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INTERVIEW

東 啓介さん《前編》「存在意義を示していきたい」

「ダンス オブ ヴァンパイア」「ジャージー・ボーイズ」などミュージカルで活躍する若手俳優の東啓介さんが11月、自身初となるミュージカルコンサート「A NEW ME」を開催する。これまで出演した作品はもちろん、初挑戦のミュージカル曲も満載というコンサートを前に、ミュージカルへの熱い思いや今後の目標を聞いた。

「レミゼ」観劇で受けた衝撃

――舞台「刀剣乱舞」で初めて東さんを拝見しましたが、歌がうまくて、声がよく響くので、とても驚きました。その後、帝国劇場のミュージカルなどにも出演されていますが、ミュージカル俳優をめざしていたのですか?

そうですね。もともと歌が好きだったのもありますし、この世界に入って自分が得意なものはなんだろう、と思ったときに、歌以外、答えられなかったんです。なので、自分の得意なものを生かしてミュージカルにチャレンジしていきたいと思いました。
でも、歌を習ったこともなければ、ミュージカル的な発声も知らず…。ミュージカルに出たいといっても、歌がうまい人はたくさんいますし、まずは歌をちゃんと学ばないといけないなと、勉強の毎日が始まりました。歌い方、ミュージカル曲の練習、楽譜の勉強…。ミュージカル俳優には、音楽大学で専門的な教育を受けた方たちもいっぱいいます。勉強もせずに「なりたいです」だけでは、門前払いですから。
歌いたいなら、アーティストをめざす道もある。ミュージカルは心と体と声で表現する世界ですから、別の難しさがあります。普通に立って歌うと歌えるのに、気持ちが入ると全然歌えなくて、自分でも驚くほどできなくて、もどかしく感じたこともありました。

――もともと、ミュージカルはよく見ていたのですか?

高校生のときに見た「レ・ミゼラブル」に衝撃を受けたのですが、当時は、すごいな、こういう世界があるんだ、と遠い世界でした。ミュージカル俳優を目指し始めてから、いろいろな作品を見るようになりました。「エリザベート」「ロミオ&ジュリエット」「モーツァルト!」などなど…。数えられないくらい見ました。

――ご自身の出演作を振り返って、印象に残っている舞台は、やはりミュージカルで初の大役、アルマン(加藤和樹さんとのダブルキャスト)を演じた「マタ・ハリ」(2018年)でしょうか?

そうですね。「マタ・ハリ」は、もっと頑張らなきゃと思い知った作品でした。そもそも加藤和樹さんとダブルキャストというのは奇跡でした。当時、22歳でしたが、その年齢であの役を経験できたのは大きかったですね。
緊張はあまりしなかったんですが、ただただ、「ヤバい」「歌えていない」「悔しい!」と思いながらやっていました。毎日が挑戦で、毎日、演出家(石丸さち子さん)の方から怒られていました(笑)。「ちょっとのってなかったよ!」と言われて、「すみません!」と謝ってばかりいた記憶です。毎日心を動かし続けるのに必死でした。

――それだけに、成長した実感があったのではないでしょうか?

それはめちゃくちゃありましたね!大阪(梅田芸術劇場メインホール)の最後の方の公演で、石丸さんが1幕と2幕の間の休憩時に、ものすごい勢いで楽屋まで走っていらして。「人が違うみたい」「超えたね」とおっしゃっていただきました。「ぼくも今、そう思っています」と。何か今日は違う、形じゃなくて、ちゃんと心が動いているのを感じました。アンサンブルさんからも、「今日はすごくいいね」という声をいただきました。
ただ、足りないものはまだたくさんあって…。お芝居もそうですし、個人的には、歌をちゃんと皆さまに伝えられなかったという後悔もあります。大阪公演中、ボイストレーニングの先生に来ていただいて、調整しながらやっていたんですが、それでもうまくいかなかったりして…。成長は実感できましたが、満足した部分はひとつもないまま終えてしまいました。いつか再演したいですし、そのときは、もっともっと、さらにいいものをお見せしたいと思っています。

――それでは逆に、自分で納得がいった舞台はありましたか?

今年の「ジャージー・ボーイズ イン コンサート」(帝国劇場、7月)ですね。もちろん、まだまだできていない部分も多いんですが、初めて「音楽」というものを知った気がします。声を重ね合わせてハーモニーを作って、それがひとつの曲になる。人が変わればハーモニーも、音色も違うし、一人がミスすると全部が崩れていくというものも経験しました。

――「ジャージー・ボーイズ」は、新型コロナウイルスの影響で一度は中止となったものの、コンサート版として復活、帝劇の再開を飾った舞台でした。

まさか(公演が)なくなるとは思っていませんでした。僕にとって今年は「ダンス オブ ヴァンパイア」「ホイッスル・ダウン・ザ・ウインド汚れなき瞳」「ジャージー・ボーイズ」と舞台が続くと思っていたので…。「ジャージー」も本公演でやりたかったですけど、形を変えてコンサートという形でもやれたのは本当に嬉しかったです。メンバー、スタッフの団結力はとても強くなりましたね。一方で、ウイルスという見えない恐怖と戦う毎日は、今も続いています。

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この仕事をやめようとも考えた

――新型コロナはエンタメ業界にも大きな影響を与えました。多くの劇場が上演中止となった2、3月は、東さんは日生劇場で「ホイッスル・ダウン・ザ・ウインド汚れなき瞳」に出演中でした。その後、世の中は自粛期間に入りましたが、東さんは何をしていたのですか?

何もせず、ひたすら時間が過ぎるのを待つだけでした。自粛期間が半分ほど過ぎたころになってようやく楽器に触り、初めて自分で曲を作りました。歌でなら、自分も同じ気持ちを抱えている、ひとりじゃないと伝わるんじゃないかと思って、作詞作曲をしました。そもそも曲を作ったことがなくて初めての経験でしたが、ファンの皆さんに喜んでいただけて、曲を作って良かったと思いました。

――エンタメ業界の人は特に、自分の存在意義を悩む方が多かったと聞きます。

ぼくも存在意義をすごく考えました。実は、やめようかなとも思ったんです。これを機に違う方向に進んだ方がいいんじゃないかって。再開されたとしても、もう一回スイッチを入れられるか。芸能というもの自体が大丈夫なのか。とにかくいろいろ考えた期間でした。春夏秋冬、変わらずめぐってくるはずの季節が崩れた感じでした。延期になった舞台がどうなるのか、中止になったものはもうやらないのか、この先のスケジュールはどうなるのか…。

――それでもやめずにこの道でいこうと思ったのはなぜでしょうか?

落ち込み過ぎたのかもしれません。曲を作って届けたときに、それを喜び、そうした活動を求めてくださった人がいましたし、もっと知名度をあげて、もっと届けていかないといけないと思ったんです。

――もしかして、東さんは落ち込みやすいタイプですか?

はい! 落ち込みがちで、考えすぎます(笑)。1個のダメ出しに、3時間くらい考えます。ただ、単純なので、「悔しい!」と思いながらやることで持ち直します。これでひとつクリアした、と。その繰り返しです。性格はとてもまじめなんですが、怠け者でもある。やりたくなくなったらやらない、動きたくなくなったら動かない。オフになるのも早いです(笑)。気分転換には歌を聞いたりピアノを弾いたり…。音楽がすぐ近くにありますね。

>>>後編はコチラから

取材・文/道丸摩耶(産経新聞)
撮影/吉原朱美


東啓介(Higashi Keisuke)
7月14日生まれ、東京都出身。2013年デビュー。舞台『剣乱舞』など気舞台で活躍し、『5DAYS 辺境のロミオとジュリエット』『命売ります』『Color of Life』などの作品で主演を務める。 近年はミュージカル『マタ・ ハリ』『ダンス オブ ヴァンパイア』『ホイッスル・ダウン・ザ・ウィンド汚れなき瞳』『ジャージー・ボーイズ インコンサート』などに出演し、ミュージカル界の新星として頭角を現している。

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Stage Information

東啓介 1st Musical Concert 『A NEW ME』

日時:2020年11月28日(土)14:00開演/18:00開演
会場:山野ホール
料金:S席7,500円

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