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COLUMN

【#17】大人の心に響く「鳥に餌を/Feed the Birds」(メリー・ポピンズ)|東啓介と聴活♪

1月から放送された連続ドラマ「ファイトソング」(TBS系)を見てくださった方、ありがとうございました。ここのところ映像のお仕事が続いていますが、10月からの『ジャージー・ボーイズ』は、久しぶりの舞台となります。映像で培ったものを生かしてがんばりたいと今から気合が入っています。

東京・渋谷のシアターオーブで5月8日まで上演されていたミュージカル『メリー・ポピンズ』を見てきました。2018年の日本初演は見られなかったので、今回が初めての観劇です。「お砂糖ひとさじで」「何もかもパーフェクト」「チム・チム・チェリー」「最高のホリディ」など、この作品の楽曲は心が躍るポップでディズニーらしい名曲ばかり。「スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス」のカラフルなダンスシーン、大きな傘を使った振付、魔法にフライング…と次から次へと驚きのシーンが続出で、絵本のページをめくるみたいにシーンが転換していきます。

タップもあり、ダンスもあり、もちろんお芝居もあり、キャストは大変だと思いますが、観客としては、ディズニーランドの「イッツ・ア・スモールワールド」に乗り込んだような、劇場ではなく違う世界にいるような、非現実的な時間を味わえます。フライングのシーンもすごかったです。僕は経験したことがないので、「きっとできるだろう」なんて簡単に思ってしまうんですが、いざやるとなったら、めちゃめちゃビビると思います(笑)。キャストたちは、そんな大変なことをさらっとやってみせるのですから、すごいです。感動の嵐でした。

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撮影/吉原朱美

家族で見に来ている人も多く、改めてディズニー作品は幅広い層に愛されているんだなと感じました。もちろん子供が見ても楽しめるのですが、『メリー・ポピンズ』は大人にこそ刺さる作品だとも感じます。特に大人に刺さる1曲が、今回選んだ「鳥に餌を/Feed the Birds」。「2ペンスを鳩に」という邦題でも知られていて、公園で鳥に餌をやるバードウーマン(島田歌穂さん、鈴木ほのかさんのダブルキャスト)の歌です。他にも有名な曲がたくさんある中で、このセレクトは意外に思われるかもしれません。でも、短い尺の中でも僕ら大人に刺さる鍵となる言葉がいっぱいで、とにかく大人の心を揺さぶる名曲なんです。歌詞が胸に刺さり、観劇しながら涙が出たほどです。

ジェーンとマイケルという二人の子供たちの家庭教師としてやってきたメリー・ポピンズは、「たった2ペンスあれば、鳥たちに餌をあげられる」と歌うバードウーマンを二人に紹介し、人を見た目で判断しないことや他者に優しくあることの大切さを伝えます。メリーやバードウーマンが子供たちに伝えるこのメッセージ、大人にも響くと思いませんか?

大人になると、内面ではなく、地位や立場で他人を見ることが多くなっていきます。結果が全てと切り捨てたり、人柄を見ないで判断したり、間違っていると思っても見て見ぬふりをすることも多々あります。今回、舞台を見ながら、自分もそういうところがあったなと反省したり、家族や親しい人に適当な態度を取っていなかったかなと振り返ったりしました。

作中で、子供たちはメリーたちからのメッセージを受け取って変わっていき、変わっていく子供たちを見て、今度は大人たちが変わっていきます。子供のやることだから、と無視したり軽視したりするのではなく、誰の言葉であっても対等に向き合って、受け入れていくことが大事だと教えてくれる。「メリー・ポピンズ」は、考え方を変えれば毎日がハッピーに変わっていく、という魔法を教えてくれる作品なのです。

有名な曲が多い作品であっても、こんな曲もあったのか、こういう歌詞だったんだ、こういう解釈なんだ、と改めて知ることができるのが、観劇の楽しみのひとつ。「鳥に餌を」はまさに、観劇しなければ気づくことのできない素敵な曲でした。

僕はがんばっている子役を見るととにかく感動してしまうんですが、ステージだけでなく、劇場にたくさんいたお子さんたちに将来、ミュージカルをやりたいと思ってもらえたらいいな、なんてことを考えたりもしました。新型コロナウイルスの影響はまだ大きいですが、少しずつ回復してきているとも感じます。皆が気兼ねなく劇場に来られる日が待ち遠しいです。つらいことも多い日々ですが、お互い、周りの人に優しくできるようにがんばっていきましょう!

聞き手/道丸摩耶(産経新聞)

♪今月のミュージカルソング

ミュージカル『メリー・ポピンズ』|2022 製作発表 歌唱披露ダイジェスト

東啓介(Higashi_Keisuke)

1995年7月14日生まれ、東京都出身。2013年デビュー。舞台『剣乱舞』など気舞台で活躍し、『5DAYS 辺境のロミオとジュリエット』『命売ります』『Color of Life』などの作品で主演を務める。近年はミュージカル界の新星として頭角を現している。2020年11月にはファーストソロコンサートも開催。2021年1月〜3月、NTV「ウチの娘は、彼氏が出来ない‼︎」にイケメン整体師・渉周一役で出演し話題に。 2021年3月〜4月ミュージカル『イン・ザ・ハイツ』(神奈川・大阪・名古屋・東京公演)に出演、6月〜7月ミュージカル『マタ・ハリ』でアルマン役に再び挑み好評を博した。2022年秋に開幕するミュージカル『ジャージー・ボーイズ』にボブ・ゴーディオ役で出演が決定した。

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Stage Information

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ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』

脚本:マーシャル・ブリックマン&リック・エリス
音楽:ボブ・ゴーディオ
詞:ボブ・クルー
演出:藤田俊太郎

出演:中川晃教、花村想太、藤岡正明、尾上右近、東 啓介、有澤樟太郎、spi、大山真志 ほか

会場:日生劇場(東京)
製作:東宝/WOWOW

公演公式サイトはこちら

【Story】

はじまりはニュージャージー州の貧しい片田舎。
“天使の歌声”を持つフランキーは、成功を夢見る兄貴分のトミーと ニックのバンドグループ に 迎え入れられる。 早速3人での音楽活動をスタートさせるが、フランキーの歌声をもってしてもグループには未だ何かが欠けていた。
鳴かず飛ばずの日々が続く中、作曲の才能溢れるボブが加入する。フランキーの歌声に魅了されたボブは、その声のために曲を書きたいと思うのだった。しかし金もコネもない彼らを待っていたのは 過酷な下積み生活。そんな中でも彼らは自分たちの音楽を磨き、それぞれの才能を開花させていく。そしてついにボブの楽曲と4人のハーモニーが大物プロデューサーの目に留まった。彼らは「ザ・フォー・シーズンズ」としてレコード会社と契約し、《Sherry》をはじめとする全米ナンバー1の楽曲を次々と生み出していく。ヒット曲につぐヒット曲、長期にわたるツアーで、家族を顧みずに酒と遊びを繰り返す日々が続く。富も名声も手にしたはずの4人だったが、輝かしい活躍の裏では、莫大な借金やグループ内の確執、家族の不仲など、様々な問題が勃発し、彼らの固い絆を蝕んでいった。それらはやがて取り返しのつかない大きな軋轢となり、グループを引き裂くのだった。
成功と挫折。あまりに劇的な春夏秋冬を駆け抜けていく4人がその先で見たものとは―。

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