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INTERVIEW

新ハリー役・平岡祐太さん「一緒に魔法の世界を冒険したい」▷舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』

TBS赤坂ACTシアター(東京都港区)でロングラン公演中の舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』。俳優の平岡祐太さんが、8月公演から新しくハリー役を務めることになりました。映画「スウィングガールズ」で脚光を浴び、国内外のドラマや舞台にも活躍を広げている平岡さん。ハリー役としての〝デビュー〟が近づく中、作品への思いや、新たな挑戦にかける意気込みを伺いました。

――まずは、新しくハリー・ポッター役に決まった時の感想を教えてください。

僕自身、昨年、初めてこの舞台を観て、とても感動したんです。その感動した舞台に出られるんだ、という感動がありました(笑)。まるで、ハリー・ポッターの世界に飲み込まれるような圧倒的な経験だったので、ぜひ自分も出演したいとオーディションに挑戦したんです。再演などではなく、自分が観て感動した舞台に、そのまま立てるという経験は、なかなかないですよね。ロングラン公演ならではの感動だと思います。

――もともとハリー・ポッターシリーズがお好きだったのでしょうか。

はい。20代の時に映画の1作目『ハリー・ポッターと賢者の石』が公開されて。そこから、新作が出るたびに観ていたので、ハリーとともに成長してきたような、特別な存在というよりも、いつもハリーがすぐそばにいてくれたようなとても身近な作品という印象です。舞台を観たのも「ハリー・ポッターか。懐かしいな」という好きだったものが掘り起こされたような気持ちがあったから。

もともと、UKミュージックつながりでイギリスが好きだったんです。明るいだけでなく、少し影のある部分に惹かれて。以前、ロンドンを訪れた際には、ホグワーツ魔法学校のモデルとされるオックスフォード大学に行ってみたことも。オックスフォードへ向かう列車の窓から見える風景に、「ホグワーツ特急からの景色もこんな感じなのかな」と想像を馳せてみたり…(笑)。

――今作は、シリーズ第7作の「ハリー・ポッターと死の秘宝」から19年後の世界という設定で、舞台のためだけに創られた物語です。舞台版ならではの魅力を教えてください。

魔法の力はもちろん、お芝居の力もとても強い作品だと思いました。最初は、ハリー・ポッターシリーズということで派手な魔法の世界なのかな、と思っていたのですが、実際に観てみると、物語そのものも、とても緻密に創り上げられている。現代でいうタイム・リープものの要素もありますね。僕自身は、この作品は『愛の物語』だと思っていて。海外ものだからか、『愛している』というセリフがすっと心に入ってくる。登場人物たちはみんな成長過程にあって、分かり合いたいゆえに、分かり合えない。そんな彼らが、いろいろなものを乗り越えて、初めて分かり合える瞬間のすばらしさはまさに感動です。

――実際に憧れの舞台の稽古に入られてみて、いかがでしょうか。最初は緊張などはありましたでしょうか。

日々やることが多すぎてパンクしそうです(笑)! でも、緊張ではなくて、ワクワクした気持ちでいっぱいでしたね。海外の演出家の方とお仕事をするのは初めてなのですが、最初に円になって、自己紹介をするんです。ハリー・ポッターとそれぞれのキャラクターのつながり、リレーションをそこで体感する。そういったアプローチがすごく新鮮で。ユニークなのは、『ハリー・ポッターを勉強する時間』があること。演技に入る前に、第7作から舞台の世界までの19年間に何があったか……例えば、ハリーとジニーはいつ結婚したのか、などをみんなで話し合うんです。そういった共通の時間、認識があるので、キャスト全体のチームワークというか、意思疎通がとてもスムーズになったように思います。あとは、ものすごーく筋トレをします。稽古は週6なので、体が回復する時間がなくて、バキバキで……(笑)。みんなでホグワーツ魔法学校さながらの稽古をして、最後は円陣を組んで、『エクスペクト・パトローラム!』という呪文を叫んで練習が終わるという…。まるで軍隊のような過酷さですが、みんなで一緒に体を鍛えていると、謎の結束力が生まれますね(笑)。

――確かに、肉体面でもハードな作品ですよね。

はい、歴代のハリー役のみなさんからも、『筋トレがとにかく過酷』と聞いていましたので、実はちょっとそこだけはおびえていました…(笑)。でも、こうして体幹を鍛えることはとても大事ですし、例えば魔法を使うときに杖を振る場面でも、ただ振りまわすのではなく、しなやかに、魔法と体が一体になったように動かせるという意味でも、とても演技に活かされると思います。

――〝平岡ハリー〟としての意気込みを教えてください。

この作品は、錚々たるみなさんが演じ継がれてきました。6月までハリー役を演じられた(平方)元基さん、吉沢(悠)さんのおふたりも、それぞれの俳優としての個性や雰囲気が、ハリーに全く違う印象を与えていて、とても面白くて魅力的です。ハリーは、魔法の世界ではヒーローなのだけれど、家に戻ると弱い。そんな弱さを隠している強さのある人だと思います。僕としては、周りのみんなのエネルギーを借りながら、父親としての葛藤や心の動きを表現していけたら。舞台を観て、『そこにハリーが生きている』と感じていただきたい。躍動感のある、エネルギッシュな舞台になればと思います。

――本作は父・ハリーと息子・アルバスの関係を描く物語ですが、ご自身も1歳の男の子の父親です。何か舞台に重なる部分はありますか。

どうしても、家に帰ると作品との共通項を探してしまいますね。保育園から写真が送られてくるのですが、たまたま息子がほかのお友達の後ろにぽつんと1人で立っていたりすると、その姿がアルバスと重なって、心配したり、切なくなってしまったり…。最近は自我が芽生えて、僕と目を合わせてくれなかったり、物を投げてきたりすることもあるんですが、そういった様子も『ああ、アルバスみたい』と思ってしまいますね(笑)。

――最後に、舞台を楽しみにされているみなさまへのメッセージをお願いします。

僕自身がそうであったように、この壮大な舞台芸術の世界に飲み込まれていただきたいです。会場すべてが、ハリー・ポッターの世界観で徹底的にこだわって作られているので。一生に一度の忘れられない思い出になると思います。ぜひ、みなさんと一緒に魔法の世界を冒険したいです。

取材・文/塩塚 夢(産経新聞社)
撮影/齋藤佳憲(産経新聞社)


平岡祐太(HIRAOKA YUTA)

1984年9月1日生まれ 山口県出身。
2002年第15回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストでグランプリを獲得。2005年、映画「スウィングガールズ」で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。2010年には大河ドラマ「龍馬伝」に陸奥宗光役で初出演を果たし、2016年にはNHK連続テレビ小説「べっぴんさん」にも出演。「新・浅見光彦シリーズ」(TBS・2017)では4代目・浅見光彦を演じる。
近年では「放課後カルテ」(日本テレビ・2024)、「マイ・ワンナイト・ルール」(テレビ東京・2025)、映画「忌怪島」(清水崇監督・2023)、「夏目アラタの結婚」(堤幸彦監督・2024)、主演映画「REQUIEM ある作曲家の物語」(菅野祐悟監督・2025)、舞台ではa new musical『ヴァグラント』(明治座・新歌舞伎座・2023)など話題作に出演。


舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』
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Stage Information

『ハリー・ポッターと呪いの子』

オリジナルストーリー:J.K.ローリング
脚本・オリジナルストーリー:ジャック・ソーン
演出・オリジナルストーリー:ジョン・ティファニー
振付・ステージング:スティーヴン・ホゲット
演出補:コナー・ウィルソン
主催:TBS/ホリプロ/ATG Entertainment

会場:TBS赤坂ACTシアター

ハリー・ポッター役/8月~10月:稲垣吾郎/平岡祐太/大貫勇輔 ※その他、配役は公式サイトをご参照ください。

公演公式サイトはこちら

Story

ハリー、ロン、ハーマイオニーが魔法界を救ってから19年後、かつての暗闇の世を思わせる不穏な事件があいつぎ、人々を不安にさせていた。
魔法省で働くハリー・ポッターはいまや三人の子の父親。
今年ホグワーツ魔法魔術学校に入学する次男のアルバスは、英雄の家に生まれた自分の運命にあらがうように、父親に反抗的な態度を取る。
幼い頃に両親を亡くしたハリーは、父親としてうまくふるまえず、関係を修復できずにいた。
そんな中、アルバスは魔法学校の入学式に向かうホグワーツ特急の車内で、偶然一人の少年と出会う。
彼は、父ハリーと犬猿の仲であるドラコ・マルフォイの息子、スコーピウスだった!
二人の出会いが引き金となり、暗闇による支配が、加速していく・・・。

※公式HPより引用

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