帝国劇場で来年2月に開幕するミュージカル『ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド』。世界的大人気コミックの世界初の舞台化として、大きな注目を集めています。
同作で主人公ジョナサン・ジョースター(通称ジョジョ)をWキャストで演じる松下優也さんと有澤樟太郎さんが作品の魅力や互いへの印象について語りました。
――シリーズ累計発行部数1億2000万部を誇る国民的コミック『ジョジョの奇妙な冒険』(原作:荒木飛呂彦)の満を持してのミュージカル化です。
松下優也さん(以下松下) やる気しかないです。ぼくはなんでも前例のないものが大好きなので。
有澤樟太郎さん(以下有澤) ファン待望の舞台化。知らない人はいないほどの名作です。やる気はもちろんのこと、楽しみな気持ちも大きいです。
――ジョジョというキャラクターに関しての思いは。また、ご自身と似ているところはありますか?
松下 今回ミュージカル化されるのは、『第1部 ファントムブラッド』。80年代からずっと続いている物語の始祖です。本当にジョジョがかわいくてかわいくて。かわいすぎてかっこいい。自分と似ているところは…正義感にあふれていてピュアでマジメ。似てないところを探すほうが難しいですね(笑)
有澤 実は、ジョジョを読み始めたきっかけは、「原作に登場する人物たちの独特のポージングが似合いそう」と言われたところなんです。20歳ぐらいのときだったかな。
セリフも衣裳も、すべてがキャッチーで大好きな作品になりました。ジョジョは正義感も、人間らしさも、ぜんぶが突き抜けた存在。今回の舞台では、その人間らしさの部分を大事にしていきたいと思っています。似ているところは…
松下 やっぱり、正義感にあふれていてピュアでマジメなところじゃない(笑)?
有澤 では、正義感があってピュアでマジメなところで…(笑)
――息のあった掛け合いをみせるおふたりですが、意外にもほぼ初対面とか
松下 今回の対談の前に、一度だけ挨拶をしたことはあるんです。出身が同じ兵庫県ということで、とても話しやすいですね。前からデカい人だなと思っていたけれど、実際に会ってもデカい(笑)。そして、爽やかですよね。僕が有澤くんと同じ歳の頃は、こんなに爽やかじゃなかった気がする。もっと人を疑っていたような…(笑)
有澤 松下さんは、ずっと前から憧れの同郷の先輩でした。とにかくカリスマ性のある、センターが似合う方です。
――おふたりでWキャストを務めます
松下 Wキャストは、すごく心強い。1人だけで演じるより、1.5倍はいいものができると思っています。自分だけでは気づけなかったものに気づかせてもらったり。同じ役柄でも、違う人間が演じれば絶対に同じにはならない。そのような化学反応を、舞台をご覧になる方にも楽しんでいただきたいですね。
有澤 僕はひとりだと、ついのめりこんでしまって周りが見えなくなってしまいがち。Wキャストということで、客観的に見られるのではと思っています。特に松下さんは同郷の先輩ということで、パーソナル的にも分かち合える部分がある。すごく頼りにしています
――伝統ある帝劇での座長公演です
松下 今から、楽屋の差し入れのことで悩んでいます(笑)。毎日差し入れたほうがいいのかなとか…。
有澤 僕は楽屋がどんななんだろうって(笑)。座長の楽屋ってすごく神聖な場所というイメージあります。
松下 そんな変わらんやろ(笑)。楽屋に入り浸っていい?
有澤 ぜんぜんウェルカムです(笑)!
松下 お客さんとして何度も足を運んだ帝劇ですが、今度はステージの上に立つ。そこから見える景色はどんななんだろうとワクワクしています。
有澤 特別な劇場ですよね。改修前の舞台に主役として立てるというのは、本当に光栄なこと。親に見に来てほしいです(笑)
松下 主演の役割は、作品を引っ張っていくということは大前提として、みんなで切磋琢磨して、一緒に舞台を創り上げていきたい。疲れてはくると思うけど、楽しむという余裕は持っていたいですね。
――舞台化ならではの魅力は?
松下 演出を長谷川寧さんが手掛けられるということで、アクションシーンも単なる肉弾戦ではなくなると思います。波紋の表現の仕方だったり。台本の準備稿を読みましたが、あの壮大な物語があますところなく詰まっているんです。一方で、『落ちながら戦う』とト書きに書かれていたり、僕たち自身もどう演出するんだろう?という未知の部分も。すごく楽しみです。
有澤 火を使う場面もありますしね。クリエイターの方々もみなさんすばらしい方ばかり。異種格闘技戦のような面白さがあります。
――既に長谷川さんのワークショップに参加されたそうですが
有澤 何度か参加しました。身体表現はもちろんのこと、脳を使うワークショップでした。2時間ぐらいでも、足がパンパンになりました(笑)
松下 寧さんは、すごいアート脳なんです。動きに対するアプローチの入り口が普通の人間とは違うので、とても興味深い。お会いするまでは近寄りがたいイメージでしたが、実際は気さくで、ぼくらを受け入れてくれる器がひろい方。みんなで稽古場で創り上げる感じがする。自分はダンスを20年以上やっていますが、初めてのレッスンでした。
――改めて意気込みをお聞かせください
松下 原作はファンタジーですが、貧困の問題ですとか、今の社会にも通じるテーマ性がある。そういったテーマ性を感じていただけるように頑張りたい。千穐楽が終わった瞬間に倒れるぐらいの気持ちで走り抜けたいです。
有澤 帝劇という特別な空間で、周りの方々に助けていただきながら、ジョジョの内面的なところを出していければと思います。
取材・文/塩塚 夢(産経新聞社)
撮影/萩原 悠久人(産経新聞社)
ヘアメイク/松下:ASUKA(a-pro.)、有澤:田中紫央
スタイリスト/松下:YAMAMOTO TAKASHI(style³)、有澤:山田安莉沙
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松下優也(YUYA MATSUSHITA)
1990年5月24日生まれ、兵庫県出身。
2008年ソロアーティストとしてデビュー。2009年より俳優活動を開始。主な出演作は舞台:新感線☆RS「メタルマクベス disc1」「パンドラの鐘」「ジャック・ザ・リッパー」「るろうに剣心 京都編」「太平洋序曲」、ドラマ:「べっぴんさん」「アシガール」(NHK)、「インハンド」(TBS)など。2024年2月に帝国劇場で上演するミュージカル『ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド』で主演(ジョナサン・ジョースター)を務める。
音楽活動は、2020年より“YOUYA”名義での活動を開始。スタートからこれまでほとんどの作品が海外のトップ製作陣との共作で生み出されてきた。そして初のフルアルバムとなる「20230524」を自身の誕生日にリリースした。
松下優也写真集「ショートバケーション」が11月22日(水)発売された。
有澤樟太郎(SHOTARO ARISAWA)
1995年9月28日生まれ。兵庫県出身。
2015年より俳優として活動開始。翌年に出演したミュージカル『刀剣乱舞』にて和泉守兼定役を演じ人気を博し、以後、舞台、海外ミュージカル作品など数多くの話題作品に出演している。
主な出演作に、ハイパープロジェクション演劇『ハイキュー‼︎』シリーズ、ミュージカル『刀剣乱舞』シリーズ、二人芝居『息子の証明』、ミュージカル『グリース』、『17 AGAIN』、『ジャージー・ボーイズ』、舞台『キングダム』、など。2023年10月、シアタークリエで初のミュージカルとして上演した『のだめカンタービレ』で峰龍太郎を演じ更なる注目を集めた。2024年2月に帝国劇場で上演するミュージカル『ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド』で主演(ジョナサン・ジョースター)を務める。
Stage Information
ミュージカル『ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド』
原作:荒木飛呂彦 「ジョジョの奇妙な冒険」(集英社ジャンプ コミックス刊)
演出・振付:長谷川寧
音楽:ドーヴ・アチア
脚本・歌詞:元吉庸泰
出演:松下優也/有澤樟太郎(Wキャスト)
宮野真守
清水美依紗
YOUNG DAIS
東山義久/廣瀬友祐(Wキャスト)
河内大和
島田惇平
コング桑田
別所哲也
ほか
【東京公演】帝国劇場
2024年2月6日(火)~28日(水)
【北海道公演】札幌文化芸術劇場 hitaru
2024年3月26日(火)~30日(土)
【兵庫公演】兵庫県立芸術文化センターKOBELCO 大ホール
2024年4月9日(火)~14日(日)
「東京公演」マチ★ソワ特別価格販売
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