【＃31】音を全身で楽しむ「I Got Rhythm」（『クレイジー・フォー・ユー』）｜東啓介と聴活♪

誕生日（7月14日）に初めて開催するバースデーライブ「HIGASHI KEISUKE BIRTHDAY LIVE－音－」の準備を進めています。これだけの曲数をひとりで歌うのは久しぶりなので準備は大変ですが、とても楽しみです。豪華なゲストにも来ていただきますし、ぜひ皆さんも一緒に楽しんでください！

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今回の「聴活」は、『クレイジー・フォー・ユー』です。ブロードウェイで大ヒットしたミュージカルで、日本では劇団四季が今、KAAT神奈川芸術劇場で上演しています。僕は作品名は知っていましたが、コメディミュージカルということしか知らなくて、でも、初見の感想を大事にしたかったので、あえて調べずに見に行きました。

撮影：下坂敦俊

その結果は…すごく良かったです！！！　すごく心が温かくなる作品でした。ガーシュウィンの音楽ももちろん良いのですが、ダンスも見ごたえがありました。クラシックバレエの要素もあれば、チャップリンの無声映画のようなコミカルな体の使い方をする場面もあれば、タップを踏むシーンもあって…。

1930年代が舞台なのですが、米ネバダ州の当時の若者感がすごく分かりやすく描かれていて、古くさい感じは全然しませんでした。見ているお客さんもすごく笑っていて、僕もすごく笑いました。やっぱりコメディは楽しいですよね。

中でも1曲を選ぶなら、やはり「I Got Rhythm」です。耳に残るキャッチーなメロディーは、皆さんも一度はどこかで聞いたことがあるんじゃないかと思います。劇中で何度も出てくるし、ラストの「他にはいらない！」の歌詞は、終わった後もずっと回ります。歌もダンスも、音を全身で楽しみ、それを皆で共有している感じがしました。

一目ぼれした女性、ポリーの気を引こうと、ブロードウェイの大物プロデューサー、ザングラーに扮した主人公のボビー・チャイルドが、田舎の人たちが誰も踊れない中、ショーを作ろうと、コントラバスの演奏から歌と踊りが始まっていく「Slap That Bass」もすごく素敵でしたし、とにかく歌とダンスがセットですばらしいナンバーばかり。この曲を歌いたい、というより、今回はこんな風に踊れたらいいな、という印象が大きかったです。

撮影：荒井 健

コミカルな動きも多くて、それがお客さんにすごく受けていて、言葉じゃなく体で笑いが取れるなんて、本当にすごいです。役者さんは大変でしょうけど、得られるものも大きいだろうなって。特に、ボビー役（僕が見たときは斎藤洋一郎さんでした）の動きは必見ですし、お芝居もコミカルでかわいらしくて、声色を変えて、ドリフのコントのような場面もあって。僕が持っていないものをすべて持っている気がして、格好良かったです。

やったことのないタップダンスも、いつかやってみたいと思っちゃいました。そもそもタップシューズすら持ってないし、音が全然出せなくて、練習で足がしんどくなりそうですが…（笑）。

僕が4～5月にやっていた舞台『二次会のひとたち』もコメディだったので、こういう風にやってもおもしろかったかな、と考えちゃいました。もちろんミュージカルと普通の演劇作品では違うし、日本のものと海外のものでもまた違うと思いますが、こういう間がおもしろいのかとか、足をこれだけ上げたら見た目にも楽しいとか、僕の役は体を大きく動かしてちょっと抜けている感じを出すタイプだったので、もっと早く見ていたら参考にできたのに、ってちょっと悔しくなりました（笑）。

休憩を入れて3時間の舞台ですが、本当にあっという間でした。最近は、複雑な背景や難しいテーマを盛り込んだミュージカル作品も多いですが、『クレイジー・フォー・ユー』は頭を使いすぎることもなく、ただただ笑って、ハッピーな気持ちになれる。こんな楽しい作品を今、初めて知ってすみません、と申し訳ない気持ちになりました。でも、今、知れて良かったということですよね！　知らないものを知るのはおもしろいし、「聴活」があるからこそ、こういう作品があったんだと知れる。まだ見たことがない人はぜひ見てもらいたいし、知っている人ももう一度見に行ってほしいです。帰りは中華街でお腹も満たせますよ！（笑）

聞き手／道丸摩耶（産経新聞）

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