美容やコスメ、スイーツ、K-POPなど魅力がたくさんのお隣の国・韓国。韓国観光公社によると、日本人の2023年の海外旅行先の中で、韓国は約24%を占めていました。中でも首都ソウルは気軽に旅行に訪れる人も多いのではないでしょうか。今回はソウルだけでない韓国の魅力も知るため、韓国観光公社主催のプレスツアーに参加してきました。
キムチやチヂミなどを始め、日本でも親しまれている韓国料理ですが、現地を訪れると、他にも郷土色あふれる味わいに出合えます。
今回は、儒教文化が根付き「韓国の精神文化の首都」とも言われる地方都市・安東(アンドン)の食の魅力をご紹介。安東には、日本語で「鶏肉の甘辛煮」などと訳される鶏1羽が入った郷土料理のチムタクを始め、ブランド牛の安東韓牛や塩サバなど名物料理がたくさんあります。現地ならではの味を知るために安東へ!
まず訪れたのは、チムタクの店が集まった「チムタク横丁(通り)」。朝鮮後期から続き、鮮魚店や洋品店などが立ち並ぶ安東旧市場内の一角に、30店舗ほどチムタクを提供する店が集まっています。
韓国語でチムは「煮る、蒸す」、タクは「鶏」を意味し、しょうゆベースで甘辛い味付けが特徴。鶏肉以外に、ジャガイモ、ニンジン、ネギなどの野菜と、太めの春雨を一緒に煮て作るボリュームたっぷりの料理です。
訪れた人気店「宗家チムタク」は2014年に開店。店先の調理場では、大きな鍋をいくつも火にかけて、社長の全相榮さんが豪快にチムタクを作っていました。辺りにニンニクとしょうゆの香りが広がり、通りを歩く人を誘います。
食べると、よく煮込まれた鶏肉はほろほろとやわらかく、白いご飯がどんどん進みます。
「うちはしょうゆで勝負している。他とは違う風味のしょうゆで、チムタクの甘味がぐっと上がる」と全さんがいうように、醤油の甘味が口いっぱいに広がりました。
チムタク通りはもともと「鶏の丸焼き通り」として知られていましたが、1980年代にフライドチキンを甘辛ソースで味付けた「ヤンニョムチキン」の流行の影響で通りは衰退。その後、地元の店主らが再び活気を呼ぶために生み出したのがチムタクだったといいます。今ではチムタクを目指して訪れる人も多く、名物となりました。
続いて紹介するのは、ユッケビビンバの名店「景福宮(キョンボックン)」。2007年に焼き肉屋としてオープンしましたが、今では売り上げの半分がユッケビビンバだそうです。
韓国南部で有名なユッケビビンバですが、ここでは2日以内に届いた新鮮な肉を使い、昔からの調理法で具材の野菜は炒めて提供しています。化学調味料を使っていないのが一押しポイントで、コチュジャンなどを用いずにぜひ食べてほしいとのこと。
自分で白米を入れて混ぜ、一口食べると素材の味がしっかりとした美味しさが口いっぱいに広がります。脂身の少ない赤身肉は柔らかく、あっという間に完食してしまいました。
家族で経営し、皆さんの温かさも魅力で、ぜひまた訪れたいです。
夜ご飯は「安東カルビ横丁」でカルビを食べるのがおすすめ。地元民が集まり、新鮮な肉を比較的安価に楽しめます。
安東は酪農が盛んで、地元民らによる尽力で安東韓牛のブランドも確立。にんにくの味付けカルビはあらかじめ漬け込んでいるわけではなく、素材の味を生かしています。分厚くも柔らかいカルビでぜひ舌鼓をしてみては。
世界文化遺産の「河回村」や「月映橋」も魅力
安東は韓国の中で一番大きな市で、面積はソウルの約2.5倍。ソウルからはKTXなどの鉄道で約2時間、バスで3時間。釜山からはバスで2.5時間ほどかかります。
食のみならず、伝統的な生活がそのまま残る氏族村「河回村(ハフェマウル)」や夜景が見どころの韓国最大規模の木の橋「月映橋(ウォルヨンギョ)」といった観光の魅力にも溢れる安東。ぜひ足を運んでみてください。
取材・文・撮影/前島沙紀(産経新聞社)
取材協力/韓国観光公社(公式サイト)
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