デザインの羅列にとどまらず、その服に込められたイヴ・サンローランの思想や社会的背景、世界に与えたインパクトも伝わる展示内容だ》

イヴ・サンローランさんは、日常生活からインスピレーションを受け、お洋服を作ったそうです。「ファッションは、人生そのものだ」とおっしゃったと聞いています。ですから生活の中で見た絵画や、お母さまから贈られたモロッコの絵本から刺激を受け、洋服にデザインされた。


カクテル・ドレス―ピート・モンドリアンへのオマージュ
1965年秋冬オートクチュールコレクション 
© Yves Saint Laurent © Alexandre Guirkinger

今回、ファッションとアートを融合させ、世界中に衝撃を与えた有名なモンドリアン・ルックのミニドレスが展示されていました。アイディアの源となったピート・モンドリアン(1872-1944年)の作品も調べましたが、本当に絵からお洋服が飛び出したよう。たくさんの人を魅了する絵画からインスピレーションを得たお洋服が、人が身にまとうことで動く絵画となり、さらに多くの人を感動させる。なんと美しい芸術の連鎖でしょうか。イヴ・サンローランさんは、すべてをつなげることで美を生み出す。だからこそ、彼の作品は芸術にまで昇華されているのだと思いました。


イヴニング・アンサンブル
1984年秋冬オートクチュールコレクション 
© Yves Saint Laurent © Nicolas Mathéus

パンツスタイルに心を奪われました。背中のYSLのロゴにも、ときめきが止まらないです!
私自身、普段はスカートより、パンツを愛用しています。今は女性も、パンツやトレンチコート、ピーコートを着ることが普通ですよね。でも60年前、イヴ・サンローランさんがそれらを「女性向けに」デザインした時代は、女性がパンツスタイルで有名レストランに行くと、入店を断られたこともあった、と聞きます。それで女性が着られるパンツスーツを作り、男女平等を目指した―というエピソードが、すごく素敵だと思います。

ほかにも黒人モデルが、『黒人だからヴォーグ(ファッション誌)の表紙になれない』とこぼしたら、イヴ・サンローラんさんが『僕に任せて』って、その方を表紙にされたというお話も聞きました。それを実現するなんて、すばらし過ぎませんか?

私自身も宝塚時代、自由や平等がテーマの作品に多く出演していて、勉強することも多かったんです。人間、誰しも自由であってほしい、という思いがずっとありました。だからこそ、イヴ・サンローランさんが女性支援、ジェンダーフリー、多様性、自由平等などを求め、社会を変えていこうと実際に活動されていたことにも惹かれました。

ただお洋服が素敵で輝いているから世界的に愛されているわけではない。そこにはイヴ・サンローランさんが込めた確かな想いがあり、そしてそれを実現される作り手の方々がいらっしゃったからこそ、作品を目にするだけでも、力が湧いてきて、自信に満ち溢れる、そんな気持ちになるのだと感じました。

同展・内覧会(9月19日実施)にて。
衣装協力:Saint Laurent by Anthony Vaccarello

今日、私は彼の信念を受け継いだ「サンローラン」のお洋服を身にまとい過ごしましたが、着た瞬間、自信が湧き上がってきました。このお仕事をしていると、不安が募ったり、自分自身を受け入れることの難しさをすごく感じています。でも不思議とそれがスッと消えていく、初めての感覚でした。

イヴ・サンローランさんの服には、物語がある。男女平等や自由を求め、社会を動かすデザインですね。女性に、自己を受け入れる力を与え、自信をもたらす。だから1着1着に愛があるんですね。

実際に自分の想いを行動にうつしている方は、多くの人に勇気や希望を与えてくれます。私自身もそうなれたらと常に思っていますが、今回改めて、イヴ・サンローランさんの活動や想いに視野や考え方を広げてもらいました。彼の思いや考えをもっともっと深く知りたいという気持ちになりました。

この衣装に決まる過程も、すごく楽しかったんです。ご担当の方が、シースルー(透ける素材)のブラウスとジャケット、細身のスキニーのパンツをご用意してくださったんです。イヴ・サンローランさんのブランドで、エディ・スリマンさんが考案したスキニーを履けたのも喜びでした。

イヴ・サンローランさんのシースルーのブラウスが出たとき、モデルは皆、下着を着けなかった。でも品は失わず魅力的だったというエピソードも、すごく素敵だなと思いました。デザインの意図そのままにこのお洋服を着たいという思いになり、これまでの自分を考えたら少し大胆な挑戦ですが(笑)、下着を付けずこのお洋服を着てみました。

私自身、ファッションが大好きです。お洋服って自分を表現するもの。「サンローラン」の服を身に付けると、自信が満ちあふれる気がします。感性も高まって今日、色々なものを吸収できたと思います。

「サンローラン」のブランドイメージとしては、黒が基調でシンプルかつ大胆。全ての人の目を惹き魅了する、誰もが憧れを持つ…そんなイメージでした。

私自身、ずっとパンツスタイルやかっこいい女性のスタイルに憧れがありました。なぜそういったスタイルに憧れていたのか。ただ自分の好みだと思っていましたが、今回改めてわかりました。自信や勇気が湧いてくる、そんなスタイルなんだと。 まさにイヴ・サンローランさんの信念が生きているお洋服。ただかっこいいのではなく、自信を、力を与えてくれる…そんなお洋服だなと感じています。

今回、美しいお洋服の背景にあるサンローランさんの想い、女性支援や環境問題、多様性やジェンダーフリーのための活動を改めて知って、余計ファンになりました。だからこそ世界的に愛されているんですね。

取材・文/飯塚友子(産経新聞社)
撮影/三尾郁恵(産経新聞社)
ヘア&メイク/池上 豪
衣装協力/Saint Laurent by Anthony Vaccarello


潤 花 (Jun Hana)
1997年生まれ。北海道出身。2014年宝塚音楽学校入学後、2016年宝塚歌劇星組公演『こうもり/THE ENTERTAINER!』で初舞台。その後、雪組に配属。チャーミングな雰囲気と華やかなダンスで注目を集め、2017年、望海風斗・真彩希帆トップコンビ大劇場お披露目となる『ひかりふる路』で新人公演初ヒロイン。その後も3度に渡って新人公演ヒロインを務める。
2021年2月22日付で宙組トップ娘役に就任。『シャーロック・ホームズ/Délicieux!』で新トップコンビ大劇場お披露目。2023年6月11日、「カジノ・ロワイヤル」東京公演千秋楽をもって、宝塚歌劇団を退団。

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Information

「イヴ・サンローラン展 時を超えるスタイル」

会 期:2023年9月20日(水)~12月11日(月)※毎週火曜休館
会 場:国立新美術館 企画展示室1E
主 催:国立新美術館、産経新聞社、TBS、ソニー・ミュージックエンタテインメント

◉鑑賞券の購入は公式オンラインチケット

展覧会HPはこちら

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