帝国劇場クロージング公演、ミュージカル『レ・ミゼラブル』の製作発表記者会見が10月16日、東京都千代田区の同劇場で行われました。オールキャストが参加した会見では、豪華な歌唱が披露されるなど、早くも記念すべき公演への期待が高まりました。
会見は、今回新たにジャン・バルジャン役に加わった飯田洋輔さんの「独白」の歌唱からスタート。重厚かつドラマティックな歌声で魅了します。
さらに、ファンテーヌを演じる女性キャスト3人による名曲「夢やぶれて」では、今回の会見のための特別バージョンを昆夏美さん、生田絵梨花さん、木下晴香さんがそれぞれの個性をいかしながらも、清冽で美しいハーモニーを響かせます。同じキャストがひとつの曲を歌うという、とても贅沢な歌唱となりました。
続いては高揚感あふれる「民衆の歌」。アンジョルラス役の新キャスト、小林唯さんとアンサンブルが「ABCカフェ」の場面から続けて熱唱。
今回大抜擢となった小林さんは、思わず鳥肌がたつような圧倒的な声の力で、存在感をみせつけました。
エポニーヌ役の新キャスト、清水美依紗さん、ルミーナさんはこちらも名曲の「オン・マイ・オウン」を、深く豊かな歌声で情感豊かに披露。
最後はオールキャストによる「ワン・デイ・モア」。会場を震わせるような分厚い歌声は圧巻の一言でした。
プリンシパルキャストによるあいさつでは、それぞれが意気込みを語ります。歴史を重ねてきた、そして帝国劇場最後となる特別な作品への熱い思いが伝わってきました。
続く質疑応答で、帝国劇場で歌唱を初披露した感想を問われた新キャストが、「途中から手がしびれだした」(飯田さん)「何も覚えていないくらい」(清水さん)など、独特の雰囲気の中で歌う緊張感を明かしました。
また、帝国劇場での思い出を尋ねられ、マリウス役の三浦宏規さんは「最初にレ・ミゼラブルに出演したときは不完全燃焼で終わってしまい、悔しい思いをした。その後、別の作品でこの劇場に立ち、育ててもらってきた。そしてまた、最後の帝国劇場に立たせてもらえることがとてもうれしいし、納得できるように挑みたい」と決意を語りました。
エポニーヌ役の屋比久知奈さんは、「帝国劇場がこれで最後というのはさみしいけれど、お別れをいえてうれしい」と振り返りました。
ジャベール役の伊礼彼方さんは「帝国劇場に立つというのは、とても怖いこと」としながらも、『レ・ミゼラブル』について「プレッシャーがすごくて『また今日もここに立つのか』となるけれど、千秋楽を迎えるとまた立ちたくなる」と作品の持つ吸引力を語ります。さらに「この切り替わりの時期に、ともに舞台に立てることの喜びがある。次、どんな劇場になるのか楽しみ」と期待を寄せました。
27年間マダム・テナルディエ役を演じてきた森公美子さんは、「何かが起きる劇場」としながら、「この劇場の0番(センター)を踏むということは特別。絶対にここの0番に戻ってくるぞ!と誓うと、それをかなえてくれるような劇場」と話しました。
カンパニーを代表して最後を締めくくったジャン・バルジャン役の吉原光夫さんは「彼方(伊礼さん)も言っていたけれど、辛くてもまた演じたくなる作品。それは、一人の人間の人生、大河を演じ切るというのは精神力、体力を求められるけれど、最後に必ず浄化が待っているからだと思う。生きていくのはつらいことが多いけど、一人ひとりが生きる存在意義、大河を求めて生きている。初めてこの舞台に立つキャストのみなさんも、辛いことはあると思うけれど、カンパニーのみなさんと一緒になって楽しんでほしい」とあいさつしました。
本公演は来たる2024年12月の帝劇クロージング公演を皮切りに、大阪、福岡、長野、北海道、群馬と日本全国6大都市ツアー公演を来年6月まで予定しています。
取材・文/塩塚 夢(産経新聞社)
撮影/吉原朱美
Stage Information
ミュージカル『レ・ミゼラブル』
作:アラン・ブーブリル&クロード=ミッシェル・シェーンベルク
原作:ヴィクトル・ユゴー
作詞:ハーバート・クレッツマー
オリジナル・プロダクション製作:キャメロン・マッキントッシュ
演出:ローレンス・コナー/ジェームズ・パウエル
翻訳:酒井洋子
訳詞:岩谷時子
製作:東宝
出演
ジャン・バルジャン:吉原光夫 / 佐藤隆紀 / 飯田洋輔
ジャベール:伊礼彼方 / 小野田龍之介 / 石井一彰
ファンテーヌ:昆夏美 / 生田絵梨花 / 木下晴香
エポニーヌ:屋比久知奈 / 清水美依紗 / ルミーナ
マリウス:三浦宏規 / 山田健登 / 中桐聖弥
コゼット:加藤梨里香 / 敷村珠夕 / 水江萌々子
テナルディエ:駒田一 / 斎藤司 / 六角精児 / 染谷洸太
マダム・テナルディエ:森公美子 / 樹里咲穂 / 谷口ゆうな
アンジョルラス:木内健人 / 小林唯 / 岩橋大
上演スケジュール
【東京】帝劇公演 2024年12月20日(金)本初日~2025年2月7日(金)千穐楽
*プレビュー公演:2024年12月16日(月)~12月19日(木)
【大阪】梅田芸術劇場メインホール 2025年3月2日(日)~3月28日(金)
【福岡】博多座 2025年4月6日(日)~4月30日(水)
【長野】まつもと市民芸術館 5月9日(金)~5月15日(木)
【北海道】札幌文化芸術劇場hitaru 2025年5月25日(日)~6月2日(月)
【群馬】高崎芸術劇場 2025年6月12日(木)~6月16日(月)