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INTERVIEW

加藤和樹さん「一度振り返ることで、この先の歩むべき道が照らし出されるように思います」

歌手として、俳優として、つねに全力で作品に向かい、躍進し続けている加藤和樹さん。4月2日にはアーティストとしての大きな節目となるデビュー15周年記念ライブ、『Kazuki Kato 15th Anniversary Special Live fun-filled day』を、思い入れのある日比谷野外音楽堂で行おうとしています。自身の軌跡を振り返ることで、この先のさらなる一歩を力強く踏み出そうとしている加藤さんに、ライブに向けた熱い思いを伺いました。

――本インタビューの公開時にはご出演舞台『冬のライオン』が公演中ですね。開幕直前の今(取材時)の状況は?

芝居のベース、流れはすでに出来ていますが、演出の森新太郎さんが気になるところをブラッシュアップしたり、少しずつ変えたりしています。まだまだ探っている感じもしますね。でも、やればやるほど面白くなっていくので、これはとても笑える……(笑)、めちゃくちゃ面白い作品に仕上がっていくと思います。もちろんシリアスなシーンもなくはないんですが、それとコミカルなシーンとのギャップがすごく面白いんです。テンポのいい会話で進んでいく作品で、たとえば誰かに対する皮肉だったり、そうした言葉の面白さが散りばめられているので、そこを感じ取っていただけるとクスッと笑えるんじゃないかなと思いますね。

――1183年のイングランドの王家一族の領土・権力争いが描かれた物語です。舞台は中世の趣に?

実は、まったく中世の雰囲気ではなくて(笑)、我々の衣装もわりと現代風なんです。リチャード、ジェフリー、ジョンという三兄弟がいるんですが、僕が演じる長男リチャードはジャケットの下にタートルネック、次男ジェフリーは黒のスーツで、一番下のジョンは革パンに革ジャンというスタイル。森さんがおっしゃるには、「舞台セットや衣装を時代に合わせてガチガチに作ってしまうと、お客さんが“中世の物語なんだな”と構えてしまう」と。かしこまらずに、より言葉を、芝居を楽しんでもらうために、あえてシンプルな舞台セットにしているんですね。

――加藤さんが扮する長男リチャードは、どのような人物でしょうか。

実際の歴史上の人物でもあって、それをベースに作られたキャラクターですね。この物語におけるリチャードは、ほかの兄弟もそうですが両親からの愛に飢えています。とくにリチャードは母親のエレノアとの関係がとても密なんですよね。でも、その愛も信じられないなかで、はたして自分は次の王になれるのか!?…という野心も当然持っていて。次男ジェフリーはものすごく頭が切れて、いろんな策略を練るけれど、リチャードはそこまで頭が働かない。今回、森さんが作ろうとしているリチャードは、素直に人のことを信じてしまったり、ちょっとは疑うんだけど最終的に利用されてしまったり、ジョークを言おうとしても上手く言えない…みたいな、少々オバカな人間になっています(笑)。とにかく、真っ直ぐにやっていこうと思っていますね。佐々木蔵之介さんが演じる父親のヘンリー王に対しても、素直に気持ちをぶちまける場面があります。ヘンリーとエレノアは、どっちが主導権を握るか、お互いに腹の探り合いをする面白さがあるんですが、リチャードはあまり策略を張り巡らさない、本当にバカ正直なところがあるので(笑)、そこは素直に演じたいなと思っています。

加藤和樹_0302_R_DSC8733.jpg
撮影協力/ハイアット セントリック 銀座 東京

――加藤さんはこれまでの作品を見ても、演出家の方との出会いに恵まれているなと感じます。森新太郎さんとの出会いも然りで、ご自身はどのように感じていますか?

森さんの演出の仕方というのは、役者の心情をもとに形成していくので、やりづらさや理解出来ない部分が一つもないんです。森さん自身が台本を手に稽古場のセットに立って、実際に動いてみている姿を稽古前や終わった後に目にしているから、ものすごく信頼出来ますね。会話劇だからこそ、一つ一つの台詞の構造について細かく指示してくださるので、自分も早くそこに追いついていかなきゃ!という思いもあります。役者が出来ないのではなく、役者同士の台詞の受け渡しが上手くいっていないからダメなのではと考えていて、役者自身への芝居のダメ出しといったものは感じられない。本当に四六時中、この『冬のライオン』のことを考えているんだろうなということが伝わって来て、なんとか我々も、早く森さんの描く芝居に行き着かなければ!と思わせてくれる。もう、信頼感しかないですね。

――ミュージカルとストレートプレイ、とてもバランスよく行き来されているとも感じます。こうした会話劇の現場で、どんなことを得られていると実感しますか?

あらためて思ったのは、自分の台詞が相手を動かすし、相手の台詞が自分の芝居を動かすということ。当たり前のことではありますが、その細かい積み重ねが大きなリアクションになって、作品全体を動かしていくのだなと。無駄な台詞は一つもないし、芝居の作り方によってはいかようにも料理できる。台詞の持つ面白さ、そこに気づくことの大切さを今回はすごく学んでいると実感しています。

――公演に全力を注ぎながら、4月2日に開催される日比谷野外音楽堂でのデビュー15周年記念ライブ『Kazuki Kato 15th Anniversary Special Live fun-filled day』の準備も着々と進行中ですね。野音でのライブは13年ぶりだとか。

はい、そんなに遠い記憶じゃないのに、気がついたら13年も経っていたみたいで。前にやったのは3周年の記念ライブで、そんなにやってなかったかな!?という印象です。野音のライブっていまだに忘れないですけど、リハーサルからだんだん空が暗くなり、夕景のなかで始まって……ま、3周年の時は雨でしたけど(笑)。本当に、天に向かって歌声がどこまでも伸びていく、そんな感じがするんですよね。お客さんが盛り上がった時のエネルギーも、ライブハウスだと会場に充満する感じですが、野音は空に解き放たれていくような…、その高揚感は鮮明に覚えています。

――野音を選んだのは「初心に帰る」といった意図もあるのでしょうか。

それはもちろんあります。僕はわりと早い段階で二度、日比谷野音に立たせてもらっているんですが、一番最初の2007年にやったライブでは、すごく悔しい思いもしました。まだ自分がアーティストとして立ち切れていない、そんな思いのなかで挑んでいった感覚があったんですよね。その次が3周年の、雨の野音で。この時のライブは、自分にとってものすごく意味があるものと感じています。お客さんのパワー、そしてメンバー、スタッフのパワーもあって、ようやく成功を収めることが出来た、自信にも繋がったライブでした。やっぱり野音は自分にとって特別な場所だし、15周年の集大成を飾るにふさわしい場所だと思います。いろんな思いを乗せて、この場所にもう一度立てることは、アーティストとして非常に意味深いことだなと。15周年を経た今、加藤和樹が何を見せられるのか、ある意味覚悟みたいなものもありますね。

――セットリストは、これまでの加藤さんの軌跡が網羅されたものに?

前回のライブツアーのラストで言ったことですけど、「これまでの15年の道程で、加藤和樹がやってきたことを全部やる」と。去年初めて挑戦したピアノライブもやりますし、伊達孝時とのユニットJOKERを10年ぶりにやること、そしてもちろんバンドのTHE DRASTICSと共に、加藤和樹のこれまでの道程の物語を紡いでいきます。全曲ライブとまではいかないですけど、それに匹敵する、それを超えるくらいの濃い内容をお届けして、より充実した、加藤和樹のすべてを見せられるようなライブにしたいと思っています。ファンの方々も「このタイミングで好きになった」とか振り返ることが出来るよう、ファンの皆さんの道程も合わせた感じにしたい。そうすることで、これからの自分の歩む道を感じてもらえるような、次に繋げていくライブにもしたいんです。

――毎日、野音ライブに向けてのツイートを楽しく見ています。加藤さんの今よりもっと若い頃の写真がたくさん紹介されていますね。

ライブ情報が解禁になった日から野音の本番までが、ちょうど100日だったんですね。なので【Road to 野音】と題して、カウントダウンしながら今までの楽曲とライブとかの思い出の写真を載せて、自分もそうですが、ファンの皆さんの気持ちを高めていこうかと。いろんなことが思い出されてくるんですよね~。写真を見て、この頃若かったな~とか、まるで自分じゃないように感じたり(笑)。この時はすごく悔しい思いをしたな、とか、ちょっと恥ずかしくなる瞬間もあったり。この15年、決して楽な道じゃなかったし、それはもちろん自分自身の足りなさ、弱さもあった。そんなふうに振り返ったことで、この先の、自分の歩むべき道も照らし出されたような感じがしましたね。

――15年は、体感として早かったですか?

早かったですね。まあ、「年々一年が早く感じる」って言いますけど、まさにその通りだなと。だからといって、スッと通り過ぎていったわけじゃなくて。ありがたいことに芝居もやらせてもらいながら、こうして音楽もやって、充実しているから早く感じるのかなと。やっぱり苦しかった時は、「なげ~な~」って感じた瞬間もありましたし(笑)。楽しんで、充実していると本当に一日一日が早い。あっという間に一年か…って、それが積み重なってこの15周年にたどり着いたんじゃないかなと思います。

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――今後は、今年の5月にはミュージカル『るろうに剣心 京都編』が、さらに来年1月にはミュージカル『キングアーサー』への出演が予定されています。それに並行して音楽活動もされると思いますが、何か他にやりたいこと、さらなる欲は?

欲!? どうでしょうね。あんまり欲張りなほうではないですけど(笑)。まあ、出来たらいいなと思っているのは……、韓国語をもっと勉強しようかなと。韓国の作品をやることも多いので、韓国の役者さんともっとコミューニケーションをとれるようになって、ゆくゆくはイベントなどで一緒に歌ったり出来たらいいな…という思いはありますね。それを具体的にどう実践していくかは、これから考えていかなきゃいけないところですが(笑)。

――どう実践され、成果を出されるのか楽しみです。まずは舞台『冬のライオン』、そして4月2日の日比谷野音のライブに集中ですね。ファンの皆さんもきっと大集中で見届けられるだろうと思います。

デビューしたての頃は、よく「アーティストなのか、役者なのか」と聞かれることが多かったんですけど、15年経って、役者や声優のお仕事などもいろいろやる中で、今はそう聞かれることもなくなりました。自分がやって来たことがちゃんと周りに浸透して、届いているんだな…という実感はありますね。なので、もちろんどれも手を抜くことなく、アーティストであることを軸に、自分の表現したいこと、伝えたい言葉を、もっともっと曲に乗せて伝えていかなきゃいけないなと思っています。加藤和樹が次にどんなことをするのか、つねにワクワクしていてほしい。それは自分にしか出来ないことでありたいですし、そうなれるように、いつも新しいことに目を向けて、好奇心やチャレンジ精神をなくさずにいたい。挑戦し続ける姿を、これからも見届けてもらえたら…と願っています。

Text/Noriko Ueno
Photo/Kaori Nishida



加藤和樹(KATO KAZUKI)

2005年ミュージカル『テニスの王子様』で脚光を浴び、2006年4月Mini Album『Rough Diamond』でCDデビュー。毎年CDリリースや単独ライブ、全国ライブツアーを実施するなど、音楽活動を精力的に行っている。2009年韓国、台湾、中国でCDデビューを果たす。俳優としてはドラマ・映画・舞台のほか、ミュージカルや声優としても活躍している。2022年2月26日〜3月15日『冬のライオン』に出演。5月〜6月ミュージカル『るろうに剣心 京都編』、2023年1月ミュージカル『キングアーサー』に出演。
第46回(2020年度)菊田一夫演劇賞受賞。

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Live Information

Kazuki Kato 15th Anniversary Special Live fun-filled day

加藤和樹_野音ライブ画像_0202.jpg

加藤和樹さんのアーティストデビュー15周年の集大成として、日比谷野外大音楽堂にて13年ぶりの日比谷野音ライブが開催決定!
伊達孝時氏とのユニットJOKERが一夜限りの再結成!!

【日時】2022年4月2日(土)OPEN 16:00 START 17:00

【会場】日比谷野外大音楽堂(東京都千代田区日比谷公園)

申し込みは>>>ホットスタッフ・プロモーション公式サイト

韓国観光公社 Information

「韓国観光春祭り2022in横浜」
加藤和樹さんトークショー出演決定!!

《実施概要》

【主催】韓国観光公社 東京支社
【共催】駐横浜大韓民国総領事館
【日時】2022年3月26日(土)
 昼の部(11:30開場/12:00開演)
『ファントム』上映会&加藤和樹トークショー
 夜の部(16:30開場/17:00開演)
『モンテ・クリスト』上映会&加藤和樹トークショー
【会場】神奈川県立音楽堂(神奈川県横浜市西区紅葉ケ丘9-2)
【募集人数】抽選で各回500名様(予定)
【応募期間】2022年2月28日(月)〜3月16日(水)23:59
【当選通知】2022年3月18日(金)までに、当選者の方のみにメールにご連絡します。

応募はイベント公式サイトへ

【注意事項】
・本イベントは抽選での招待制となっております。
・事務局からの当選通知メール(info@ktospringfes2022.com)を受信できるよう設定してください。
・当選通知や参加者様へのご案内などが届かない場合がございますので、キャリアメールでのご応募はお控えください。

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