出演させていただいている連続ドラマ「ウチの娘は、彼氏が出来ない」(日本テレビ系・毎週水曜22時)、通称「ウチカレ」は今夜、ついに第9話の放送となります。想いを寄せる空ちゃん(浜辺美波さん)のために何かしてあげたい、と、渉先生はとある行動に出ます。お楽しみに! そして、ぼくは今、ミュージカル『イン・ザ・ハイツ』の絶賛稽古中です。Microさん、平間壮一さんはじめ、カンパニーの雰囲気はとても明るく活気があり、いい作品になる予感がします。初挑戦のラップも頑張っています。こんな時期ですが、可能な方はぜひ劇場に足を運んでいただき、楽しんでいただきたいです。
ミュージカル『ホイッスル・ダウン・ザ・ウィンド汚れなき瞳』にエイモスという役(平間壮一さんとのダブルキャスト)で出演させていただいてから、1年がたちました。公演を振り返ると、三浦春馬さんによくしていただいたことを思い出します。
ぼくは勝手に、春馬さんを口数の少ないイメージだと思っていたのですが、初めてお会いした春馬さんはそんなことはまったくなくて、「よろしくね!」とすごく明るく応じてくださった。「なんて呼ばれてるの?」「とんです」「OK!とんちゃんね」。この会話だけで、心をつかまれ、春馬さんを大好きになりました。
その春馬さんが、「ザ・マン」(役名)として1幕の後半で歌うのが、「独白」という曲です。お稽古を分けてやっていたので、春馬さんが歌っているのを初めて見たのは、オーケストラと合わせたとき。うわ、なにこの歌!と衝撃を受けたのを覚えています。春馬さんの技術と歌声に、感情が揺さぶられたんです。日本初演だし、物語も一般的でない設定なので、お客様に伝わるか不安でしたが、この1曲にはすべてを持っていく力がありました。春馬さんの歌声に力をもらって、続く自分たちの歌で弾けることができたんです。
アンドリュー・ロイド・ウェバーの曲はとても難しいです。キャッチ―な部分もあるけれど、急に飛ばしたかと思えば急にブレーキがかかる曲も多くて、「歌ってみろ」と試されている感じがします。その分やりがいがあって、ちゃんと歌えたときの達成感も大きい。実は、ぼくは緩急がある曲ほど好きだったりします。
中でも、「独白」は、ミュージカルの醍醐味ともいえる、演じないと歌えない曲。ザ・マンの虚勢をはる部分とネガティブな要素が両方入っているのが魅力です。今はこうだけど、本当の自分は違うんだ、と言ってみたり、少し落ち着いたら「自分に祈ってくれる人は誰もいない。自分はけだものだから」と歌ってみたり。報われないのに報われたい気持ち、ザ・マンの揺れ動く気持ちが伝わってきて、彼がただの悪人じゃないことが分かります。それだけに切なさも感じる歌です。
緊急事態宣言が出るかもしれない、という厳しい状況の中ではありましたが、あの作品に携われたことは本当にうれしい出来事でした。春馬さんと一緒に練習しているとき、「この音、どうやって出す?」と聞かれたので、なんて恐れ多いと思いながら、「ぼくはこうやって出してます」と答えたこともありました。地方に行けなくなってしまった分、皆と再演で会いましょうとお別れしたのに、それがかなわなくなってしまったのはとても悲しいです。
春馬さんは、アグレッシブでありながら、とても優しかった。忙しいだろうによくご飯に連れて行ってくださって。誕生日を聞かれたので、「7月なんで、まだまだ先です」と答えたら、「誕生日、祝うよ!」とおっしゃってくださって…。
劇中、ザ・マンには思いもよらないことがどんどん降りかかります。ザ・マンほどでなくても、人生には思いもよらないことが降りかかる。でも、今まで出会ってきた人たちがぼくを構築してくれて、その中には春馬さんのように、人に光を与えてくれる存在がいます。「独白」は、ぼくもそういう人になりたいと思わせてくれる曲でもあります。
聞き手・道丸摩耶(産経新聞)
撮影・三尾郁恵(産経新聞)
東啓介(Keisuke Higashi)
1995年7月14日生まれ、東京都出身。2013年デビュー。舞台『剣乱舞』など気舞台で活躍し、『5DAYS 辺境のロミオとジュリエット』『命売ります』『Color of Life』などの作品で主演を務める。近年はミュージカル界の新星として頭角を現している。2020年11月にはファーストソロコンサートも開催。NTV「ウチの娘は、彼氏が出来ない‼︎」にイケメン整体師・渉周一役で出演し話題に。ミュージカル『イン・ザ・ハイツ』(神奈川・大阪・名古屋・東京公演)に出演。
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Stage Information
ミュージカル『イン・ザ・ハイツ』
原案・作詞・作曲:リン=マニュエル・ミランダ
脚本:キアラ・アレグリア・ウデス
演出・振付:TETSUHARU
出演:Micro[DefTech] / 平間壮一(Wキャスト) 林翔太 / 東啓介(Wキャスト)
田村芽実 石田ニコル 阪本奨悟
エリアンナ 青野紗穂 エリック・フクサキ 山野光
戸井勝海 未来優希
田中利花
【神奈川】鎌倉芸術館 大ホール 2021年3月27日(土)〜3月28日(日)
【大阪】オリックス劇場 2021年4月3日(土)〜4月4日(日)
【名古屋】日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール 2021年4月7日(水)〜4月8日(木)
【東京】TBS赤坂ACTシアター2021年4月17日(土)〜4月28日(水)