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【カボジャ!韓国雑感コラム】Part3:キム・ヨンミンさん記者懇談会へ!

韓国演劇、ミュージカルに興味を抱いて早20年!?の演劇ライター上野紀子が私感たっぷりの情報コラムを発信。Part3はソウル・大学路で9月24日から始まる公演観光フェスティバル『ウェルカム大学路』、その広報イベントのために来日した俳優キム・ヨンミンさんの記者懇談会の模様をお伝えします。

“耳野郎”がやって来た!

『ウェルカム大学路』は、ソウルの演劇街・大学路で毎年秋に賑やかに開催されている、韓国観光公社主催の公演観光フェスティバルです。2017年からスタートして今年で6回目、160もの劇場が集まる“アジアのブロードウェイ”、大学路にやって来る国内・海外からの舞台芸術ファンに向けて、韓国の公演文化を楽しんでもらうために企画されたお祭りなんですね。その広報イベント、“東京で韓国ミュージカルを楽しもう!”が8月27日に開催されまして、トークショーのゲストとして登場したのが俳優のキム・ヨンミンさんでした。ヨンミンさんはイベントの前日に来日し、すぐさま記者懇談会の会場に駆けつけてくださいました。

キム・ヨンミンさんといえばドラマ『私のおじさん』(18年)、『夫婦の世界』(20年)や映画『春夏秋冬そして春』(03年)などの出演作品が思い浮かびますが、何と言っても『愛の不時着』(19年)の“耳野郎”(役名チョン・マンボク)を演じたことで一躍人気者になりましたよね~。筆者としては僭越ながら、“気のいい弟”の成功した姿に胸アツでございます。というのもその昔、某演劇情報誌で大学路を特集した際に、ヨンミンさんにインタビューしているのです。その最初の出会いが2004年…って、もう20年も前のことではないですかっ(めまいが…)。


懐かしいし、ヨンミンさん若い! 今はなき「シアターガイド」2004年8月号です。

それ以来、ヨンミンさんが出演する大学路の舞台はなるべく観るようになりまして(『青春礼賛』、『エクウス』、『ハムレット』、『Mバタフライ』等々。レアなところだとペ・ドゥナが制作・主演した『サンデーソウル』(04年)にもヨンミンさん出てました)。そう、彼はもともと大学路で実力を認められた演劇俳優なのです。ああっ、また前置きが長くなりました。では記者懇談会レポートを、いざ。

司会進行は筆者の“韓国の妹”キム・テイ。テイちゃんもソウルからオソオセヨ~(いらっしゃい~)。ちなみにこの記者懇談会の前日には来年1月に上演されるミュージカル『キング・アーサー』の制作発表がありまして、テイちゃんはそこでも演出のオ・ルピナさんの通訳として活躍。そんな働き者のテイちゃんに促されて、スーツ姿のヨンミンさんが颯爽と会場に入って来ました。

ヨンミン(以下ヨン)「アンニョンハセヨ~。韓国から来た俳優、キム・ヨンミンです。10年ぶりに日本に来られて嬉しいです。今、ホテルに寄る時間もなく、空港からそのままここに来ました~」

取材陣から笑いを誘ってつかみはバッチリ。ニコニコ笑顔、そして“イケボ”を響かせながら流れるように語り出しました。ほがらかテイちゃん(彼女もとってもユニーク、和んだ空気を作る天才です♪)との質疑応答の一部を抜粋してご紹介~。

ヨン「僕は大学路で生まれたと言っても過言ではないです。ま、実際に生まれたわけじゃないけど~。(一同笑)デビューが大学路でした。今回の「ウェルカム大学路」、その大学路の中心にマロニエ公園があって、その前にアルコ芸術劇場という劇場があります。そこでデビューしたので、今回のイベントに参加出来ることはとても光栄です」

テイ「ヨンミンさんにとって大学路とはどんな意味を持つ街ですか?」

ヨン「そうですね。大学路は僕にとって愛する場所でもあり、憎い場所でもあるかな(笑)。一生懸命に芝居をして、学んだこと、悟ったことも多く、俳優人生において成長させてくれた場所なので、それだけに愛憎が深いんですよね。その場所に皆さんにいらしていただけることが嬉しいです」

会いに行かねば、大学路に!

テイ「ヨンミンさん、10月30日に大学路で、日本のファンの皆さんと初ファンミーティングをやるそうですね!」

ヨン「はい~! 僕もすごく期待しています。単にファンミーティングだけじゃなく、皆さんと一緒に舞台を観て楽しもうと思っています」

テイ「大学路でお勧めしたい場所は?」

ヨン「成均館大学という大学へ行く道があって、その道にまた小さな路地がたくさんあって、いろんな劇場が隠れるようにして存在しています。そこで劇場を探す楽しみもあるし、素敵なカフェも、美味しいレストランもあるので、そういった文化を楽しんでいただけたら~」

テイ「一ヶ所に決められないみたいですね(笑)」

ヨン「はい(笑)。あ、また一ヶ所、思い出しました! 坂道を上ると駱山公園という場所があって、そこからソウルの夜景を楽しむことが出来ます」

テイ「『愛の不時着』で、思い出のあるロケ地、日本のファンにオススメしたいロケ地はありますか? ロケ地でのグルメ情報もあれば……」

と、この質問を聞いたとたん、ヨンミンさんはムムッ…といった苦い表情に。

テイ「な、なんか、表情が暗くなっているんですけど~! ロケの苦労を思い出したのかも(笑)」

ヨン「ソウルからすごく遠いところ、確かヘナム(全羅南道海南郡)に北朝鮮地域のセットを作って撮影したんですけど、撮影が終わった後にそのセットは撤去されたと聞きました。残念ですよね~、もしまだ残っていたら、皆さんが訪れたら海も見られたのに。グルメは……、北朝鮮ではあまりにも苦労が多くて全然いいものを食べられなかったし、韓国に来た時もお金がないのでコンビニでカップラーメンを食べたくらいで…。なので、コンビニでカップラーメンを食べることをオススメします(笑)」

……とヨンミンさんが話しているあいだ、韓国からいらした「ウェルカム大学路」の関係者の皆さんが爆笑されていました。

テイ「好きな日本の映画、ドラマがあれば教えてください」

ヨン「映画『誰も知らない』を観て衝撃を受けて、その頃から是枝裕和監督のファンです。映画『ベイビー・ブローカー』で韓国にいらした時に、試写会でお目にかかったんです。挨拶をしたら、とても喜んでくださいました。なので、皆さんが大学路に来てくださったら、僕も喜んでお迎えしますよ~」

テイちゃんも思わず、「本当に、一生懸命に広報してくださっていますね~!」と感服しきり。ヨンミンさん、ユーモアをまじえたスマートな語り口に、“いいひと感”が滲み出ています。

テイ「では、日本のファンの皆さんに、愛のメッセージを! ただのメッセージじゃないですよ、愛のメッセージをお願いします!!」(念押しが可笑しい…)

ヨン「予想していなかった質問です~(笑)。海外のファンの皆さんとお会いして、一緒に公演を見る、そして大学路を紹介することは僕にとって初経験であり、とても意味深いことです。『愛の不時着』を愛してくださる方がたくさんいらっしゃること、本当に感謝しています。韓国の文化が世界的に、多くの皆さんに愛されていること、そこに自分も少しでも関われていることに自負心を持っています。ファンの皆さんに会えることは本当にワクワクするし、楽しみです。もっと素敵な姿を見せられるように頑張ります。最後に、一言で言いますよ! 愛しています」

終始、笑顔満面のヨンミンさん。この記者懇談会の翌日のイベントも、とっても素敵な微笑み、そしてとっても素敵な……!ってこの続きは次のコラムにて。次回は迫力のミュージカル・ガラ公演、そしてヨンミンさん登場のトークショーなど大盛り上がりのイベントの模様をお伝えしたいと思います。お楽しみに~♪

取材・文 上野紀子

「ウェルカム大学路2022」

開催期間:2022年9月24日(土)〜10月30日(日)
エリア:ソウル鐘路区(チョンノグ)の大学路一帯で開催

公式サイト


上野紀子
演劇ライター。桐朋学園芸術短大演劇科、劇団文学座附属演劇研究所卒。演劇誌、演劇ウェブサイト、公演プログラム等で執筆。平成20年度文化庁新進芸術家海外研修制度で一年間ソウルに滞在。翻訳戯曲に『狂った劇』(チェ・チオン作)、『椅子は悪くない』(ソン・ウッキョン作)。趣味は大人から始めてまったく上達しないフィギュアスケート。

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