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INTERVIEW

浦井健治さん「エンタメ信じる気持ちを大切に」

――新型コロナウイルスの影響で、あらゆるエンタメが止まってしまいました。浦井さんは東京・日生劇場で「天保十二年のシェイクスピア」にご出演中でしたね

2月27日の公演が急きょ千秋楽となってしまい、それ以降は大阪も含めて中止になりました。その1週間くらい前から、客席の変化は感じていたんです。満員御礼の公演でしたが、空席やマスクをするお客さまが徐々に増えて、客席が真っ白というこれまで見たことのない光景でした。お客さまも命がけで見てくださっていたんだなと思いました。

――他の公演も中止になりましたから致し方ないとはいえ、無念の思いがあったのではないでしょうか

木場勝己さん、辻萬長さんたちベテランの先輩方が多く参加していましたが、そんなベテランの人たちですら初めての経験です。無観客でしたが、映像を撮ることはできて。(冒頭の)木場さんの口上が、われわれを鼓舞する口上となり、そこから始まる演技。その一瞬一瞬が残せたのは本当に奇跡のような出来事でした。さまざまな不安の中でしたが、不思議なエネルギーに満ちた瞬間でした。特別な映像を残すことができたと思っています。

――自粛期間には何をしていたのですか

(伊礼)彼方と曲を作ったり、童話を書いてみたり、散歩や本を読んで映画を見たりとインプットをして…。役者は板の上に乗ることで己というものを再確認出来るのだなと改めて感じました。でもそれができないからといって、何もできないとジレンマに陥ることはありませんでした。レギュラーラジオ(浦井健治のDressing Room/ニッポン放送)は自粛期間中もあったので、繋がっているという感覚もありましたし、ファンクラブの方に向けて、発信したりコミュニケーションを続けていたからかもしれません。こんなにゆっくりした時間があると、いつもならほぼ稽古と本番の毎日なので、ファンの方をやきもきさせてしまったかもしれませんが(笑)。

――東京アラートも解除され、徐々に生活は戻りつつあります

そうですね。4月から公演予定だった『ウエスト・サイド・ストーリー』season3は全公演中止になり、無念の思いはありました。その次に控えていたシアタークリエの『メイビー、ハッピーエンディング』は上演する方向で動いています。今は「舞台に立てない間、何やってた?」で始まっている現場での会話もだんだんなくなっていくと思います。お客様もチケットを買って手元におく、という動きがようやくみえてきましたからね。

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――『メイビー、ハッピーエンディング』はどんな舞台になりそうですか?

ぼくが演じるのはオリバーという旧型ロボットの役です。密閉されたアパートで、停止するのを待つばかりなんですが、女性型ロボットのクレアと出合ってロボットにはないはずの「心」が動いていく。人生において大切なものは何かを、ロボットというフィルターを通して見つめなおすことができる作品だと思います。家の中にずっといた自粛期間は、オリバーの役作りのために何かしらプラスになった体験だったと感じています。人間にとって一番大切なものは何か、見に来てくださるお客さまに様々なメッセージや気持ちが届けられるんじゃないかなと思っています。

――その後も、新国立劇場の『リチャード二世』など舞台が控えています

そうですね。稽古のスケジュールがすでに来ていますので、準備などがんばっていかないとと思っています。全国の劇場も、指針に沿って消毒や換気など、あらゆる対策に取り組んでいます。安心してお客様に劇場に来て頂けるようにしたいです。

――浦井さんには「マチ★ソワ」の伊礼さんとスタートを飾る対談をしていただきました。最後に、これからエンタメの道に入ろうと新たなスタートを考えている若い人たちへメッセージをお願いします。

シェイクスピアやチェーホフなど、戯曲からは学ぶことだらけだと思います。エンタメは正解のない世界です。映画、演劇、好きな役者、興味を持ったきっかけは何でもいいんです。文化や芸術に触れることを喜びに感じて頂けたら。自分らしく、自分のやりたいことを臆することなく表現して、何よりもエンタメを信じる気持ちを大切に出来たら素敵ですね。夢はかなうと信じて、たくさん吸収して、豊かな人生を是非堪能してください。そして、もし共演の機会があったら、色々な話を一緒に語り合いましょう!

取材・文/道丸摩耶(産経新聞)


浦井健治 (Kenji Urai)

1981年東京都出身。2000年『仮面ライダークウガ』敵の首領役で俳優デビュー。
2004年ミュージカル『エリザベート』ルドルフ皇太子役に抜擢される。以降、ミュージカル、ストーレートプレイ、映像作品に出演。
近年の出演舞台に、新感線☆RS『メタルマクベス』disc3、『ゴースト』、『ヘンリー五世』、『デスノート THEMUSICAL』、『王家の紋章』、『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』、『天保十二年のシェイクスピア』など。2015年第22回読売演劇大賞最優秀男優賞を受賞するなど数々の演劇賞を受賞。
2018年からラジオ「浦井健治のDressing Room」(ニッポン放送)でパーソナリティを務めている。
2020年8月「メイビー、ハッピーエンディング」(シアタークリエ)、10月「リチャード二世」(新国立劇場)、12月「オトコ・フタリ」(シアタークリエ)に出演が決まっている。

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Stage Information

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『メイビー、ハッピーエンディング』

日時:2020年8月11日(火)〜30日(日)
会場:シアタークリエ
料金:10,800円
一般発売:7月18日(土)

公式サイト

Information

ニッポン放送「浦井健治のDressing Room」

毎週日曜日21:40〜22:00 放送中
浦井健治が音楽の話や舞台の話、趣味の話など、色々とお話ししちゃいます!

公式サイト

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